次世代の宇宙探査!深宇宙を翔ける多用途輸送船「深宇宙OTV」の検討とは
~深宇宙OTV三者鼎談: 武井悠人氏、加持勇介氏、藤本正樹氏~

武井悠人氏、加持勇介氏、藤本正樹氏
(左から)武井悠人氏、加持勇介氏、藤本正樹氏

宇宙科学研究所(ISAS)では、既に進行しているプロジェクトだけでなく、15年、20年先を見据え、どのような探査を行うのか、どのような技術の獲得が必要か、科学的価値をいかに高められるか等、様々な検討・研究がされています。本記事では検討の一つ、深宇宙*探査における新しい輸送システム「深宇宙OTV」についての三者鼎談の様子を紹介します。ISASウェブサイト「ミッションに関連して思うこと」に寄稿された武井悠人氏の記事「なぜ、ISAS/JAXA は深宇宙 OTV(軌道間輸送機)をやらなければならないのか?」を元に、検討チームに参加する武井悠人氏と、ISASの企画・事業推進を担当する加持勇介氏、太陽系探査の企画推進や太陽系探査以外の宇宙科学計画の国際協力調整に携わる藤本正樹氏が集まり、なぜISASが「深宇宙OTV」をやるのか、なぜ今やるのか等、それぞれの立場から意見交換を行いました。

*深宇宙:本記事では、宇宙空間において、地球から200万キロメートル以上離れた宇宙として、小天体や外惑星を指している。

武井 悠人

武井 悠人(宇宙航空研究開発機構 チーフエンジニア室 エンジニアリンググループ 研究開発員)
小惑星探査機「はやぶさ2」ではシステム担当として参加。運用、運用計画、姿勢・軌道・通信解析、訓練企画や、運用シミュレータ開発に携わり、リュウグウ近傍運用ではフライトディレクタを担当。現在は、JAXA横断的なプロジェクト支援と独立評価、人材育成を担当する傍ら、将来探査機システムやアストロダイナミクスの研究を行っており、本記事にて紹介する深宇宙OTV検討チームに参加している。

加持 勇介

加持 勇介(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 科学推進部 計画マネージャ)
ISASの企画・事業推進を担当。ISASの組織目標の実現に向け、戦略や計画をJAXA内外の関係者と検討して立案、予算案の調整を行う。また、今後の魅力的な将来ミッションの立上げ・実現へ向けた活動の支援を実施中。

藤本 正樹

藤本 正樹(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 副所長/太陽系科学研究系 教授)
2006年より、ISASに所属。長年取り組む宇宙プラズマ物理の研究に加え、太陽系探査の企画推進への参加をきっかけにN体計算からの惑星系形成論の研究にも取り組みつつ、数多くの太陽系探査ミッションに貢献している。また、太陽系探査以外の宇宙科学計画の国際協力調整や、宇宙科学広報・普及主幹としてISASの広報活動の企画検討も行っている。

「深宇宙OTV」の検討とは

武井: 「深宇宙OTV」について改めて説明しますと、OTVとは「軌道間輸送機Orbital Transfer Vehicle」の略で、探査を行う探査機を深宇宙へ運搬するための輸送システムの事です。
一つの探査ミッションを行う専用の輸送機を単発で開発していた従来のやり方とは異なり、共用化された標準的輸送機を開発し、多様なミッションペイロード(子機に相当する小型探査機や観測機器)を複数搭載して、小天体や外惑星をターゲットとした深宇宙まで運びます。その後、目標天体・軌道でOTVから子機を離脱させて各子機が色とりどりの探査を展開するといった、深宇宙探査における輸送の役割の範囲を大きく変える新しい考え方になります。
共用化された輸送機は様々なミッションで使用できるので、開発時間の削減やミッション全体としてのコスト削減が可能になりますし、多彩なミッションを行う機会を増やすことにも繋がると考えています。また、OTVが深宇宙までの輸送の役割を担うことになるので、ミッションを行うペイロードの開発・運用に注力でき、より挑戦的な探査ミッションができるようになります。現状では、まず共用性の高い、使い切りの標準輸送機を開発して技術や知見を蓄積していき、将来的には繰り返し運用できる「再使用輸送機」の実現を検討しています。ISASでは以前から、地球から深宇宙間の拠点を繋いで多様な目的地に効率よく行けるよう検討がされており、その提唱に繋がる取り組みの一つとして、この「深宇宙OTV」構想があります。
地球低軌道や月でのOTV計画・開発は既に他国でも進められていますが、深宇宙でのOTVは世界ではまだほとんど手をつけられていません。小惑星探査機「はやぶさ2」までに獲得した技術やアドバンテージを活かし、深宇宙での輸送システムを実現したいと考えています。

