JAXA 宇宙科学研究所 海老沢・辻本研究室へようこそ
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2024年度

MAXI 15 year Workshop for the Time Domain Astronomy (2024年12月10日-13日)

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D2栗原と海老沢先生がMAXI 15 year workshop for the time domain astronomy @日大御茶ノ水に参加してきました(写真1)。 全天X線観測装置MAXIは国際宇宙ステーションISS上にあり、およそ90分に1度という高い頻度で空全体のX線写真をとることができます。 その特徴を生かして、2009年の運用開始以来多くの突発天体現象を発見してきました。ISS Research Awardも受賞しているのですよ!(写真2) 最近はX線だとXRISMの話題が多い当研究室ですが、海老沢先生や中平さんを筆頭にMAXI に対しても貢献の歴史があります。

私の研究対象である恒星フレアも代表的な突発天体現象の1つ。いつ、どこで発生するかわからないフレアを捉え、 XRISM 等での詳細観測にいち早くつなげるために、MAXI の担う役割は大きいです。 今回の発表も、もしかしたら聴衆の中にXRISM proposalの審査員になりうる人がいるかも?なんてことを考えながら 準備したわけですが… コネクタ問題で途中で画面が映らなくなってしまうトラブル発生(注:事前にテストはしました)。 バックアップスライドのおかげで最後まで話せましたが、後味が悪い国際学会口頭発表デビューとなってしまいました。

懇親会は21階から東京の街を眺めながらの中華料理でした(写真3)。 恒星フレアをメインに行っている人は少なかったですが、中国のEinstein Probeとか、 全天を広く見ているミッションでは予想以上に映りこんでくるようで。 そういった海外ミッションに携わっている人たちから、恒星フレアの発生確率を議論するうえで役立ちそうなお話が聞けたのは収穫でした。 (みき)
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地球電磁気・地球惑星圏学会 2024年秋季年会(2024年11月24日-27日)

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地球電磁気・地球惑星圏学会(SGEPSS 2024)に、D2栗原と辻本先生で初参加してきました。 地磁気や地球大気各層、そして太陽圏や惑星圏と、まさに「地球の真ん中から宇宙まで」と銘打つ学会だなという印象です。 私は「宇宙天気・宇宙気候 ~観測、シミュレーション、その融合~」というセッションで恒星フレアX線分光観測について口頭発表してきました。

研究内容的には、今までで一番よそ者感を感じた学会でしたが(笑)、意外と知り合いはいるものですね。 宇宙研の上下の階の住人で研究以外のところでご一緒していた人たちだったり、就職活動でお知り合いになった方だったり。もちろん、普段から議論させていただいている太陽研究者の方たちもいました。懇親会は極地研(写真1)の倉庫を借り切って立食パーティ(写真2)でしたが、予想以上に楽しめた気がします。

都内の学会の朝は電車混むなぁ、やっぱり学会は泊りがいいなぁと感じてしまったD2の秋(初心を思い出さないと,,,)。 帰り際に立ち寄った南極・北極科学館(写真3)、プラネタリウム的オーロラ展示の椅子が心地よくて寝てしまいそうでした。(みき)
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2024年11月10日-14日 Astronomical Data Analysis Software & Systems 2024 (Valetta, Malta)

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    マルタ (という国) に行ってきました!地中海にそういう名前の小さな島国が浮かんでいることは前から知っていたけれども。 「マルタ騎士団」って、世界史で習った記憶があるし、 歴史的なマルタ会談で冷戦が終わったことも記憶に残っているけど。
  できるだけ安く行こうとして、羽田→コペンハーゲン→ミラノ(マルペンサ)→マルタのチケットをゲットしたら、羽田で出発が遅れて、 なんとコペンハーゲンで乗り継ぎできず。それでもなんとか、コペンハーゲン→フランクフルト→ミラノ(リナーテ)→タクシーで一時間→マルペンサ→ホテルで一泊して→マルタ(バレッタ)へ。 そんなわけで、日本から1日半かけてやっと辿り着いた、地の果ての様なバレッタの街の、なんと賑やかでお洒落なこと (写真左上)!ヨーロッパでは有名な観光地なのですね。 また、バレッタの中心に鎮座する聖ヨハネ大聖堂が、また豪華絢爛で立派なこと (写真左下)! ローマとエルサレムの間に位置し、十字軍の通り道だったことから戦略的に重要で、ヨーロッパからたくさんの資金がこの街に流れ込んだ、というような説明を、街歩きのツアーガイドから聞きました。 バレッタは16世紀に、何もないところに作られた新しい (!) 要塞都市だそうです。 それよりずっと古いのはMdinaという都で、紀元前から人が住んでいたそうで、11世紀に作られた要塞都市がそのまま残っています。 そのきれいなお城 (写真中) の中で、研究会のバンケットがありました。う~ん、不思議なところだ、マルタは。
  おっと、マルタに行った理由は、天文学のソフトウェアとシステムに関する研究会、ADASS2024に参加するため。 僕は、コロナ前、2019年のオランダ以来、ADASSへの参加は5年ぶりでした。今回は自分の発表はなく、もっぱら情報収集とお勉強に徹しました。 この研究会に来ると、世界中で天文学研究に利用されているソフトウェアとシステムに関わる、ありとあらゆる動向を知ることができます。 世界的に、地上でもスペースでもたくさんの巨大プロジェクトが走っていて、たくさんの将来計画もあって、膨大なデータをHigh Performance Computingでいかに効率よくパイプライン処理するか、 なんて話が多かったです。天文学者が自分で天文台に観測に行って、(小規模な) データを取得して、自分でソフトウェアを書いて解析する、 というような伝統的なモデルはもう当てはまらなくなってきてるな、という印象です。巨大で複雑なソフトウェアやシステムを構築するには、 天文学の知見を有するICTの専門家が必要です (僕もまだまだ勉強しないと)。どの巨大プロジェクトでも積極的に人を募集していて、さて僕はJAXAの次は、どこで働こうかな、なんて考え始めたところです。
  ところで、天文研究者なら誰でも使っている SAOImageDS9 の開発者の方がADASSの Software Prize を授賞し、 その記念講演がありました。 実は、ds9の開発は、人も予算も切れかけていて、"Kobayashi Maru" の状態だとか (写真右)。ん?日本語??小林丸??? SAOImageの開発者の方はスタートレックの大ファンだそうで、SAOImage ds9の前のバージョンは、SAOtng (The Next Generation) でした。 Kobayashi Maru もスタートレックに出てくる話なんですね。なんとか予算がゲットできて、開発を続けられるようになればいいんだけど。(K.E.)
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宇宙科学技術連合講演会での講演@姫路(2024年11月05日-2024年11月08日)

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左上から、 写真1:宇科連での企業ブース、写真2:発表の様子

