JAXA 宇宙科学研究所 海老沢研究室へようこそ
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2024年度

ベルギー(リエージュ大・ゲント大・CSL)訪問(2024年7月15日-20日)

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コロナ後初めて、5年ぶりの海外出張でベルギーに行きました。昨年、宇宙研を訪問頂いたリエージュ大(1枚目の写真)の共同研究者のヤエル=ナゼさんが主催する大質量星連星に関する国際研究会に参加するためです。ちょうど、XRISM衛星による新しい結果が出たばかりだったので、最新の研究発表ができました。我々が作り上げたX線分光器"Resolve"の威力は、特にブラックホールや中性子星の連星系で発揮されるので、この発表を機会に多くの共同研究が生まれそうです。ヤエル=ナゼさん(2枚目写真の右から2番目の人)とその旦那さんでこれまた高名な天文学者であるリエージュ大学のラウフ教授(右端)とその娘さん(右から3人目)には、研究会主催中で多忙なところ、初日にご自宅へ夕食にご招待いただきました。
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さて、リエージュは、ワロン地方(フランス語圏)の中心都市です。ミューズ川(1枚目)左岸に橋頭堡を得るため、第一次・第二次大戦ともにドイツ軍に最初期に侵攻され、抗独記念碑(2枚目)が河畔に残っています。特に、第一次のリエージュの抗戦は有名で、バーバラ=タックマンのピュリッツァー受賞作「八月の砲声」で描写されていますが、この本を知っているベルギー人にいままで会ったことがないのはなぜだろう??その予想外の抗戦で仏軍再建の時間を得たフランス市民が、それまで別の名前で呼んでいたデザートを Cafè liègeois 「リエージュ人のコーピー」と呼び出したのが、いまでもレストランで提供されます(4枚目)。
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2日目には、電車でゲント大学を訪問しました。昨年、富永さんが訪問したゲント大学のファンデアミューレンさんと、XRISM衛星による観測データの解釈で必須な輻射輸送計算の相談をするためです。望月くんもリモートで参加。ゲントは、フランダース地方(オランダ語圏)の中心都市の1つです。 中世西欧の有力者であったフランドル伯の居城があり、いまでも多数の中世建築がいたるところに残っています。ちょうど、ヨーロッパ最大級のお祭りゲントフェスの直前で、非常ににぎやかでした。
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4日目には、リエージュ大学に隣接する CSL (リエージュ宇宙センター) を訪問しました(1枚目)。ヨーロッパ宇宙機関が打ち上げた多くの天文衛星がここで試験をしており、我々の研究で非常によく使う XMM-Newton, INTEGRAL, Planck 衛星も含まれます。2枚目が6メートル熱真空チャンパ。我々も JAXA の13メートル熱真空チャンバで何ヶ月にもわたって試験したので、非常に興味深かったです。我々の今後の開発にも密接に関係します。まず、LiteBIRD 衛星の欧州担当望遠鏡はこのチャンバで試験される可能性が高いです。また、欧州が進める次期大型X線衛星 Athena の X-IFU X線分光器は、我々の "Resolve" 分光器を引き継ぐ観測装置ですが、ベルギーはその重要コンポーネントの1つであるゲートバルブの開発を担当しています。Resolve のゲートバルブは、当研究室の御堂岡くんが性能較正をし、栗原くんが電磁干渉試験で使用したもので、まさに我々の経験が活かせます。担当のエンジニアとたくさん議論しました。相手は、自分と同じく衛星プロジェクトの重圧を同じ立場で感じる人なので、ぜひ開発に成功してほしく、引き続き支援できればと思っています。帰りに、お土産に XMM-Newton の望遠鏡の残り(3枚目)をあげると言われたのですが、大きくて持って帰れない。残念。

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ベルギーはその2言語体制で有名ですが、短期間で両圏を行き来すると、その極端ぶりが如実にわかります。左側がゲント駅の行き先案内板。予約した帰りの Liège 行きの電車が見当たらず焦ります。Liège は仏語で、フランダース地方では頑なに使用が拒否されているためです。逆もまた然り。Luik (蘭語綴り)行きの電車に乗りましょう。つまり、外国人も、地名の仏蘭別表記を知っていることが想定されています。これが曲者で、スペルのちょっとした違いだけでは済まず、Mons (仏語) = Bergen (蘭語)=山とか、Le Coq (仏語) = De Haan(蘭語)=雄鶏とか、地名が意訳されるので、仏蘭両語に精通していないと無理です。。。自虐ネタになっていて、研究会懇親会の余興で、「対応する仏蘭表記を結べ」というクイズが出題されていました(2枚目)。更に複雑なことに、ドイツ語圏ベルギーという非常に小さな第三のグループもあり、実は共同研究者のラウフ教授はその出身とのこと。

