5.2 フレア望遠鏡との協力
図5.3:フレア望遠鏡外観
太陽フレア望遠鏡は「ようこう」によるコロナのX線観測を地上から支援すべく,その打上げと時期を同じくして国立天文台三鷹の構内に建設されました。赤道儀に4本の屈折望遠鏡を搭載し,連続光による光球画像,Hα線による彩層画像,光球のベクトル磁場,光球の速度場を観測します。「ようこう」がコロナで繰り広げられるダイナミックな現象を捉えるのに対して,フレア望遠鏡はその足下,すなわちコロナの現象をドライブする光球磁場の発達過程を総合的に観測し,例えばフレア爆発に至る物理過程を解明しようというものです。1991年の観測開始以来,毎日KSCから送られてくる「ようこう」の運用日報を参照し,「ようこう」と同じ活動領域を天候の許す限り観測してきました。
フレア望遠鏡で得られた磁場の分布データは,「ようこう」で観測される活動領域の複雑なループ構造を理解するのに参照されました。又,フレアに伴ってコロナの磁場構造が大きく変化することが「ようこう」の観測から明らかになりましたが,光球磁場から推定される磁場の自由エネルギーがフレアの前後でどのように変化するか,フレアを引き起こす磁場配置の必要条件は何か,等の基本的な研究が現在も蓄積された両者のデータをもとにすすめられています。
図5.4:「ようこう」によるコロナ画像とフレア望遠鏡による光球磁場
(2001年10月19日)
(一本 潔,桜井 隆)
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