JAXA 宇宙科学研究所 海老沢研究室へようこそ
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2024年度

米国Lawrence Livermore National Laboratory滞在 その1(2024年8月1日-31日)

Greetings from California. 8月1日より、D2栗原は米国Livermore National Laboratory(LLNL)に滞在中です。昨年7月に続く2回目の訪問ですので、経緯についてはこちらの日誌を参照してみてください。 前回は1ヶ月という期間で、主眼は取得済みデータの解析手法を学ぶことだったわけですが、今回は3か月とボリューム満点。滞在初月の8月は、測定装置を動かしデータ取得に勤しみました。

 XRISMの持つ高エネルギー分解能は、観測されるX線がどの元素の、どの価数のイオンから、どんな素過程で生じてきたのかを調査することを可能にしました。しかしそれは、信頼性の高い参照モデルがあってこそ。地上でのプラズマ実験は、そのようなモデルやデータベースのベンチマークに一役も二役も買っているのです。
 どのような測定を行ったのか、ちょっとだけ詳しくお話してみましょう。XRISMが観測している宇宙プラズマを(1)地上で再現して(2)模擬観測しよう、という大目標なわけですが、これがなかなか大変です。まず、プラズマ(原子から電子が電離してイオンと共存している状態をプラズマと呼ぶのでした)の生成にはEBIT(いーびっと)という装置を使います。注入した元素ガス(今回は鉄Fe)を標的に、加速した電子ビームをぶつけ、鉄原子核周りの束縛電子を剝ぎ取っていきます。この方法の優れている点は、どれだけ剥ぎ取るか、すなわち何価のイオンを作るかをコントロールしやすいところです。実際、この性質を利用してある特定のエネルギーの輝線の性質を「個別に詳しく」調べる、といったことが行われています(宇宙研のご近所研究室さんでも!)。一方、自分の取り組んでいる測定は、より直接的にXRISMのデータと比較することを念頭に置いています。特定の温度を持つ熱的プラズマというのは、単一のイオンではなく複数種類のイオンから構成されますが、その存在比率は一定です(加えて、各素過程を担う電子がどのようなエネルギー準位にいるのかも一意に決まります)。 それを踏まえ、昔の賢人たちはEBITの電子ビームの強さを適切に高速時間変化させることで、平均的に宇宙の熱的プラズマに近いイオン比を持つプラズマを作りだせると考え付いたわけですね。LLNLにある、XRISMと同原理で動作する分光器でこれを観測すれば、広帯域のスペクトルとして参照データが取得できる寸法です。LLNLは2000年代からFeを含むいくつかの元素で測定の実績があります。我々のプロジェクトは初めて非熱的な電子分布を持つプラズマからの放射までを対象としているところに新規性があります。
 ちなみに、私の本業(?)である恒星フレア現象は非熱的な粒子の存在が予想されるところなので、意気込みもひとしおです。 とはいえ、1ヶ月の実験を終えた今は、さすがにちょっと疲れを感じます(笑)。冷却用の液体ヘリウムの流入量を常に見張っていなければならない都合上、測定期間中は缶詰め状態でした。でも、一緒に測定している人たちは良い人たちで、気晴らしに州立公園(日本の公園を思い浮かべないように!)につれてっていただきました(写真)。
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 とりとめもなく書いてしまいましたが、今回はこの辺で。次回はまた1ヶ月後くらいにお会いしましょう。おっと、その前に森口君のノルウェー滞在記もお楽しみに! (みき)

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関学集中講義(2024年8月22日-23日)

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併任教官をしている関西学院大学で、2日間の集中講義「X線分光天文学」と講演会を行ってきました(1枚目)。 関学は、森口くん在籍中、一昨年に富永さんが講演など、いろいろ繋がりがあります。さて、実は僕はこれが初めての大学での授業でした。夏休み期間で参加者も少なかったので、思い切って演習中心の授業にしたところ、平賀研、高橋研の学生さんたちも積極的に参加してくれて、無事(?)任務完了です。1コマ100分の授業を2日で7コマもやるので、体力が持つのかと最初はかなり心配でしたが、なんとかなりました。事前に講義資料を作るのが非常に大変であると実感しました。関学は三田盆地の新興住宅街(2枚目)にある瀟洒なキャンパスです。奥まった場所にありますが、大阪駅や三宮駅から理学部の直前までの直通バスがあり、意外と行きやすいです。これを含め、今年の夏は大きな業務をいくつか詰め込んでしまい、研究やプロジェクト推進に支障がでて反省しているところです(つ)。
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Cloudy Workshop 2024(2024年8月3日-9日)