いろいろ風変わりな国ですが、食事もよく非常に過ごしやすいです。両言語圏とも、共同研究者も多数でき、我々の様々な研究で偶然にも多数の接点があるので、また訪問することになるでしょう。しかしながら、その費用を稼ぐために学術振興会の二国間交流事業に応募しようとすると、ベルギーだけ国の枠がなく、ワロン地方かフランダース地方かどちらか一方だけを選択する必要があります。これが数奇な運命をたどった国の知恵なのか、単なる頑固なのか、ナゾは深まるばかりです(つ)。
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SPIE in Yokohama (2024年06月16-21日)

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写真1:学会受付
写真2:企業ブースで展示されていたXRISM衛星
写真3:レセプションパーティーの様子
写真4:ポスター
D1の望月です。 今回はパシフィコ横浜で開かれた SPIE という国際学会に参加してきました。 SPIEとは、光学装置の研究分野を幅広く扱っている国際学会です。研究分野が幅広いため、SPIEはいくつかのセッションに分かれています。 私は、そのなかでも天文学に関わる衛星や望遠鏡のセッションに参加し、 IACHEC(5月の日誌参照)と同様に修論で扱ったXRISM衛星の研究内容でポスター発表をしてきました。
衛星や望遠鏡は、X線だけではなく、電波、赤外線、可視光、紫外線、ガンマ線を観測する様々なミッションがあります。 SPIEは次世代ミッションの講演も多く、将来の天文学の発展を垣間見ることもできました。 個人的には、X線と波長が近い紫外線の将来衛星計画の発表が興味深かったです。 また、扱う波長が異なる方々とは普段交流する機会が少ないですが、 本学会では交流することができ、とても楽しかったです。
(もち)
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祝賀会@町田イタリアン ルーチェ(2024年5月28日)

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写真1:今回の祝賀会はイタリアンでした。薄切れの肉にかかっていたソースがおいしかったです。
写真2:最後にみなさんと記念撮影。
厚地です。栗原さんUX Ari論文受理、望月さんSPRING GX採択、柏崎さん・森口さん就職内定おめでとうございます!
先輩方が今年度の初めに達成した数々の快挙のお祝いのため、町田のイタリア料理店「ルーチェ」にて祝賀会を開催しました。今回は本研究室OB・OGの御堂岡先輩、大間々先輩、富永先輩も交えて、卒業後の進路のことや天文学研究の思い出、最近の日々のあれこれについて、たくさんのお話に花を咲かせました。改めて、ご参加ありがとうございました。
僕の数歳上の先輩方のお話を聞いていて漠然と思うのは、やはり僕は将来何になるのかということです。小さい頃からずっとこの問題への回答を先へ先へと伸ばしていましたが、よく考えるとあと数年で答えを出すことになるんですね。避暑地に引っ越して仕事は家からリモート……そんな話を聞くとやはり魅力的で、かと思えば宇宙開発に携わる研究所に勤務……というのもまた魅力的。僕は「子供に夢を与える仕事がいい」という形のない未来像だけはありますが、二年後、あるいは五年後、どんな大人になっているのでしょうか?答えが出たときにはまたこのような食事会で、いずれ来る後輩と近況を語らい、過去の悩みの話の種として蒔き去ってしまいたいですね。ちなみに人生の最終目標としては地球の数々の名所を巡り尽くし、世界地図を適当に指さしたときにそこの思い出を話せるようになりたいです。
ちなみに、今回は僕が幹事だったのですが、当日は猛烈な台風の影響で参加者一同を駅からの往復で全員びちょびちょにしてしまいました。なんたる大失態。その節は本当にすみませんでした。また、この日に僕が使っていた黒いワンタッチの傘は暴風で「曲率が負の宇宙」みたいな形になってしまい、完全にお釈迦になったので、辻本先生イチオシの防風加工傘を購入しました。買い換えた翌日に、壊れてめちゃくちゃに開いたままの傘を玄関にとりあえず置いて外出し、そのことをすっかり忘れて帰ってきて扉を開けた瞬間、羽を広げた大きなカラスの形の傘が目に飛び込んできて思わず玄関先で「うわあっ!!」と叫んでしまいました。まったく台風はろくなものではないですね。 (なぎ)