「深宇宙 OTV」第1段階(左)・第2段階(右)で想定する輸送形態の例 ©JAXA
「深宇宙 OTV」第1段階(左)・第2段階(右)で想定する輸送形態の例 ©JAXA
「深宇宙 OTV」第1段階(左)・第2段階(右)で想定する輸送形態の例 ©JAXA

「深宇宙OTV」の必要性の認識に繋がった「はやぶさ2」での実証実験

武井: 個人的に注目して欲しいポイントとして寄稿文にも詳しく書きましたが、「はやぶさ2」で得られた成果と課題が、「深宇宙OTV」の必要性の認識に繋がりました。まずは、小惑星リュウグウへの精密着陸の成功です。「はやぶさ2」で行った、小惑星の地面に目印を置き、探査機が認識してそこを目掛けて着陸する精密着陸は、他の宇宙船とのランデブードッキング(接近し、結合する)技術と本質的には同じです。60cmの着陸精度で成功できたことは、実質的に深宇宙でのランデブードッキング技術が実証されたと捉えており、「深宇宙OTV」が描く「宇宙空間でのサンプルの受け渡しや燃料の補給」などの実現に繋がります。
もう一つは挑戦とリスク回避の両立です。「はやぶさ2」では小惑星リュウグウに2度の着陸を行いましたが、「着陸失敗によるサンプル全喪失のリスク」への対処が大きな課題でした。もし「深宇宙OTV」があったならば、1度目の着陸で採取できたサンプルをOTVへ引き渡してから2度目の着陸に挑戦できるので、リスクを減らして積極的に複数回の着陸ミッションに挑戦できます。幸い「はやぶさ2」では2度の着陸は成功させられましたが、現場で感じたリスクを抑えることの難しさから、「深宇宙OTV」の必要性を皆が認識しました。

「深宇宙OTV」で注目される挑戦とは

武井: 「深宇宙OTV」の大きな意義としては、研究者が知恵を絞って共用性の高い輸送機を開発し、深宇宙までの輸送システムを作ることだと思っています。「深宇宙OTV」を運用するホストとして、輸送する子機の多様なミッション目標を掬い取り、必要な条件をまとめて共用化された輸送機を仕立て上げる。これは工学的にも非常に難しい挑戦ですし、やりがいがありますね。

加持: そうですね。一番重要なのはシステム技術と理解しています。長く使っていくからこそ、最初に上流の最適な輸送システムを開発する、「深宇宙OTV」を使った探査の世界、構想を作ることは重要ですし、非常に難しいと思っています。もちろんJAXAの研究者は極めて優秀な方々ばかりなので、「やればできる!」と信じています。

藤本: 「はやぶさ2」も「技術の結晶」と表現されることがあったけど、その「技術」という言葉の一般的なイメージには少し違和感があって。ここで考える技術とは、「新しい手品のような技術」ではなくて、「普通の技術をちゃんと使えるようにする」という意味なんだよね。