宇宙研で Cloudy Workshop 2024 を開催しました。当研究室からは social organizing committee(辻本)及び local organizing committee(辻本、望月、厚地)の一員として参加、研究会を盛り上げました。

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Cloudy とは、世界で最もよく使われている天文学の数値輻射輸送計算コードですが、日本ではあまりユーザがいないので、ほぼ毎年各国持ち回りで開催されている同 workshopを日本で初めて開催することにしました。全国の大学院生を中心に現地参加者 53名(1枚目)、登録者184名と、これまでで最大の盛会になりました。Cloudy を50年近く開発し、この分野の標準的教科書 "Astrophysics Of Gaseous Nebulae And Active Galactic Nuclei" の著者でもあるケンタッキー大の Ferland 先生及び、開発陣の van Hoof さん、Gunasekera さんに来ていただき、午前は講義(2枚目)、午後は Cloudy を使った演習(3枚目)の5日間です。演習課題はグループを作って自分たちで考え、最終日に成果発表をする、というものです。大半が Cloudyの初心者という中、どのグループもかなり活発に議論が進みました。電波からX線まで適用範囲が非常に広い Cloudy なので、様々な演習課題があり、課題発表は5日間と思えないほどの完成度でした。

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我々の XRISM 衛星で観測するX線スペクトルの輝線・吸収線は、非局所平衡条件で形成されるものが多く、その物理的解釈のために輻射輸送計算は不可欠です。一方、Cloudy もここ数年でX線対応が進みました。その結果、まさに出てきたばかりの XRISM 初期観測データに適用できる計算が Cloudy でちょうどできるようになった、というベストタイミングでの研究会開催でした。D1望月、M1厚地くんはケンタウルス座X-3、コンパス座X-1という有名天体のXRISM観測データに取り組んでいますが、その解釈に適用できる Cloudy の演習課題を設定し、取り組みました(1、2枚目)。分野が広くお互いに初対面が多い中、懇親会をしたり(3枚目)、グループごとに夕食に行ったりして、打ち解けた雰囲気での生産的な5日間でした。これを機会に、Cloudy を使った分光天文学の研究が様々な分野で進めば、主催者としては狙い通りです(つ)。
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天文・天体物理若手夏の学校@伊勢志摩(2024年7月23-26日)

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写真1: セッションでの発表の様子。望月さんが撮ってくれました。
写真2: 朝夕飯は毎日バイキングでした。特に鴨肉と海老天とデザートのライチがおいしかったです。
写真3: 夜の宝生苑。ボウリング会の帰りに探索しました。将来こういう家に住みたいです。
写真4: 最後の記念撮影。来年もぜひ逢いたい素敵な皆さんでした。
厚地です。7月23日から26日にかけて、三重県賢島で開催された2024年度 第54回天文・天体物理若手夏の学校に参加してきました。
本研究室のM1は例年参加している夏の学校(通称: 夏学)は、日本全国の天文学界隈の院生が一堂に会し、研究発表や懇親会を行う傍ら、観光を楽しんだり、夜にパーティーゲームを遊んだりして、初めて知り合った研究仲間との交流を深める一大イベントです。今回の会場は賢島宝生苑。室内に滝や日本庭園が置かれロビーや宴会場には音楽が流れる、絢爛という言葉を具現化したような旅館で、露天風呂やバー、カラオケにボウリング場を備え、さらにバイキングの食事で好きなものを好きなだけ食べられるという、天国を遥かに上回る居心地の場所でした。
僕の発表テーマはXRISMのスペクトルデータ解析についてでした。僕は研究室のご縁のお陰でXRISMのデータ利用に関して世界に先んじていて、輝線・吸収線の微細構造があらわに観測された実際のスペクトルデータを用いた発表は驚きをもって受け止められました(と思っています)。コンパクト天体分科会の皆さんの講演で「X線天文学の次世代・ゲームチェンジャー」としてXRISMの話題が繰り返しあがっていたのに留まらず、太陽恒星分野のポスターの解説を聞きに行ったときにも太陽系内の磁気の観測にXRISMを利用するお話が出たことは僕にとって驚きで、予想以上にさまざまなスケールの天文学でXRISMが活躍する、その未来のちょうど始まりの時点に立っているのだと感じました。また、TES型マイクロカロリメータやそれ以外(時間分解能に優れるXRPIXなど)のX線検出器開発に関連した研究もいくつかあり、これからのX線検出装置への理解を深める上で非常に勉強になりました。
4日間、露天風呂からは星がよく見えたので、湯につかりながら星の話もいくつかしました。余談ですが露天風呂のお湯はややしょっぱかったです。そのあとの夜は時間があったので、大部屋でボードゲームを遊びこみ、たくさんの知り合いが増えました。埋蔵金を目指して坑道を繋げるゲームは本当に面白かったので自分でも買いたいです。2日目の夜は懇親会で、バーでお酒を飲みながらカラオケを歌って大盛り上がりでした。3日目はコンパクト天体分科会の座長団の皆さんとボウリング会でした。1ゲームを投げて、僕は75点で真ん中くらいの順位でしたが、12人中1人、なんと100点を超えた人がいて、プロかと思いました。
僕にとって今回の夏学は、これまでの活動で知り合ったコンパクト天体関係の先生方や学生の皆さんのほかに、装置開発から恒星・銀河、素粒子物理にいたるまであらゆる天文関係の方々と研究の話ができる嬉しい機会であり、また今まで行ったことのなかった伊勢志摩を観光地としてめぐる機会でもあり、観光特急しまかぜに乗ったり、XRISMのデータを使って発表したり、志摩スペイン村に行ったり、ブラックホールのポスターの解説に質問攻めしたりと、あらゆることが初めての連続の、とても充実した4日間でした。来年はコンパクト天体分科会の座長団として参加する予定です。来年も行けるぞ! (なぎ)