M2の柏崎です。
今回は、姫路で行われた第68回宇宙科学技術連合講演会に参加したため、その報告を行います。

 今回は自分の中で二つの獲得目標を立てて、参加しました;1.自身の研究を周知し、今後の研究展望に関するアイデアを得る。2.卒業後のキャリア(宇宙業界ではないIT系)と宇宙業界の接点を探す。 結論から言うと、今回の学会では両方の獲得目標を達成でき、非常に有意義な学会となりました。
 まず、一つ目の獲得目標に対し、今回は「LiteBIRD搭載 2K Joule-Thomson 冷凍機の磁場測定結果」という講演タイトルで発表を行いました。 発表は問題なく行われ、質疑応答では今後の研究方針に対し、有意義なコメントをいくつも頂けました。 ただ他の講演の聴講では、なかなか自分の研究テーマと類似の研究を行っている人は少なく、やはりこの業界でもマイナーであるのだなと感じました。
 次に、二つの目の獲得目標に対し、地上システムやIT技術などをキーワードとし、様々な講演を聴講しました。 具体的な研究内容等は省きますが、衛星通信や異常検知システム開発などの聞きなじみのあるテーマが、きちんとビジネスとして確立していることを知り、いままで研究で学んだことをビジネスとして活用できることを知れました。 またこれらのテーマは、IT技術を活用する余地があることも知り、卒業後ITエンジニアとして学ぶことを用いて、宇宙業界に貢献することができる可能性を感じました。 また宇科連が主催するレディースランチセッションにも参加し、宇宙業界に携わる女性の方と交流することで、女性のライフステージとキャリアに関するお話を聞くことができました。

 内容が硬くなってしまったので、ここからは宇科連全体の感想を述べます! 今回一番驚いたのは、宇科連のサービスの良さです。無料のドリンクやお菓子、さらにはお土産として水筒も提供されており、天文学会などとは異なり、企業が多く関わっている学会の財政面での強みを感じました。 また、企業ブースでは様々な企業が宣伝を行っており、衛星開発に使用する素材メーカーから宇宙事業向けの保険会社まで多岐にわたるラインナップがあり、驚きました。 学生の私にも快く説明してくださる企業の方々が多く、とても楽しめました。 加えて学会中には、OGの富永さん、磁場試験でお世話になった九工大の寺本さん、以前研究室見学に来てくださった京大の木村さんとも再会することができ、嬉しかったです。
 実は、これが初めての関東以外への研究出張であり、どんなもんか獲得目標が達成できるかなど不安な部分もありましたが、振り返るととても楽しい学会であり、研究していてよかったなと心から感じました。 いつも書く私の日誌より文章が二倍くらい多いので、その楽しさが伝わるかなと思います。またいつか機会があれば、違う学会にも参加したいですね。(かし)
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米国LLNL滞在 その3(2024年8月1日-10月31日)

 Greetings from the sky. D2栗原の米国LLNL日誌その3、最終回となる本稿は空の上からお届けします。 先々月先月 はLLNLに籠って粛々と実験したり解析したりだったわけですが、今月は外に飛び出す機会もありました。
 まずは、Maui島への短期滞在ですが、詳細はこちらの日誌に譲りましょう。
 Californiaに戻ってきた2日後、今度はUC Berkeley SSLにてセミナーを行ってきました。 映画Oppenheimerで使用されたメインキャンパスの建物を通り抜け、シャトルバスで丘の上にあるSSLへ(写真1:美しい眺め!)。 Mauiでのセミナーの反省を生かして臨んだ分、今回は満足のいくできだったと思います(写真2)。 非熱的電子(今回のLLNL EBIT測定での主眼)の専門家さん他、良いタイミングで議論ができて、収穫は上々でした。
 その週末は休暇旅行に行きました。諸々がひと段落し、しかも日本も3連休で急ぎの連絡も少なそう、というこれ以上ないスケジューリングでした。 行き先は先日海老沢先生も訪れていたVancouverをチョイス。 一人旅ではひたすら歩いて、その土地の空気に身をさらすのがお気に入りの過ごし方です。 高層ビルも多い街なのに、東京みたいなあわただしさを感じないのが不思議なのですよね。自然のおおらかさがそれを包み込んでいるから,,? ハイライトはぐるりと一周したStanley Park(写真5)。秋爽の気に満ちた大公園はピットインに最適でした。
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 気づけば季節はめぐっていて、滞在も残り2週間に,,, 先月較正したデータを解析して既存の原子データベースと比較することを行いました。 合わせて、自分で数値計算を行い比較データを生成する手法についても習熟しました。 そして、目標成果物であった博士論文の該当章についても、今ある結果を一度まとめきることができました。
 総じて、有意義な滞在にできたというのは、自他ともに認めるところだと思います。 過去の日誌を見るに、海老沢研究室では今回の3か月がおそらく学生海外滞在最長記録。 最悪ケース(=「うーむ、学生を海外に送りこむのはイマイチ」)は回避できた、かな,,? 自分にとって、海外での研究活動は昔から挑戦してみたいと思い描いていたことだったので、 これを読んでいる未来の学生さんの中にも同志がいるかもしれませんね(笑)。僭越ながらエールを送ります。 最後に今一度、協力してくださった皆さまへ、本当にありがとうございました!(みき)
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海老沢研究室お祝い会+新入生歓迎会(2024年10月17日)

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写真:会の集合写真
M2の柏崎です。今回は、海老沢研究室のお祝い会と新入生歓迎会を淵野辺の温野菜で行いました。半年ぶりということで、お祝い事がたくさんありました。 まず辻本さん、望月さん、厚地さんのXRISM AO1 proposalが採択されました。 さらに、望月さんは学振採択とXRISM学生貢献者表彰を受賞し、栗原さんも学振に採択されました。加えて、厚地さんは東京大学宇宙地球フロンティア国際卓越大学院プログラム(IGPEES)に合格しました。 みなさん、本当におめでとうございます!詳しい内容はこちらの研究室業績に載っていますので、ぜひご覧ください。
また、今回は慶応義塾大学のB4館岡さんと東京大学のB4鮫島さんが本研究室に合格し、会に参加してくれました。新しいメンバーとお話しできて楽しかったです。二人ともいい子で、来年も海老沢研究室は安泰であるなと感じ、安心しました。 さらに、今日は京都大学B3の石井さんも研究室見学に来てくれ、会にも参加してくれました。遥々京都から来てくださり、ありがとうございました。ぜひ、再来年から本研究室に加わってくれると嬉しいですね。 以上、充実したお祝い会でした。(かし)
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Maui島 出張(2024年10月2日-10月9日)

 Aloha. D2栗原が、共同研究者さんのいらっしゃるMaui島へ短期出張してきました。
 恒星フレアの発生現場の流体シミュレーション手法、およびポストプロセスとして観測可能なX線スペクトルを合成する方法を学びました。 また、英語でのセミナーを初めて、University of Hawaiiで行いました。受け入れの共同研究者の方にはとても親身に面倒をみていただき、 ご飯もたくさんご馳走になってしまって,,,(写真1)。 企画してくださった望遠鏡ツアー(写真2. DKIST:太陽望遠鏡, Pan-STARRS:移動天体/突発天体観測望遠鏡など) も貴重な経験でした。あと、先方が申請中のお金が取れたらポスドクで来ないかと誘ってくださったのも(お世辞だとしても笑)嬉しかったですね。 心から、Mahalo.