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IACHEC in Spain (2024年05月10-18日)

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D1の望月です。 今回はスペインのセゴビアで開かれた IACHEC という国際学会に参加してきました。 IACHECとは、毎年開かれているX線観測衛星の較正やスクリーニング研究に特化した学会です。 較正とは、観測した値を正しい値に調整することです。 スクリーニングとは、天体信号を残しながら、天体ではないノイズ信号をを除去することです。 どちらも、装置の本来の性能を発揮するため、そして純粋な天体信号を解析するために必要不可欠な研究です。
私は、修論で扱ったXRISM衛星の研究内容で口頭発表をしてきました。 今年はXRISM衛星打ち上げ後初のIACHECということで、XRISMの特別セッションが開かれました。 そのためか、私の発表も含めてXRISMの発表に特に注目して聞いてくれたと思います。
X線衛星は勿論XRISM衛星だけではなく、様々なミッションがあります。 恥ずかしながら私の知らないミッションもあり、とても勉強になりました。 他の装置の較正やスクリーニング手法と自分の研究との共通点があり、お互いに経験を共有できました。
ここから発表以外のこと。まずこの学会は参加者が同じホテルに泊まって、朝昼晩ごはんすべてを共にします。 晩ごはんは毎日コース料理で、こんな良いもの食べてていいのかなという気持ちになりました。でも修論がんばったし、良いよねって気持ちで食べてました。 このときヨーロッパの方々の円卓に突撃して、ご飯を食べてきました。 でも、まだまだ思うように会話できなかったです。 英語力もそうですが、文化が違うと話す内容の前提知識が異なり、話についていくのでやっとでした。 まだまだ自分には伸びしろがありそうです。 それでも、私の博論研究計画についての議論をすることができ、渡航前に予定していた目標を達成することができました。
目標達成、学会終了後は観光が待っています! 行った場所はホテルの近くのセゴビアとマドリードです。 どちらも最高の場所でした。 建物がきれいで、治安も良く、過ごしやすい気候でした。 セゴビアでは水道橋、聖堂、お城を見学、マドリードでは、美術館、バルを楽しみました。 2週間経ってもまだ思い出します。あーまた行きたいなー。
(もち)
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2K Joule-Thomson冷凍機が生じる磁場測定実験 (2024年4月26日~4月30日)

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写真1:Joule-Thomson冷凍機 写真2:実験メンバーとの集合写真

4月26日から30日までの期間、ISAS内の磁気シールドルームで、2K Joule-Thomson冷凍機が生じる磁場測定実験を行いました。 この冷凍機は、LiteBIRD衛星に搭載される機械式冷凍機の一種です。 現在世界に二台しか存在しない希少な機器であり、この実験によって貴重な磁場データを収集することができました。 実験は5日間にわたる大規模なものでしたが、すべての測定項目を予定通りに測定でき、安堵しています。 今後の解析作業で得られる結果が楽しみです。(かし)


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commanderチーム来訪 (2024年3月27日~4月3日)

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写真1:最終日に開催した打ち上げ会の様子

今回はLiteBIRDプロジェクトに参加されており、CMBの解析に用いられるツールであるcommander(Optimal Monte-carlo Markov chAiN Driven EstimatoR)を開発されているノルウェーのオスロ大学に所属されておられるHansさん、Ingunnさん、Duncanさんが宇宙研に来訪されました。この来訪の目的は、私が解析を進めていた人工衛星あかりの時系列データをcommanderに読み込ませ、公開された全天マップと比較することであり、無事に目的を達成しました。来訪期間中に目的を達したこと、研究が進んだことで私自身とてもホッとしています(笑)。今後あかりのデータがcommanderを通じてどのような姿になるのか、またあかりデータの有効性を示す日を楽しみにしながら、より研究に精を出そうと思います。 (もり)


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厚地さん入学 (2024年4月1日)

東京大学から厚地さんが修士課程学生として進学しました。(K.E.)


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