武井悠人氏
武井悠人氏

武井: はい。もちろん「はやぶさ2」にも様々な新しい技術はありましたが、いい意味で、新しい技術だから成功したのではなく、これまでの様々な探査機やミッションで使われていた技術や装置、機器類を上手く組み合わせて、それぞれの能力を発揮し切ることができたから成功できたのだと思っています。「深宇宙OTV」もまさに同じで、様々なペイロードがミッションを実行するために適した輸送システムを考えることが腕の見せ所です。
「深宇宙OTV」をお弁当に例えてわかりやすく説明するならば、お弁当箱にどんな具材を入れても主菜と味が合い、それぞれの具材も美味しく味わえるような組み合わせを考えて、いかに最高のお弁当を作るかだと思っています!
輸送システムを作り上げる難しさは、私も加持さんと同意見ですが、スペースシャトル並みの大型で複雑な輸送機を長時間かけて作るのではなく、藤本さんの言葉を借りると「OK-sizeのOTV」、自分達が手を出せる「ちょうどいいサイズの輸送機」から始めることで、払拭できるのではないかと思っています。

藤本: ある種ちょっと賢く「ちょうどいい」を選択する考え方だよね。成功だけでなく失敗や計画中止も含めて多くのミッション経験をしてきたISASだからこそ、「ちょうどいいOK-size」で頻度よく打ち上げようと思える、それぐらいの成熟度が我々にはあると思う。

加持: まずは、輸送機のサイズ、ミッションの目的、手持ちの技術、手持ちの資金など様々な観点で、最適な所を狙うことが重要になりますね。これまでの探査の集大成になればと期待します。

今まさに盛り上がりを見せている月面探査の目的の一つは、「火星等に向けた中継基地」。「深宇宙OTV」の構想では、月面での燃料補給は検討されているのか…

加持: 月面探査がある程度次のフェーズに入る際には、「深宇宙OTV」も次のステップとして「再使用」を実現するフェーズに入り、月で獲得した燃料を入れて、火星へ出発、帰ってきたら月で燃料をいれてまた出発、というモデルにも繋がるのではないでしょうか。その時は、まさにランデブードッキングでの燃料補給や、子機でミッションを変えられる、「深宇宙OTV」のコンセプトがちょうど当てはまるだろうと感じています。その必要な技術を獲得していけるOTVは、「15年、20年先の技術」を研究するISASの特性としても非常に面白いですよね。

武井: 「再使用」を考えた時に、月での燃料補給ももちろん検討されていますが、軌道力学の観点から、どこであれば自在性、経済性があるのか、月以外のアーキテクチャも検討する必要があると思っています。私が注目しているのは、地球低軌道です。地球低軌道から、ある軌道シーケンス*を経て出発すると「自在に、経済的に出発できる」ことがわかり、2022年に論文**も発表したのですが、具体化に向けて検討を進めているところです。

加持: 木星といった外惑星だと往復で20年程度なので、OTVの再使用は非経済的ですが、アルテミス計画の最終ターゲットである火星であれば最短で往復3年程で、将来的には再使用の可能性も出てくるかもしれません。帰ってきた輸送機をどこで燃料補給するのか、どこが一番経済的なのか、地球から燃料を運んだほうがいいのか、月で採れた燃料となる水を使用するのか、本当に月から水が採れるのか。これから本格化する月面探査とも繋がれば盛り上がると思います。

*シーケンス:最適な軌道に投入されるまで段階的に行われる動作。

**Y. Takei et al., Redefining low Earth orbit as a parking orbit for flexible and economical Earth departure in deep space missions, Frontiers in Space Technologies, 3 (2022)

宇宙開発は宇宙新興国や民間企業も参入する多極化の時代へ

加持: ここ20~30年間で宇宙新興国にも一通り宇宙機関ができて、人々の生活に直接的に重要な地球観測や災害観測などの分野だけじゃなくて、やはり科学をやろうとしていますね。

藤本: 様々な国の方との会話でも、みんな深宇宙探査をしたいと話してる。

武井: その中で、単独でend to endで企画・開発・打上げ・追跡を、自在的に行える国は極めて限られるので、今アドバンテージを持っているJAXA/ISASだからこそできる宇宙新興国や民間企業への貢献の形を追求したいと思っていますし、「深宇宙OTV」はとてもいい題材ではないかと思っています。