 ハワイ州は8つの島があって、そのうち6つが観光客を受け入れています。 ハワイ旅行といったときに多くの人が行くのはOahu島でしょう。また、天文で有名なすばる望遠鏡があるのは、Hawaii島のマウナケア山ですね。 3番目に挙げられることが多いMaui島は、王朝時代にカメハメハ大王が首都を置いた島です。 もともとは2つの島だったものが噴火によってつながったといわれ、生活圏となっている山間はいつも風が吹き抜けているのだとか。 (偉そうに説明しているが、ハワイは初。Oahu島さえ未上陸。)

 滞在中は通勤用にレンタカー(左ハンドル!)を借りていたので、週末はロングドライブやハイキングにも挑戦(写真3,4)。 安定した気候に、美しい自然、温かな人々、おいしい食べ物。これで物価が安ければいうことなしです(笑)。 お金を節約するためにYouth Hostelに滞在していたのですが、相部屋になった人から不思議な縁が広がったことも印象に残っています(写真5)。 研究の片手間ではとても見切れなかったので、次は旅行者として、ゆったりリベンジしたいですね。(みき)

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弘前大学出張 (2024年09月30日-10月6日)

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写真1:弘前大学キャンパス
写真2:帆立の貝味噌焼き
写真3:野村研究室のみなさまが開いてくれた歓迎会のようす
写真4:岩木山山頂からの風景
写真5:弘前城
山登りで死にかけたD1の望月です。 最近は日誌の読者が多数いることが分かり、気を引き締めて書いています(笑)。
今回は学会ではなく、弘前大学の野村真理子助教の研究室を訪問してきました。 理由は、流体計算の技術を習得し、XRISM衛星のデータ解析に活かすためです。 流体計算とは、液体、気体、プラズマの流れを数値的に解く計算です。 天体描像を明らかにするためには、精密分光した観測結果(XRISM衛星による観測結果)と、天体の周囲の物質の流れを数値的に計算した結果(流体計算)を比較する手法が有効です。 私は、観測データの解析はしてきましたが、流体計算の技術は全くありませんでした。 そこで、流体計算の専門家である野村助教に指導を受けるべく、弘前大学を訪問しました。辻本さんも一泊二日で訪問してくれました。 私は約一週間滞在し、流体計算を実行するプログラムコードの説明や、今後の研究プランについての指導をしていただきました。 本当にありがとうございました。 これは一人では絶対に無理でした。 ここから自分なりのアレンジを加えて、XRISM衛星のデータ解析に活かしていきたいと思っています。
滞在二日目には、野村研究室のみなさんが歓迎会を開いてくれました。 初めて食べましたが、帆立の貝味噌焼きが美味しかったです。 開いてくれてありがとうございました。 また、大学を案内してくれたり、お昼ごはんなど一緒に行ってくれて、ありがとうございました。
月曜から金曜までは研究してましたが、土曜日は観光してきました。 どこに行ったかというと、岩木山と弘前城です。 天気が良かったので、今しかない!と思って行ってきました。 今回は岩木山のことを書きます。 岩木山は、弘前市にある標高1625mの山です。 車を弘前市内で借りて8合目まで行き(津軽岩木スカイライン)、さらにリフトに乗って9合目まで行きました。 そこから山頂まで歩いて登ったのですが、これがきつかったというか怖かった。。 道は岩場で、足場が悪いのにスニーカーで行ってしまって、滑りそうになりながら(滑落寸前)登りました。 みなさんは聡明なので、登山靴で行くと思いますが、スニーカーで登山は危ないのでやめましょう。 ただ山頂からの景色はめちゃくちゃ良かったです。 そのあと、麓の獄温泉という温泉に入ってゆっくりしてきました。 この温泉、とても濃いのか、硫化水素の匂いがまだシャツについてます(笑)。
研究も観光も実りのある一週間でした。また訪問させていただきたいと思います。
(もち)
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三度目、XRISM 貢献者表彰されました(2024年9月27日)


写真 前々回前回に引き続き、今回も XRISM プロジェクト貢献者表彰(2024年4月以降の射場作業、軌道上初期運用期間での貢献が対象)に、Resolve 装置への貢献で当研究室の望月くんが表彰されました。おめでとうございます。今回の評価対象期間は、大学院生の参加機会が少なかった中、地上・軌道上データを縦横に使った修士論文研究 XRISM衛星搭載極低温検出器の地上・軌道上データを用いたX線イベント処理最適化が高く評価されました。Resolve 装置への学生貢献表彰は、合計のべ8名のうち6名が当研究室所属でした。

表彰もこれで最後なので、過去日記を振り返りましょう。衛星打ち上げまでの5年間で、当研究室のメンバーは各地を転戦 --- 観測装置の性能較正では KEK・広島大・都立大、 装置(サブシステム)試験では新居浜( 1 )・筑波( 1, 2, 3, 4, 5 )・相模原( 1, 2 )、 衛星(システム)試験では筑波( 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9 )、射場作業では種子島( 1, 2, 3 )、そして最後に相模原( 1 )に戻ってきました。6学年にわたる大学院生(御堂岡くん、富永さん、大間々くん、栗原くん、望月くん、柏崎さん)も、衛星開発の枢要部分で数々の貢献をし、かつ、多数の研究成果を上げました( 修士論文4編・ 学士論文1編、 査読付き論文6編、国際学会発表及び外部表彰多数)。これらは宇宙研所属の大学院生ならではの機会と結果と言えるでしょう。また、僕にとっても、学生さんと一緒に、放射光実験・結晶学・電波工学・微小擾乱や電磁干渉評価・機械学習など、様々な新しい分野を勉強する機会となり、研究の幅が広がった5年間でした。

さて、XRISM衛星は、打ち上げ後の初期運用も無事終了し、現在は定常運用中です。残りは後進にまかせて僕は XRISM プロジェクトから引退することにしました。これからも大学院生と一緒に、今度はXRISM衛星ユーザとして科学成果創出に取り組むとともに、次の衛星への貢献を積み上げていきたいと思います(つ)

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ノルウェー出張(2024年8月30日-9月29日)