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ベルギー(リエージュ大・ゲント大・CSL)訪問(2024年7月15日-20日)

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コロナ後初めて、5年ぶりの海外出張でベルギーに行きました。昨年、宇宙研を訪問頂いたリエージュ大(1枚目の写真)の共同研究者のヤエル=ナゼさんが主催する大質量星連星に関する国際研究会に参加するためです。ちょうど、XRISM衛星による新しい結果が出たばかりだったので、最新の研究発表ができました。我々が作り上げたX線分光器"Resolve"の威力は、特にブラックホールや中性子星の連星系で発揮されるので、この発表を機会に多くの共同研究が生まれそうです。ヤエル=ナゼさん(2枚目写真の右から2番目の人)とその旦那さんでこれまた高名な天文学者であるリエージュ大学のラウフ教授(右端)とその娘さん(右から3人目)には、研究会主催中で多忙なところ、初日にご自宅へ夕食にご招待いただきました。
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さて、リエージュは、ワロン地方(フランス語圏)の中心都市です。ミューズ川(1枚目)左岸に橋頭堡を得るため、第一次・第二次大戦ともにドイツ軍に最初期に侵攻され、抗独記念碑(2枚目)が河畔に残っています。特に、第一次のリエージュの抗戦は有名で、バーバラ=タックマンのピュリッツァー受賞作「八月の砲声」で描写されていますが、この本を知っているベルギー人にいままで会ったことがないのはなぜだろう??その予想外の抗戦で仏軍再建の時間を得たフランス市民が、それまで別の名前で呼んでいたデザートを Cafè liègeois 「リエージュ人のコーピー」と呼び出したのが、いまでもレストランで提供されます(4枚目)。
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2日目には、電車でゲント大学を訪問しました。昨年、富永さんが訪問したゲント大学のファンデアミューレンさんと、XRISM衛星による観測データの解釈で必須な輻射輸送計算の相談をするためです。望月くんもリモートで参加。ゲントは、フランダース地方(オランダ語圏)の中心都市の1つです。 中世西欧の有力者であったフランドル伯の居城があり、いまでも多数の中世建築がいたるところに残っています。ちょうど、ヨーロッパ最大級のお祭りゲントフェスの直前で、非常ににぎやかでした。
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4日目には、リエージュ大学に隣接する CSL (リエージュ宇宙センター) を訪問しました(1枚目)。ヨーロッパ宇宙機関が打ち上げた多くの天文衛星がここで試験をしており、我々の研究で非常によく使う XMM-Newton, INTEGRAL, Planck 衛星も含まれます。2枚目が6メートル熱真空チャンパ。我々も JAXA の13メートル熱真空チャンバで何ヶ月にもわたって試験したので、非常に興味深かったです。我々の今後の開発にも密接に関係します。まず、LiteBIRD 衛星の欧州担当望遠鏡はこのチャンバで試験される可能性が高いです。また、欧州が進める次期大型X線衛星 Athena の X-IFU X線分光器は、我々の "Resolve" 分光器を引き継ぐ観測装置ですが、ベルギーはその重要コンポーネントの1つであるゲートバルブの開発を担当しています。Resolve のゲートバルブは、当研究室の御堂岡くんが性能較正をし、栗原くんが電磁干渉試験で使用したもので、まさに我々の経験が活かせます。担当のエンジニアとたくさん議論しました。相手は、自分と同じく衛星プロジェクトの重圧を同じ立場で感じる人なので、ぜひ開発に成功してほしく、引き続き支援できればと思っています。帰りに、お土産に XMM-Newton の望遠鏡の残り(3枚目)をあげると言われたのですが、大きくて持って帰れない。残念。