藤本: 我々は「はやぶさ2」の経験もあり、NASA主導の火星サンプルリターンでは参加できない悔しい思いも経験しているので、これから新しく挑戦する人達には協力という形で還元して、その先の新しい探査に向けて共に成長する関係を築いていくような、いい国際協力ができるんじゃないかと思う。そういう意味で「日本と一緒に深宇宙探査をするなら、あのOTVを使うのだ」と明確に発信できれば、「次のミッションにむけて、あのOTVを想定して準備すればいいんだな」とか、これから深宇宙探査を始める国に対してものすごくフレンドリーな進め方ができるよね。
他にも、宇宙新興国が世界の大きなミッションへすぐに参加することは難しくても、その機会に繋がる道筋を日本が作るといったことも考えられる。フレンドリーなやり方をしたいよね。

藤本正樹氏
藤本正樹氏(撮影時は国際会議参加のため欧州より)

加持: 僕は宇宙科学のアウトカムとして宇宙外交への寄与にも期待しています。科学技術での協力を通して他国との関係強化に繋げられるのではないかと思っています。科学の中でも特に深宇宙は、やはり外交の場でも憧れ、ニーズがあります。ですが、じゃあすぐに単発のミッションに誰でも参加してもらえるかというと、それはやはり難しい所もあってフレンドリーじゃない。じゃあ相乗り※を考えたとしても、余剰スペースの提供は打上げ直前まで確定ができないほど難しい。だからこそ、「深宇宙OTV」のように「輸送」という形でインターフェースの予見可能性を持って協力機会を作ることができれば、話題としても非常に扱いやすく、宇宙新興国との協力も非常に進めやすくなると思います。宇宙科学が貢献できる範囲がより広くなるのではないかと期待しています。

藤本: 宇宙科学と聞くと、自分達がしたい研究のためだけにとか、こだわりが強い研究者が多いとか、古典的なイメージもあるけど(笑)実は外交機能の面もあるんだよね。

加持: 上手くいけば大きな貢献ができますよね。世界では、国の活動のシンボルとして宇宙ミッションは非常に注目されています。そういった貢献ができることは非常に大きいなと思いますね。

*相乗り:小型宇宙機に対して運用機会を提供する仕組み。ロケットでメインとなる宇宙機を打ち上げる際にロケットに余剰能力がある場合に、メイン宇宙機以外の小型宇宙機を相乗りさせることができる。

「深宇宙OTV」の実現に向けて

加持勇介氏
加持勇介氏

加持: 2023年6月13日に新しい宇宙基本計画が策定され、「2040年代までの長期的視点を持って火星本星の探査に関する検討を行う」と明確に示されましたね。今は月面探査が中心ですが、やはりその中であっても火星に向けて技術や経験を貯めていく必要はありますし、国としての方向性が決まると、火星に向けた打上げ頻度も増えていきます。その時に「最適なものは何か?」となれば、やはり「深宇宙OTV」のようなコンセプトに期待です。2040年の本格始動に向けて、2030年代には国際的な役割分担の議論が始まるはずなので、なるべく2030年前後でOTVを実装して、火星着陸を目指したミッションや次世代小天体サンプルリターンなどで実際にOTVを使ってみることが大事じゃないかと思っています。

武井: 小型火星着陸に加えて次世代小天体サンプルリターンでも「深宇宙OTV」の実装を前提に検討が進んでいます。このミッションでは、木星軌道にも近づく彗星をターゲットとして検討しています。まずはこれら2つのミッションどちらの要求にも応える輸送機を早期に開発し、実際に複数ミッションで使ってみる。そこから深宇宙に行く輸送機としての知見を蓄えていき、より多くのミッションへ貢献できる次世代機の開発に繋げていく。このサイクルを回すことで、「深宇宙OTV」の本当の価値を発揮していけると期待しています。

夢に描いていた宇宙の世界が、現実に…

藤本: 世界の動きを見ると、これまで夢として描いていた話が急に現実になってきていて、アルテミス計画もただ月に人を運ぶためだけに月面着陸を目指しているのではなくて、宇宙の輸送の新しいやり方を作ってるよね。人類として凄いことだと思う。