 久しぶりの更新となりました、M2の森口です。今回はノルウェーのオスロ大学で9月2日(月)から同月13日(金)まで開催されたサマースクール Bayesian Cosmological Data Analysis Course 2024 への参加、および共同研究のために追加でもう2週間ほどノルウェーに滞在してきました。 出張の目的は、Commanderと呼ばれるツールの習得と、赤外線領域での全天サーベイ観測を実施した赤外線天文衛星「あかり」 の時系列データをもとにCommanderを用いて新しく全天マップ作成することです。また、サマースクールの概要や研究の背景は 海老沢先生が投稿してくださった日誌 があるので併せてご確認ください。
 さて、今回のサマースクールでは参加する学生はスキー場に併設されたロッジで共同生活をすることになっていました。 ロッジの内装はとてもオシャレで、なんと薪を燃やして暖をとるタイプの暖炉もありました。 また、ロッジは小高い山の中腹にあったので景色も良かったです。 このロッジで多種多様な国と地域(アメリカ、ブラジル、フランス、インド、台湾、韓国など)から集まった方々と2週間の共同生活を過ごしたのですが、まさに異文化交流でした。 ある日にはブラジルのダンス講習があったり、フランス料理の作り方を教わったり、激辛ラーメンを食べてあまりの辛さにもだえ苦しんだり、もちろん日本の文化も紹介しました。 ですがここはノルウェーです。ノルウェーを含む北欧といえば最初にオーロラが思いつく方は多いと思いますが、現地の方からは9月にオーロラを見るのは難しいと事前に言われてしまいました。 自然現象ですし、それならば仕方ないと諦めかけていたのですが、サマースクールも佳境に入った2週間目の木曜日と金曜日に2日連続でオーロラを見ることができました! これだけでわざわざノルウェーまできた意味があったと思えるほど綺麗な写真が撮れて感無量です。 ただ写真だととても色鮮やかに写っているのですが、肉眼だとピーク時にうっすら緑色や赤色に見える程度で、基本的には雲に似た白いモヤのような物体があるだけだったのでイメージと違うなというのが素直な感想でした。 次こそは写真レベルのオーロラを肉眼で見たいなと密かに願っています(笑)。
 3週目はcommanderに関する学会が開催されていました。この週は寒空の下で長時間のオーロラ観測を行ったせいか風邪をひいてしまいました。 そのせいで現地にいるのにも関わらず、オンラインで聴講する羽目になりました。これを読んでいる皆様もこれから寒くなりますので、体調にはお気をつけください。
 最終週である4週目はひたすらデバッグに対応していました。 このほかにもCommanderに「あかり」の時系列データを読み込ませるために必要なデータ処理をしたり、膨大なフラグのデータをどのように効率よく処理するかを話し合うなど、順調に研究を進めていました。 ただし順調に進んでいる時にこそ事件が発生します。知らぬ間に建物の出入り口が全て施錠されており、外に出ることができなくなっていました。 後日聞いた話だと、私が滞在していたオスロ大学の研究棟は18時に鍵がかかるようになっているそうです。 定時が当たり前の文化はこのような小さな点が積み重なって出来上がるんだろうなー、と勉強になりました。 ちなみに、この時は顔見知りの方がたまたま通りかかったので助かりました。
 これは余談ですが、オスロではよくセブンイレブンを見かけました。遠い異国の地でも知っている日本の企業名を見ることができて少し安心しました。 ちなみに店内はパンの売り場が日本よりも豊富でノルウェー向けに商品のアレンジはされていました。 (もり)
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写真1~3: ロッジ
写真4: オスロ・フィヨルド
写真5: サマースクール参加者での集合写真
写真6: オーロラ
写真7: オスロ市内にあるセブンイレブン

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米国LLNL滞在 その2(2024年8月1日-10月31日)

 Greetings from California. D2栗原の米国LLNL日誌その2です。先月8月に無事実験データ(内容は日誌1参照)を取り終え、今月は初期解析を行いました。 XRISMの恒星観測研究とのつながりも目に見える形になりつつあって、個人的にはとても楽しい研究フェーズです。

 当初、この滞在は1か月の可能性も十分にありました(データ解析は日本でもできますし)。今思えば、3か月間でよかったです。 ISASの居室のような大きなモニターがないにも関わらず、こっちでの研究効率・成果は決して劣っていないはず,,,  ここまでピュアな研究疲れを感じることができるのは、異国に独り、で集中できているからこそだなあと思います。これは学生の特権でもあるかもしれません。 ある人はワーケーションをしたり、またある人は年末年始やGWに研究がはかどったりするようですが、今なら少しわかる気がします(笑)。
もちろん、日本で開催されていた天文学会、XRISM SM6 & workshop(cf.望月くん日誌)に対面参加できなかったのは残念(だし、時差で大変)だったけれど、 3か月分のお金を出してくださっているJSPSのプログラムには大変感謝している次第です。

 宇宙研もそうですが、LLNLのような研究機関はしばしば一流の人たちが集うハブの役割を担います。 今月はNASA/GSFCよりScottさん, RalfさんがEBITグループに短期滞在していました。ScottさんはXRISM地上試験のころからお世話になっている、X線マイクロカロリメータの専門家です。 LLNLにあるそれをオシロ等で点検・修理している姿はまさに熟練の執刀医のごとくでした。 RalfさんはCyg X-3やCen X-3といった天体のXRISM解析チームに属していて、望月くんを含む宇宙研の学生さんの共同研究者さんでもあります。 難解なXRISMスペクトルをあっという間に説明したという噂だけを知っていたのですが、歳が近い分すぐに打ち解けることができました。 Scottさん同様地上試験からの共同研究者であるMeganさん宅にお邪魔して、ゲストとEBITグループのメンバーでピザを囲んだ夜はとても楽しく、印象に残っています。

 さて、今回はこの辺で。携帯のカメラフォルダを見返したのですが、食べ物しかなかったので、今月はご容赦ください,,,
でも!来月は出張&休暇の予定が入っているので、映える写真を撮ってくることを約束します。(みき)

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(8月9月の全外食記録:物価は高いですが、味はおいしく、ボリュームもたっぷり。個人的発見はベトナム料理との相性の良さ。)
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XRISM Science Team Meeting #6 and XRISM Science Workshop for Young Researchers (2024年09月24-27日)

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写真1:会場の東京都立大学南大沢キャンパス
写真2:XRISM学会の旗
写真3:望月の口頭発表の様子
写真4:XRISM Science Team Meetingの集合写真
D1の望月です。 今回は東京都立大学南大沢キャンパスで開かれたXRISM Science Team Meeting #6とXRISM Science Workshop for Young Researchersに参加してきました。

XRISM Science Team Meeting #6は、XRISM衛星の運用状況、観測状況、データ解析の進捗状況を報告、議論する会議です。 XRISM衛星打ち上げ前の2022年12月に開かれたXRISM Science Team Meeting #5以来の開催となります。 推定100人以上のX線天文学に関わる研究者が集まる、とても大きな会議でした。 私は、天の川銀河のケンタウルス座にある中性子星と重い星との連星系(Cen X-3)の観測結果とその解析結果を口頭発表しました。また、修士論文の研究内容であるXRISM衛星Resolve装置のイベントスクリーニング(IACHEC、SPIEの日誌参照)によるポスター発表を行いました。 海老沢研究室からは、栗原さん、厚地くんも各々が解析しているXRISM観測結果の内容のポスター発表を行いました。(栗原さんは恒星フレア、厚地くんは中性子星と軽い星との連星系について)
口頭発表は、かなり準備して望んだので、自分の研究内容をしっかりと伝えることができたと思います。質問、コメントも多くいただきました。 また、このような大きな場所で発表することで、自分の名前も売れたと思います。でも質疑応答って難しいなあ、、辻本さんに助けてもらいました。。。
会議の最後には、XRISM衛星運用、較正に貢献した研究者に対して賞が授与され、私もその中の1人に選ばれました。やったー! このような賞をもらうと、自分の貢献が一つ形になるので、やって良かったという気持ちになりました。

XRISM Science Workshop for Young Researchersは、若手研究者(ポスドク以下)がXRISM衛星でどのような科学成果を創出することができるかについて、ポスター発表を行う会議です。 栗原さん、厚地くん、望月は、Team Meetingと同じく、それぞれの研究内容について3分間の口頭発表とポスター発表を行いました。 厚地くんは初めてのポスター発表でしたが、がんばっていました。また口頭発表では一番ダイナミック(動き回って)に発表してました(笑) また、上位7名には賞が授与され、私もその中の1人に選ばれました。やったー!