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ベルギーはその2言語体制で有名ですが、短期間で両圏を行き来すると、その極端ぶりが如実にわかります。左側がゲント駅の行き先案内板。予約した帰りの Liège 行きの電車が見当たらず焦ります。Liège は仏語で、フランダース地方では頑なに使用が拒否されているためです。逆もまた然り。Luik (蘭語綴り)行きの電車に乗りましょう。つまり、外国人も、地名の仏蘭別表記を知っていることが想定されています。これが曲者で、スペルのちょっとした違いだけでは済まず、Mons (仏語) = Bergen (蘭語)=山とか、Le Coq (仏語) = De Haan(蘭語)=雄鶏とか、地名が意訳されるので、仏蘭両語に精通していないと無理です。。。自虐ネタになっていて、研究会懇親会の余興で、「対応する仏蘭表記を結べ」というクイズが出題されていました(2枚目)。更に複雑なことに、ドイツ語圏ベルギーという非常に小さな第三のグループもあり、実は共同研究者のラウフ教授はその出身とのこと。

いろいろ風変わりな国ですが、食事もよく非常に過ごしやすいです。両言語圏とも、共同研究者も多数でき、我々の様々な研究で偶然にも多数の接点があるので、また訪問することになるでしょう。しかしながら、その費用を稼ぐために学術振興会の二国間交流事業に応募しようとすると、ベルギーだけ国の枠がなく、ワロン地方かフランダース地方かどちらか一方だけを選択する必要があります。これが数奇な運命をたどった国の知恵なのか、単なる頑固なのか、ナゾは深まるばかりです(つ)。
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2024年7月15日-19日 LiteBIRD face2face meeting (Vancouver, Canada)

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一昨年12月の岡山昨年 9月のエルバ島 (イタリア) に続いて、 パンデミック後3回目の LiteBIRD global face2face meeting が、カナダのバンクーバーで開催されました。 僕はカナダには何回も行きましたが、バンクーバーは初めて。数年前、 真央ちゃんが惜しくも金メダルを逃した冬季オリンピックの開催都市として印象に残ってましたが。 広大なカナダの大地の南西の隅っこ、すぐ南はアメリカ、西は太平洋に接した、きれいな街でした。

会場は、海に面した広大なキャンパスを持つ The University of British Columbia (UBC)。ホテルは大学のキャンパス内、レストランもカフェも スーパーマーケットもバーも大学内に揃ってます (ローカルビールの Parkside Hazy IPA がおいしかったです; 写真左)。 なんと1万人くらいの学生がキャンパス内に住んでいるとか! 大学だけで一つの街を構成している感じです。

カナダは移民が建国した多民族国家で、大学でも街中でも、いろいろな人種、ルーツの人が混ざり合って、うまく調和しているようです (こういう環境に身を置くと、とても心地いいんだな)。 それでいて、先住民へのリスペクトも忘れません。キャンパス内にはトーテムポールが立ってて、 ストリート名は先住民の言語でも書かれています(写真右)。(ヨーロッパと違って) 街中に落書きは一切ないし、(アメリカと違って) 公共のバスでどこにでも行けるし、(日本みたいに) 深夜でも普通に人が歩いてるし。そこらへんがカナダだね!