武井: すべてが実現すれば、定常的に月に滞在ができるようになりますよね!月での燃料補給や、再使用を含む輸送については既にアルテミス計画には盛り込まれていますし、これまでの宇宙開発と違う次元に足を踏み入れてますね。

藤本: 世界では新しいやり方が始まってる。この新しい流れの中で、アルテミス計画であれだけ大きいことやっているから米国以外はやることないよね、大は小を兼ねるでしょ、と他人事のように捉えるのではなく、じゃあその中でどんな挑戦ができるだろうと考えていくと、今回の「深宇宙OTV」のような提案が生まれると思う。

武井: 具体的に言えば、火星に向かう超大型の宇宙船に相乗りする機会があったとしても、宇宙ミッションは軌道に縛られるので、火星軌道投入後にそこから分離して軌道面を大きく変えることは現実的ではありません。ですが、「深宇宙OTV」であれば、ピンポイントに別の軌道を目指すといった需要にも応えることができます。考え方を広げれば、超大型の宇宙船にOTV自体を相乗りさせてもらい、途中で分離され、その後軌道制御して、OTVが輸送する子機を目的の軌道に入れてあげることも考えられます。競争相手かどうかとか、大きい・小さいではなく、世界は一緒に宇宙を開拓していく仲間でもあり、自分達の独自性を出すための仲間として一緒にやっていく要素が十分にあると思っています。

藤本: 世界の流れが変わり始めている今だからこそ、新しい探査のやり方として「深宇宙OTV」をISASで実現させたいね。

武井: まさに世界の流れに乗らない手はないと思っています!

最後に

武井: これまでISASは、いい意味でハングリーなミッションが多く、限られたリソースの中で理学・工学が一体となり、頭を使って第一級の成果を追い求めてきました。そうした良いミッションを高サイクルで行ってきた中で様々な開発技術・運用技術を蓄積できたからこそ、「深宇宙OTV」の検討でもよりコンパクトに、広く要求を取り込める設計ができると思いますし、そうした強みがあるISAS/JAXAだからこそOTVを開発できると思っています。
将来、「深宇宙OTV」が発展して日本発の惑星間輸送事業ができ、数多くの第一級の科学成果へ貢献するだけでなく、有人拠点への持続的な物資補給も担う未来を実現したいです。「深宇宙を翔ける多用途輸送船OTV」を、「量産型OTV」と表現できる世界を目指したいですね。また、個人的な目標ではありますが、日本社会への直接的な貢献にも繋げたいと思っています。惑星間輸送事業への民間企業の参加や、「深宇宙OTV」の運用センターが国内にできて雇用が生まれるなど、活力が溢れる日本の未来に繋げたいです!

加持: 若手時代、当時の直属の上司だった川口淳一郎教授(現・宇宙航空研究開発機構/名誉教授)に、「できない理由を探すな!」と何度も言われましたが、できない理由を探して何もやらないよりも、しっかり飛び込みたいですね。月が科学目的だけの探査をやっていた時代から今はアルテミス計画が始まり、これからは輸送機が常に送り込まれるようになったように、次のターゲットである火星も宇宙科学だけが目的じゃなくなる時代が来るんですよね。20年後にはまた世界が大きく変わると思っています。だからこそ、できる理由を探して実現に向けて動いていきたいですね。

藤本: H3ロケットが開発されて、「はやぶさ2」が大成功して、火星衛星探査計画MMXが動き、火星着陸に向けて研究が進められて、彗星にも行こうとしていて、今ISASではこれまでにない程様々な探査のアイディアが同時に進められている。世界を見たらそれが当たり前の国もあるけど、日本の宇宙科学が非常に豊かな土壌になっている今この瞬間は、素晴らしいと思っていて、この時代に立ち会えている自分の運の良さにはびっくりするよね。だからこそ、これまで通り単発のミッションではなくて新しいやり方をISASで実現していく必要がある。「深宇宙OTV」は次のミッションじゃない、次世代の探査のやり方「次世代の探査プログラム」の提案だよね!

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