南大沢駅の駅前にはアウトレットがあります。行きたい気持ちを抑えて、会議に集中してました。今度買い物いこうかな。
(もち)
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2024年9月2日-6日 Cosmological Data Analysis Course 2024 (Oslo, Norway)

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オスロ大学で開催された2週間のサマースクール、 Bayesian Cosmological Data Analysis Course 2024 に、前半だけ参加してきました。これはCosmoglobeという、様々な衛星や地上観測によるCosmic Microwave Background (CMB) データを統一的に解析する国際コンソーティアムを主宰しているオスロ大学のグループが、定期的に開催しているものです。世界中から集まった大学院生やポスドクを対象に,Cosmoglobeで用いられるCommanderというツールの講習と、CMBに関連した様々な講義を実施しています。僕はサマースクールの学生としてはちょっと (?) 年を取りすぎていますが、オスロ大学のグループと「あかり」データを用いた共同研究を始めた関係で、CommanderとCMBの勉強がてら、前半だけ参加してきました ("Introduction of Space-science Projects at ISAS and JAXA"というタイトルで講義も行いました)。

オスロ大学と共同研究を始めるきっかけとなったのは、LiteBIRDのデータ解析の国際的フレームワーク、Science Ground Segment 概念検討の中で、CosmoglobeのリーダーであるHans Kristian Eriksen (HKE) 教授と知り合ったことです。HKEが、「あかり」遠赤外観測装置の未公開の時系列データを、Planck, WMAP、COBEなどと合わせてCommanderの枠組みで解析したい、と。「あかり」は、CMBの最大のノイズとなる銀河系内のダスト放射に高い感度を持ち、他の衛星よりずっと空間分解能がいいから、これらの衛星をCommander でうまく組み合わせれば、過去最高精度の遠赤外線マップができる、これはCMB 研究のゲームチェンジャーになるかもしれないよ、と。 「あかり」時系列データの解析はすごく難しいのですが、僕がリエゾンになって「あかり」チームとの合意も得られて、 正式な共同研究が始まりました。このテーマで科研費をゲットして、ノルウェーを訪問する旅費も確保して。

僕は高エネルギー天文学の業界で30年以上仕事をしてきて、その間、ヨーロッパの真ん中にあるスイスでも3年半暮らして、西ヨーロッパの国々はほとんど訪問しましたが、 まだ一度も行ったことのない謎の国がノルウェーでした。ノルウェーには高エネルギー天文学者はほぼ皆無だし。なにが謎かと言えば、 北海油田で稼いでるはずなのに、オスロ市内を走ってるのは電気自動車と電動スクーターばかりだし (写真左)。 人口約500万人の小さな国だけど、ノルウェー人だけから成るノーベル平和賞選考委員会 (写真中上)や歴史的なオスロ合意で、すごく世界の平和に貢献してるし。街中にATMはほぼ皆無で、結局一週間、キャッシュは全く使わなかったし (HKE は5年間使ってないとか)。すごく環境保護に熱心だけど、捕鯨してるし (伝統食、クジラステーキおいしかった!写真中左下)。NATOの主要メンバーなのに EU には入ってないし、なぜかムンクは叫んでるし (笑)。

ところで、僕が帰った次の週末、非常に珍しいことに、オスロの街中からでも、すごくきれいなオーロラが見えたとか! あ~、一生に一度のチャンスを逃したかも。日本天文学会秋季年会をサボってでも、オスロに残ればよかったかも…。Commander修業のためにオスロに置きざりにしてきた森口君、続きの報告をよろしく~!美しいオーロラの写真もアップしてねー! (K.E.)

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米国LLNL滞在 その1(2024年8月1日-10月31日)

Greetings from California. 8月1日より、D2栗原は米国Livermore National Laboratory (LLNL)に滞在中です。昨年7月に続く2回目の訪問ですので、経緯についてはこちらの日誌を参照してみてください。 前回は1ヶ月という期間で、主眼は取得済みデータの解析手法を学ぶことだったわけですが、今回は3か月とボリューム満点。滞在初月の8月は、測定装置を動かしデータ取得に勤しみました。

 XRISMの持つ高エネルギー分解能は、観測されるX線がどの元素の、どの価数のイオンから、どんな素過程で生じてきたのかを調査することを可能にしました。しかしそれは、信頼性の高い参照モデルがあってこそ。地上でのプラズマ実験は、そのようなモデルやデータベースのベンチマークに一役も二役も買っているのです。
 どのような測定を行ったのか、ちょっとだけ詳しくお話してみましょう。XRISMが観測している宇宙プラズマを(1)地上で再現して(2)模擬観測しよう、という大目標なわけですが、これがなかなか大変です。まず、プラズマ(原子から電子が電離してイオンと共存している状態をプラズマと呼ぶのでした)の生成にはEBIT(いーびっと)という装置を使います。注入した元素ガス(今回は鉄Fe)を標的に、加速した電子ビームをぶつけ、鉄原子核周りの束縛電子を剝ぎ取っていきます。この方法の優れている点は、どれだけ剥ぎ取るか、すなわち何価のイオンを作るかをコントロールしやすいところです。実際、この性質を利用してある特定のエネルギーの輝線の性質を「個別に詳しく」調べる、といったことが行われています(宇宙研のご近所研究室さんでも!)。一方、自分の取り組んでいる測定は、より直接的にXRISMのデータと比較することを念頭に置いています。特定の温度を持つ熱的プラズマというのは、単一のイオンではなく複数種類のイオンから構成されますが、その存在比率は一定です(加えて、各素過程を担う電子がどのようなエネルギー準位にいるのかも一意に決まります)。 それを踏まえ、昔の賢人たちはEBITの電子ビームの強さを適切に高速時間変化させることで、平均的に宇宙の熱的プラズマに近いイオン比を持つプラズマを作りだせると考え付いたわけですね。LLNLにある、XRISMと同原理で動作する分光器でこれを観測すれば、広帯域のスペクトルとして参照データが取得できる寸法です。LLNLは2000年代からFeを含むいくつかの元素で測定の実績があります。我々のプロジェクトは初めて非熱的な電子分布を持つプラズマからの放射までを対象としているところに新規性があります。
 ちなみに、私の本業(?)である恒星フレア現象は非熱的な粒子の存在が予想されるところなので、意気込みもひとしおです。 とはいえ、1ヶ月の実験を終えた今は、さすがにちょっと疲れを感じます(笑)。冷却用の液体ヘリウムの流入量を常に見張っていなければならない都合上、測定期間中は缶詰め状態でした。でも、一緒に測定している人たちは良い人たちで、気晴らしに州立公園(日本の公園を思い浮かべないように!)につれてっていただきました(写真)。
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 とりとめもなく書いてしまいましたが、今回はこの辺で。次回はまた1ヶ月後くらいにお会いしましょう。おっと、その前に森口君のノルウェー滞在記もお楽しみに! (みき)

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関学集中講義(2024年8月22日-23日)

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併任教官をしている関西学院大学で、2日間の集中講義「X線分光天文学」と講演会を行ってきました(1枚目)。 関学は、森口くん在籍中、一昨年に富永さんが講演など、いろいろ繋がりがあります。さて、実は僕はこれが初めての大学での授業でした。夏休み期間で参加者も少なかったので、思い切って演習中心の授業にしたところ、平賀研、高橋研の学生さんたちも積極的に参加してくれて、無事(?)任務完了です。1コマ100分の授業を2日で7コマもやるので、体力が持つのかと最初はかなり心配でしたが、なんとかなりました。事前に講義資料を作るのが非常に大変であると実感しました。関学は三田盆地の新興住宅街(2枚目)にある瀟洒なキャンパスです。奥まった場所にありますが、大阪駅や三宮駅から理学部の直前までの直通バスがあり、意外と行きやすいです。これを含め、今年の夏は大きな業務をいくつか詰め込んでしまい、研究やプロジェクト推進に支障がでて反省しているところです(つ)。
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Cloudy Workshop 2024(2024年8月3日-9日)