明るい研究会場の背景では、学生がバスケットボールに興じてます(写真中)。さて、 今回のミーティングで、私は観測データ解析の国際的な枠組み、Science Ground Segment (SGS) の検討状況を発表する予定で準備をしていたのですが。 ミーティングの直前に、LiteBIRDに参加する機関の体制に大きな変更が起きる可能性があるとの速報が入りまして。こういうのは良くあることでして。数百億円の巨大プロジェクトを国際協力で実現するというのは一筋縄ではいきません。 その体制変更に応じて、衛星の設計変更や目標変更の可能性もあり、それらの重い議論に終始して、SGSの発表自体なくなってしまいました。 まず、衛星を作って打ち上げて、運用してデータを取ることがいちばん大事で、そこからがSGSの出番ですからね。

何があっても、宇宙がインフレーションで誕生した証拠となる宇宙背景放射のBモード偏光を検出する、というLiteBIRDの目標は変わりません。 人類は必ず、いつか、Bモード偏光を検出するための宇宙機を打ち上げるはず。そして、必ず、人類はBモード偏光を検出するはず。 数々の困難を乗り越えた末に、結局、JAXA の LiteBIRD がその発見を成し遂げることを目指して。最後の発表のスライドの最後の一行:2030年代のいつか、UBC の同じ会場で、LiteBIRD がテンソル・スカラー比 r=0.0037 を決定したという報告をするだろう (写真中)、 ということで研究会は終了。 (K.E.)

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SPIE in Yokohama (2024年06月16-21日)

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写真1:学会受付
写真2:企業ブースで展示されていたXRISM衛星
写真3:レセプションパーティーの様子
写真4:ポスター
D1の望月です。 今回はパシフィコ横浜で開かれた SPIE という国際学会に参加してきました。 SPIEとは、光学装置の研究分野を幅広く扱っている国際学会です。研究分野が幅広いため、SPIEはいくつかのセッションに分かれています。 私は、そのなかでも天文学に関わる衛星や望遠鏡のセッションに参加し、 IACHEC(5月の日誌参照)と同様に修論で扱ったXRISM衛星の研究内容でポスター発表をしてきました。
衛星や望遠鏡は、X線だけではなく、電波、赤外線、可視光、紫外線、ガンマ線を観測する様々なミッションがあります。 SPIEは次世代ミッションの講演も多く、将来の天文学の発展を垣間見ることもできました。 個人的には、X線と波長が近い紫外線の将来衛星計画の発表が興味深かったです。 また、扱う波長が異なる方々とは普段交流する機会が少ないですが、 本学会では交流することができ、とても楽しかったです。
(もち)
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祝賀会@町田イタリアン ルーチェ(2024年5月28日)

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写真1:今回の祝賀会はイタリアンでした。薄切れの肉にかかっていたソースがおいしかったです。
写真2:最後にみなさんと記念撮影。
厚地です。栗原さんUX Ari論文受理、望月さんSPRING GX採択、柏崎さん・森口さん就職内定おめでとうございます!
先輩方が今年度の初めに達成した数々の快挙のお祝いのため、町田のイタリア料理店「ルーチェ」にて祝賀会を開催しました。今回は本研究室OB・OGの御堂岡先輩、大間々先輩、富永先輩も交えて、卒業後の進路のことや天文学研究の思い出、最近の日々のあれこれについて、たくさんのお話に花を咲かせました。改めて、ご参加ありがとうございました。
僕の数歳上の先輩方のお話を聞いていて漠然と思うのは、やはり僕は将来何になるのかということです。小さい頃からずっとこの問題への回答を先へ先へと伸ばしていましたが、よく考えるとあと数年で答えを出すことになるんですね。避暑地に引っ越して仕事は家からリモート……そんな話を聞くとやはり魅力的で、かと思えば宇宙開発に携わる研究所に勤務……というのもまた魅力的。僕は「子供に夢を与える仕事がいい」という形のない未来像だけはありますが、二年後、あるいは五年後、どんな大人になっているのでしょうか?答えが出たときにはまたこのような食事会で、いずれ来る後輩と近況を語らい、過去の悩みの話の種として蒔き去ってしまいたいですね。ちなみに人生の最終目標としては地球の数々の名所を巡り尽くし、世界地図を適当に指さしたときにそこの思い出を話せるようになりたいです。
ちなみに、今回は僕が幹事だったのですが、当日は猛烈な台風の影響で参加者一同を駅からの往復で全員びちょびちょにしてしまいました。なんたる大失態。その節は本当にすみませんでした。また、この日に僕が使っていた黒いワンタッチの傘は暴風で「曲率が負の宇宙」みたいな形になってしまい、完全にお釈迦になったので、辻本先生イチオシの防風加工傘を購入しました。買い換えた翌日に、壊れてめちゃくちゃに開いたままの傘を玄関にとりあえず置いて外出し、そのことをすっかり忘れて帰ってきて扉を開けた瞬間、羽を広げた大きなカラスの形の傘が目に飛び込んできて思わず玄関先で「うわあっ!!」と叫んでしまいました。まったく台風はろくなものではないですね。 (なぎ)

