No.200
1997.11

ATREXエンジン   ISASニュース 1997.11 No.200

- Home page
- No.200 目次
- 200号記念にあたって
- 10大ニュース
- 「あけぼの」
- 「ひてん」
- 「ようこう」
- GEOTAIL
- 「あすか」
- EXPRESS
- SFU
- 「はるか」
- 赤外線観測
- M-Vロケット
- 観測ロケット
- アンドーヤ
- ダイアナ計画
- 太陽発電衛星
- 有翼飛翔体
- 相模原キャンパス
- KSC
- NTC
+ ATREXエンジン
- SBC
- UDSC
- PLAIN
- CAST
- SURC
- 初めての第三者評価
- 国際協力
- 将来計画
- ISASニュース200号に寄せて
- 編集委員会
- 宇宙研の100ヵ月パート2

- BackNumber

 1975年度から「液水エンジン開発の基礎研究」として進められてきた液水・液酸ロケットエンジンに関する開発研究は,1988年度に初期の目的を達成し終了した。その後,ここで得られた研究成果およびインフラストラクチャーを踏まえて,将来のスペースプレーンに用いられる空気吸い込み式エンジンの開発研究が,民間企業との共同研究として行われている。

 このエンジンは液体水素を燃料に用い,飛行中に大気から吸い込んだ空気を酸化剤にして,この燃焼ガスジェットによって推進力を得るもので,エアーターボラムジェット(ATR)エンジンと呼ばれている。特に,宇宙研で開発しているものは,水素の冷媒としての特性を活かしたエキスパンダーサイクルを用いていることから,ATREXエンジンとして世界的に知られている。

 この研究開発に伴って能代ロケット実験場には,ATRエンジンテストスタンド,高温空気供給装置および計測系が整備された。また,ATREXエンジンは大気中から大量の空気を吸い込むため,燃焼試験は屋外で,準備作業は屋内で行うため,テストスタンドを覆う可動ドームが設けられた。

 1990年度から1992年度には,ターボファン,燃焼器および内部熱交換器に重点をおいた試験が行われ,1995年度からは,吸入空気の温度を160Kに冷却するプリクーラーを装着した試験が行われた。また,1996年度にはドイツの企業との共同研究で,再生冷却燃焼器を装着した試験も行われた。1996年度までに,9期に分けて合計44回の試験が行われている。

(棚次亘弘)


#
目次
#
SBC
#
Home page

ISASニュース No.200 (無断転載不可)