宇宙研で Cloudy Workshop 2024 を開催しました。当研究室からは social organizing committee(辻本)及び local organizing committee(辻本、望月、厚地)の一員として参加、研究会を盛り上げました。

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Cloudy とは、世界で最もよく使われている天文学の数値輻射輸送計算コードですが、日本ではあまりユーザがいないので、ほぼ毎年各国持ち回りで開催されている同 workshopを日本で初めて開催することにしました。全国の大学院生を中心に現地参加者 53名(1枚目)、登録者184名と、これまでで最大の盛会になりました。Cloudy を50年近く開発し、この分野の標準的教科書 "Astrophysics Of Gaseous Nebulae And Active Galactic Nuclei" の著者でもあるケンタッキー大の Ferland 先生及び、開発陣の van Hoof さん、Gunasekera さんに来ていただき、午前は講義(2枚目)、午後は Cloudy を使った演習(3枚目)の5日間です。演習課題はグループを作って自分たちで考え、最終日に成果発表をする、というものです。大半が Cloudyの初心者という中、どのグループもかなり活発に議論が進みました。電波からX線まで適用範囲が非常に広い Cloudy なので、様々な演習課題があり、課題発表は5日間と思えないほどの完成度でした。

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我々の XRISM 衛星で観測するX線スペクトルの輝線・吸収線は、非局所平衡条件で形成されるものが多く、その物理的解釈のために輻射輸送計算は不可欠です。一方、Cloudy もここ数年でX線対応が進みました。その結果、まさに出てきたばかりの XRISM 初期観測データに適用できる計算が Cloudy でちょうどできるようになった、というベストタイミングでの研究会開催でした。D1望月、M1厚地くんはケンタウルス座X-3、コンパス座X-1という有名天体のXRISM観測データに取り組んでいますが、その解釈に適用できる Cloudy の演習課題を設定し、取り組みました(1、2枚目)。分野が広くお互いに初対面が多い中、懇親会をしたり(3枚目)、グループごとに夕食に行ったりして、打ち解けた雰囲気での生産的な5日間でした。これを機会に、Cloudy を使った分光天文学の研究が様々な分野で進めば、主催者としては狙い通りです(つ)。
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天文・天体物理若手夏の学校@伊勢志摩(2024年7月23-26日)

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写真1: セッションでの発表の様子。望月さんが撮ってくれました。
写真2: 朝夕飯は毎日バイキングでした。特に鴨肉と海老天とデザートのライチがおいしかったです。
写真3: 夜の宝生苑。ボウリング会の帰りに探索しました。将来こういう家に住みたいです。
写真4: 最後の記念撮影。来年もぜひ逢いたい素敵な皆さんでした。
厚地です。7月23日から26日にかけて、三重県賢島で開催された2024年度 第54回天文・天体物理若手夏の学校に参加してきました。
本研究室のM1は例年参加している夏の学校(通称: 夏学)は、日本全国の天文学界隈の院生が一堂に会し、研究発表や懇親会を行う傍ら、観光を楽しんだり、夜にパーティーゲームを遊んだりして、初めて知り合った研究仲間との交流を深める一大イベントです。今回の会場は賢島宝生苑。室内に滝や日本庭園が置かれロビーや宴会場には音楽が流れる、絢爛という言葉を具現化したような旅館で、露天風呂やバー、カラオケにボウリング場を備え、さらにバイキングの食事で好きなものを好きなだけ食べられるという、天国を遥かに上回る居心地の場所でした。
僕の発表テーマはXRISMのスペクトルデータ解析についてでした。僕は研究室のご縁のお陰でXRISMのデータ利用に関して世界に先んじていて、輝線・吸収線の微細構造があらわに観測された実際のスペクトルデータを用いた発表は驚きをもって受け止められました(と思っています)。コンパクト天体分科会の皆さんの講演で「X線天文学の次世代・ゲームチェンジャー」としてXRISMの話題が繰り返しあがっていたのに留まらず、太陽恒星分野のポスターの解説を聞きに行ったときにも太陽系内の磁気の観測にXRISMを利用するお話が出たことは僕にとって驚きで、予想以上にさまざまなスケールの天文学でXRISMが活躍する、その未来のちょうど始まりの時点に立っているのだと感じました。また、TES型マイクロカロリメータやそれ以外(時間分解能に優れるXRPIXなど)のX線検出器開発に関連した研究もいくつかあり、これからのX線検出装置への理解を深める上で非常に勉強になりました。
4日間、露天風呂からは星がよく見えたので、湯につかりながら星の話もいくつかしました。余談ですが露天風呂のお湯はややしょっぱかったです。そのあとの夜は時間があったので、大部屋でボードゲームを遊びこみ、たくさんの知り合いが増えました。埋蔵金を目指して坑道を繋げるゲームは本当に面白かったので自分でも買いたいです。2日目の夜は懇親会で、バーでお酒を飲みながらカラオケを歌って大盛り上がりでした。3日目はコンパクト天体分科会の座長団の皆さんとボウリング会でした。1ゲームを投げて、僕は75点で真ん中くらいの順位でしたが、12人中1人、なんと100点を超えた人がいて、プロかと思いました。
僕にとって今回の夏学は、これまでの活動で知り合ったコンパクト天体関係の先生方や学生の皆さんのほかに、装置開発から恒星・銀河、素粒子物理にいたるまであらゆる天文関係の方々と研究の話ができる嬉しい機会であり、また今まで行ったことのなかった伊勢志摩を観光地としてめぐる機会でもあり、観光特急しまかぜに乗ったり、XRISMのデータを使って発表したり、志摩スペイン村に行ったり、ブラックホールのポスターの解説に質問攻めしたりと、あらゆることが初めての連続の、とても充実した4日間でした。来年はコンパクト天体分科会の座長団として参加する予定です。来年も行けるぞ! (なぎ)

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ベルギー(リエージュ大・ゲント大・CSL)訪問(2024年7月15日-20日)