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IACHEC in Spain (2024年05月10-18日)

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D1の望月です。 今回はスペインのセゴビアで開かれた IACHEC という国際学会に参加してきました。 IACHECとは、毎年開かれているX線観測衛星の較正やスクリーニング研究に特化した学会です。 較正とは、観測した値を正しい値に調整することです。 スクリーニングとは、天体信号を残しながら、天体ではないノイズ信号をを除去することです。 どちらも、装置の本来の性能を発揮するため、そして純粋な天体信号を解析するために必要不可欠な研究です。
私は、修論で扱ったXRISM衛星の研究内容で口頭発表をしてきました。 今年はXRISM衛星打ち上げ後初のIACHECということで、XRISMの特別セッションが開かれました。 そのためか、私の発表も含めてXRISMの発表に特に注目して聞いてくれたと思います。
X線衛星は勿論XRISM衛星だけではなく、様々なミッションがあります。 恥ずかしながら私の知らないミッションもあり、とても勉強になりました。 他の装置の較正やスクリーニング手法と自分の研究との共通点があり、お互いに経験を共有できました。
ここから発表以外のこと。まずこの学会は参加者が同じホテルに泊まって、朝昼晩ごはんすべてを共にします。 晩ごはんは毎日コース料理で、こんな良いもの食べてていいのかなという気持ちになりました。でも修論がんばったし、良いよねって気持ちで食べてました。 このときヨーロッパの方々の円卓に突撃して、ご飯を食べてきました。 でも、まだまだ思うように会話できなかったです。 英語力もそうですが、文化が違うと話す内容の前提知識が異なり、話についていくのでやっとでした。 まだまだ自分には伸びしろがありそうです。 それでも、私の博論研究計画についての議論をすることができ、渡航前に予定していた目標を達成することができました。
目標達成、学会終了後は観光が待っています! 行った場所はホテルの近くのセゴビアとマドリードです。 どちらも最高の場所でした。 建物がきれいで、治安も良く、過ごしやすい気候でした。 セゴビアでは水道橋、聖堂、お城を見学、マドリードでは、美術館、バルを楽しみました。 2週間経ってもまだ思い出します。あーまた行きたいなー。
(もち)
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2K Joule-Thomson冷凍機が生じる磁場測定実験 (2024年4月26日~4月30日)

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写真1:Joule-Thomson冷凍機 写真2:実験メンバーとの集合写真

4月26日から30日までの期間、ISAS内の磁気シールドルームで、2K Joule-Thomson冷凍機が生じる磁場測定実験を行いました。 この冷凍機は、LiteBIRD衛星に搭載される機械式冷凍機の一種です。 現在世界に二台しか存在しない希少な機器であり、この実験によって貴重な磁場データを収集することができました。 実験は5日間にわたる大規模なものでしたが、すべての測定項目を予定通りに測定でき、安堵しています。 今後の解析作業で得られる結果が楽しみです。(かし)


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commanderチーム来訪 (2024年3月27日~4月3日)

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写真1:最終日に開催した打ち上げ会の様子

今回はLiteBIRDプロジェクトに参加されており、CMBの解析に用いられるツールであるcommander(Optimal Monte-carlo Markov chAiN Driven EstimatoR)を開発されているノルウェーのオスロ大学に所属されておられるHansさん、Ingunnさん、Duncanさんが宇宙研に来訪されました。この来訪の目的は、私が解析を進めていた人工衛星あかりの時系列データをcommanderに読み込ませ、公開された全天マップと比較することであり、無事に目的を達成しました。来訪期間中に目的を達したこと、研究が進んだことで私自身とてもホッとしています(笑)。今後あかりのデータがcommanderを通じてどのような姿になるのか、またあかりデータの有効性を示す日を楽しみにしながら、より研究に精を出そうと思います。 (もり)


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厚地さん入学 (2024年4月1日)

東京大学から厚地さんが修士課程学生として進学しました。(K.E.)


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