深宇宙探査用地上局プロジェクト

GREAT PROJECT


Where there’s a will,
there’s a way!
大電力増幅装置の据付試験状況



2020年9月9日

大電力増幅装置の現地据付試験が進行中です。
臼田64mでは、クライストロン(マイクロ波用真空管の一種)を用いた送信機を使用していますが、供給元が米国企業1社だけであることと、動作が不安定であることから、保守性や安定性等を高めるため国産によるGaN(窒化ガリウム)を用いた固体電力増幅装置を日本電気株式会社の協力を得て開発しました。
以下の写真は美笹局で据付試験中の30kW級 X-SSPA(X-band Solid State Power Amplifier;固体電力増幅装置)です。本装置は、GaNデバイスを内蔵した384本のPA(Power Amplifier、1本あたり125W出力)を多段合成して最終的に30kW出力を得るものです。そのため、複数本が故障しても送信出力が若干低下しますが送信運用を継続することが可能となるため、探査機に対するコマンド運用の持続性と安定性が向上します。X帯で30kW級の大出力が得られる固体電力増幅装置の導入は世界初(国内外の深宇宙用局ではクライストロンが使用されています)となります。
今後、実績を重ねつつ、小型化、省電力化を図ることでクライストロンに代わって世界の主流になることを期待しています。


↑電力増幅部の内部構造です。1つのラックの寸法は2.35mの立方体の大きさであり、その中に192本のPAが組み込まれています。PA48本分を1ブロックとして48合成器(円形の形をしたもの)で合成します。これが2つのラックで8ブロック存在します。それぞれの48合成器から出力された電波は、導波管(電波を通す四角い筒)を通してラックの上部(2つのラックのほぼ中央)にある8合成器に入力され、ここで8合成され30kWの出力を得ます。PA、導波管、合成器等は発熱するため、水で冷やし一定温度に保つように工夫されています。


↑前面のパネルを閉じた状態です。通常はこの状態で稼働します。


↑試験風景です。右側の装置はPA、導波管、合成器等を冷却するため、ポンプから送り出された水を各機器に分配する装置です。


↑水冷管です。


↑PA、導波管、合成器等で温めれらた水の熱を冷媒ガスで熱交換し屋外に逃がします。写真は熱交換器の室外機(冷凍機)です。





2020年9月12日

地球から探査機に向けて発射する電波の偏波は通常、RHCP(右旋円偏波、Right-Handed Circular Polarizationの略)が良く使われていますが、LHCP(左旋円偏波、Left-Handed Circular Polarizationの略)が使われることもあります。
SSPAの最終的な試験として、このLHCPでの送信出力をアンテナと接続した状態で確認しました。関係者としては、ほっとしました。
下の写真は当日の作業に携わった方々の集合写真です。(皆さん嬉しそう)
今後、システム全体を組み合わせた試験を経て、いよいよ「はやぶさ2」に向けた送信試験を実施します。





PAGE TOP