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コロナ後初めて、5年ぶりの海外出張でベルギーに行きました。昨年、宇宙研を訪問頂いたリエージュ大(1枚目の写真)の共同研究者のヤエル=ナゼさんが主催する大質量星連星に関する国際研究会に参加するためです。ちょうど、XRISM衛星による新しい結果が出たばかりだったので、最新の研究発表ができました。我々が作り上げたX線分光器"Resolve"の威力は、特にブラックホールや中性子星の連星系で発揮されるので、この発表を機会に多くの共同研究が生まれそうです。ヤエル=ナゼさん(2枚目写真の右から2番目の人)とその旦那さんでこれまた高名な天文学者であるリエージュ大学のラウフ教授(右端)とその娘さん(右から3人目)には、研究会主催中で多忙なところ、初日にご自宅へ夕食にご招待いただきました。
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さて、リエージュは、ワロン地方(フランス語圏)の中心都市です。ミューズ川(1枚目)左岸に橋頭堡を得るため、第一次・第二次大戦ともにドイツ軍に最初期に侵攻され、抗独記念碑(2枚目)が河畔に残っています。特に、第一次のリエージュの抗戦は有名で、バーバラ=タックマンのピュリッツァー受賞作「八月の砲声」で描写されていますが、この本を知っているベルギー人にいままで会ったことがないのはなぜだろう??その予想外の抗戦で仏軍再建の時間を得たフランス市民が、それまで別の名前で呼んでいたデザートを Cafè liègeois 「リエージュ人のコーピー」と呼び出したのが、いまでもレストランで提供されます(4枚目)。
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2日目には、電車でゲント大学を訪問しました。昨年、富永さんが訪問したゲント大学のファンデアミューレンさんと、XRISM衛星による観測データの解釈で必須な輻射輸送計算の相談をするためです。望月くんもリモートで参加。ゲントは、フランダース地方(オランダ語圏)の中心都市の1つです。 中世西欧の有力者であったフランドル伯の居城があり、いまでも多数の中世建築がいたるところに残っています。ちょうど、ヨーロッパ最大級のお祭りゲントフェスの直前で、非常ににぎやかでした。
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4日目には、リエージュ大学に隣接する CSL (リエージュ宇宙センター) を訪問しました(1枚目)。ヨーロッパ宇宙機関が打ち上げた多くの天文衛星がここで試験をしており、我々の研究で非常によく使う XMM-Newton, INTEGRAL, Planck 衛星も含まれます。2枚目が6メートル熱真空チャンパ。我々も JAXA の13メートル熱真空チャンバで何ヶ月にもわたって試験したので、非常に興味深かったです。我々の今後の開発にも密接に関係します。まず、LiteBIRD 衛星の欧州担当望遠鏡はこのチャンバで試験される可能性が高いです。また、欧州が進める次期大型X線衛星 Athena の X-IFU X線分光器は、我々の "Resolve" 分光器を引き継ぐ観測装置ですが、ベルギーはその重要コンポーネントの1つであるゲートバルブの開発を担当しています。Resolve のゲートバルブは、当研究室の御堂岡くんが性能較正をし、栗原くんが電磁干渉試験で使用したもので、まさに我々の経験が活かせます。担当のエンジニアとたくさん議論しました。相手は、自分と同じく衛星プロジェクトの重圧を同じ立場で感じる人なので、ぜひ開発に成功してほしく、引き続き支援できればと思っています。帰りに、お土産に XMM-Newton の望遠鏡の残り(3枚目)をあげると言われたのですが、大きくて持って帰れない。残念。

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ベルギーはその2言語体制で有名ですが、短期間で両圏を行き来すると、その極端ぶりが如実にわかります。左側がゲント駅の行き先案内板。予約した帰りの Liège 行きの電車が見当たらず焦ります。Liège は仏語で、フランダース地方では頑なに使用が拒否されているためです。逆もまた然り。Luik (蘭語綴り)行きの電車に乗りましょう。つまり、外国人も、地名の仏蘭別表記を知っていることが想定されています。これが曲者で、スペルのちょっとした違いだけでは済まず、Mons (仏語) = Bergen (蘭語)=山とか、Le Coq (仏語) = De Haan(蘭語)=雄鶏とか、地名が意訳されるので、仏蘭両語に精通していないと無理です。。。自虐ネタになっていて、研究会懇親会の余興で、「対応する仏蘭表記を結べ」というクイズが出題されていました(2枚目)。更に複雑なことに、ドイツ語圏ベルギーという非常に小さな第三のグループもあり、実は共同研究者のラウフ教授はその出身とのこと。

いろいろ風変わりな国ですが、食事もよく非常に過ごしやすいです。両言語圏とも、共同研究者も多数でき、我々の様々な研究で偶然にも多数の接点があるので、また訪問することになるでしょう。しかしながら、その費用を稼ぐために学術振興会の二国間交流事業に応募しようとすると、ベルギーだけ国の枠がなく、ワロン地方かフランダース地方かどちらか一方だけを選択する必要があります。これが数奇な運命をたどった国の知恵なのか、単なる頑固なのか、ナゾは深まるばかりです(つ)。
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2024年7月15日-19日 LiteBIRD face2face meeting (Vancouver, Canada)

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一昨年12月の岡山昨年 9月のエルバ島 (イタリア) に続いて、 パンデミック後3回目の LiteBIRD global face2face meeting が、カナダのバンクーバーで開催されました。 僕はカナダには何回も行きましたが、バンクーバーは初めて。数年前、 真央ちゃんが惜しくも金メダルを逃した冬季オリンピックの開催都市として印象に残ってましたが。 広大なカナダの大地の南西の隅っこ、すぐ南はアメリカ、西は太平洋に接した、きれいな街でした。

会場は、海に面した広大なキャンパスを持つ The University of British Columbia (UBC)。ホテルは大学のキャンパス内、レストランもカフェも スーパーマーケットもバーも大学内に揃ってます (ローカルビールの Parkside Hazy IPA がおいしかったです; 写真左)。 なんと1万人くらいの学生がキャンパス内に住んでいるとか! 大学だけで一つの街を構成している感じです。

カナダは移民が建国した多民族国家で、大学でも街中でも、いろいろな人種、ルーツの人が混ざり合って、うまく調和しているようです (こういう環境に身を置くと、とても心地いいんだな)。 それでいて、先住民へのリスペクトも忘れません。キャンパス内にはトーテムポールが立ってて、 ストリート名は先住民の言語でも書かれています(写真右)。(ヨーロッパと違って) 街中に落書きは一切ないし、(アメリカと違って) 公共のバスでどこにでも行けるし、(日本みたいに) 深夜でも普通に人が歩いてるし。そこらへんがカナダだね!

明るい研究会場の背景では、学生がバスケットボールに興じてます(写真中)。さて、 今回のミーティングで、私は観測データ解析の国際的な枠組み、Science Ground Segment (SGS) の検討状況を発表する予定で準備をしていたのですが。 ミーティングの直前に、LiteBIRDに参加する機関の体制に大きな変更が起きる可能性があるとの速報が入りまして。こういうのは良くあることでして。数百億円の巨大プロジェクトを国際協力で実現するというのは一筋縄ではいきません。 その体制変更に応じて、衛星の設計変更や目標変更の可能性もあり、それらの重い議論に終始して、SGSの発表自体なくなってしまいました。 まず、衛星を作って打ち上げて、運用してデータを取ることがいちばん大事で、そこからがSGSの出番ですからね。

何があっても、宇宙がインフレーションで誕生した証拠となる宇宙背景放射のBモード偏光を検出する、というLiteBIRDの目標は変わりません。 人類は必ず、いつか、Bモード偏光を検出するための宇宙機を打ち上げるはず。そして、必ず、人類はBモード偏光を検出するはず。 数々の困難を乗り越えた末に、結局、JAXA の LiteBIRD がその発見を成し遂げることを目指して。最後の発表のスライドの最後の一行:2030年代のいつか、UBC の同じ会場で、LiteBIRD がテンソル・スカラー比 r=0.0037 を決定したという報告をするだろう (写真中)、 ということで研究会は終了。 (K.E.)

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SPIE in Yokohama (2024年06月16-21日)

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写真1:学会受付
写真2:企業ブースで展示されていたXRISM衛星
写真3:レセプションパーティーの様子
写真4:ポスター
D1の望月です。 今回はパシフィコ横浜で開かれた SPIE という国際学会に参加してきました。 SPIEとは、光学装置の研究分野を幅広く扱っている国際学会です。研究分野が幅広いため、SPIEはいくつかのセッションに分かれています。 私は、そのなかでも天文学に関わる衛星や望遠鏡のセッションに参加し、 IACHEC(5月の日誌参照)と同様に修論で扱ったXRISM衛星の研究内容でポスター発表をしてきました。
衛星や望遠鏡は、X線だけではなく、電波、赤外線、可視光、紫外線、ガンマ線を観測する様々なミッションがあります。 SPIEは次世代ミッションの講演も多く、将来の天文学の発展を垣間見ることもできました。 個人的には、X線と波長が近い紫外線の将来衛星計画の発表が興味深かったです。 また、扱う波長が異なる方々とは普段交流する機会が少ないですが、 本学会では交流することができ、とても楽しかったです。
(もち)
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祝賀会@町田イタリアン ルーチェ(2024年5月28日)

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写真1:今回の祝賀会はイタリアンでした。薄切れの肉にかかっていたソースがおいしかったです。
写真2:最後にみなさんと記念撮影。
厚地です。栗原さんUX Ari論文受理、望月さんSPRING GX採択、柏崎さん・森口さん就職内定おめでとうございます!
先輩方が今年度の初めに達成した数々の快挙のお祝いのため、町田のイタリア料理店「ルーチェ」にて祝賀会を開催しました。今回は本研究室OB・OGの御堂岡先輩、大間々先輩、富永先輩も交えて、卒業後の進路のことや天文学研究の思い出、最近の日々のあれこれについて、たくさんのお話に花を咲かせました。改めて、ご参加ありがとうございました。
僕の数歳上の先輩方のお話を聞いていて漠然と思うのは、やはり僕は将来何になるのかということです。小さい頃からずっとこの問題への回答を先へ先へと伸ばしていましたが、よく考えるとあと数年で答えを出すことになるんですね。避暑地に引っ越して仕事は家からリモート……そんな話を聞くとやはり魅力的で、かと思えば宇宙開発に携わる研究所に勤務……というのもまた魅力的。僕は「子供に夢を与える仕事がいい」という形のない未来像だけはありますが、二年後、あるいは五年後、どんな大人になっているのでしょうか?答えが出たときにはまたこのような食事会で、いずれ来る後輩と近況を語らい、過去の悩みの話の種として蒔き去ってしまいたいですね。ちなみに人生の最終目標としては地球の数々の名所を巡り尽くし、世界地図を適当に指さしたときにそこの思い出を話せるようになりたいです。
ちなみに、今回は僕が幹事だったのですが、当日は猛烈な台風の影響で参加者一同を駅からの往復で全員びちょびちょにしてしまいました。なんたる大失態。その節は本当にすみませんでした。また、この日に僕が使っていた黒いワンタッチの傘は暴風で「曲率が負の宇宙」みたいな形になってしまい、完全にお釈迦になったので、辻本先生イチオシの防風加工傘を購入しました。買い換えた翌日に、壊れてめちゃくちゃに開いたままの傘を玄関にとりあえず置いて外出し、そのことをすっかり忘れて帰ってきて扉を開けた瞬間、羽を広げた大きなカラスの形の傘が目に飛び込んできて思わず玄関先で「うわあっ!!」と叫んでしまいました。まったく台風はろくなものではないですね。 (なぎ)

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IACHEC in Spain (2024年05月10-18日)

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D1の望月です。 今回はスペインのセゴビアで開かれた IACHEC という国際学会に参加してきました。 IACHECとは、毎年開かれているX線観測衛星の較正やスクリーニング研究に特化した学会です。 較正とは、観測した値を正しい値に調整することです。 スクリーニングとは、天体信号を残しながら、天体ではないノイズ信号をを除去することです。 どちらも、装置の本来の性能を発揮するため、そして純粋な天体信号を解析するために必要不可欠な研究です。
私は、修論で扱ったXRISM衛星の研究内容で口頭発表をしてきました。 今年はXRISM衛星打ち上げ後初のIACHECということで、XRISMの特別セッションが開かれました。 そのためか、私の発表も含めてXRISMの発表に特に注目して聞いてくれたと思います。
X線衛星は勿論XRISM衛星だけではなく、様々なミッションがあります。 恥ずかしながら私の知らないミッションもあり、とても勉強になりました。 他の装置の較正やスクリーニング手法と自分の研究との共通点があり、お互いに経験を共有できました。
ここから発表以外のこと。まずこの学会は参加者が同じホテルに泊まって、朝昼晩ごはんすべてを共にします。 晩ごはんは毎日コース料理で、こんな良いもの食べてていいのかなという気持ちになりました。でも修論がんばったし、良いよねって気持ちで食べてました。 このときヨーロッパの方々の円卓に突撃して、ご飯を食べてきました。 でも、まだまだ思うように会話できなかったです。 英語力もそうですが、文化が違うと話す内容の前提知識が異なり、話についていくのでやっとでした。 まだまだ自分には伸びしろがありそうです。 それでも、私の博論研究計画についての議論をすることができ、渡航前に予定していた目標を達成することができました。
目標達成、学会終了後は観光が待っています! 行った場所はホテルの近くのセゴビアとマドリードです。 どちらも最高の場所でした。 建物がきれいで、治安も良く、過ごしやすい気候でした。 セゴビアでは水道橋、聖堂、お城を見学、マドリードでは、美術館、バルを楽しみました。 2週間経ってもまだ思い出します。あーまた行きたいなー。
(もち)
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2K Joule-Thomson冷凍機が生じる磁場測定実験 (2024年4月26日~4月30日)

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写真1:Joule-Thomson冷凍機 写真2:実験メンバーとの集合写真

4月26日から30日までの期間、ISAS内の磁気シールドルームで、2K Joule-Thomson冷凍機が生じる磁場測定実験を行いました。 この冷凍機は、LiteBIRD衛星に搭載される機械式冷凍機の一種です。 現在世界に二台しか存在しない希少な機器であり、この実験によって貴重な磁場データを収集することができました。 実験は5日間にわたる大規模なものでしたが、すべての測定項目を予定通りに測定でき、安堵しています。 今後の解析作業で得られる結果が楽しみです。(かし)


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commanderチーム来訪 (2024年3月27日~4月3日)

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写真1:最終日に開催した打ち上げ会の様子

今回はLiteBIRDプロジェクトに参加されており、CMBの解析に用いられるツールであるcommander(Optimal Monte-carlo Markov chAiN Driven EstimatoR)を開発されているノルウェーのオスロ大学に所属されておられるHansさん、Ingunnさん、Duncanさんが宇宙研に来訪されました。この来訪の目的は、私が解析を進めていた人工衛星あかりの時系列データをcommanderに読み込ませ、公開された全天マップと比較することであり、無事に目的を達成しました。来訪期間中に目的を達したこと、研究が進んだことで私自身とてもホッとしています(笑)。今後あかりのデータがcommanderを通じてどのような姿になるのか、またあかりデータの有効性を示す日を楽しみにしながら、より研究に精を出そうと思います。 (もり)


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厚地さん入学 (2024年4月1日)

東京大学から厚地さんが修士課程学生として進学しました。(K.E.)


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