No.221
1999.8

ISASニュース 1999.8 No.221 


- Home page
- No.221 目次
- 特集号によせて
- 「はるか」がなし遂げたこと
- 「はるか」
- 萩野慎二
- 大型パラボラアンテナの展開まで
- 井上登志夫
- 「はるか」の姿勢制御
- 軌道を決める
- VLBIのための観測システム
- 紀伊恒男
- 干渉計/VLBI/VSOP
- VSOPミッションとその成果
- 『活動銀河核』とは
- ジェット
- 波長と周波数
- シンクロトロン放射
- 宇宙で最も「明るい」銀河
- BL Lac天体の偏波観測
- 活動銀河核3C 84のジェットと電波ローブ
- VSOPサーベイ観測
- 「はるか」による22GHz観測の成功
- メーザー
- 臼田Kuリンク局
- 三鷹相関局
- 地上電波望遠鏡
- 通信総合研究所,鹿島34mアンテナ
- 米国国立電波天文台
- NASAジェット推進研究所
- VSOP,夢がかなった!
- VLBI,思い出すままに
- はるか物語
+ 呑み屋での話?
- 編集後記

- BackNumber

呑み屋での話?


 「スペースVLBIがやれないか」という最初の議論が呑み屋で行われた,という噂があります。どうもおじさんがその出席者の一人らしいのです。もちろん,呑み屋でそんな事を言い出す人といえば小田稔先生しか考えられません。小田先生の名前が出るとおじさんの記憶も「そんなことがあったような気もするな」となってきます。きっとホントなんでしょう。

 M-Vの話に触発されたのかどうかも良く覚えていませんが,論理的に考えればイエスですよね。そう言われるとおじさんの記憶も段々そうなってきます。そして,呑み屋だろうがどこだろうが,触発だろうがどうだろうが「それならゼミをやろう」ということになりました。それ以後の経過はご承知のとおりです。

 このように年寄りの記憶は不確かなので過去の話はこれくらいにして,現在と未来の話にしましょう。これなら記憶違いはありません。

 今悪戦苦闘中のVERAが実現し,VSOP- II (2?)も実現し,そして何ステップかの後についに人類は太陽系空間に展開したVLBI電波望遠鏡を持つことになります。こんなにトントン拍子に何もかも進む世界に住んでいると仮定しましょう。

 コペルニクス,ニュートンで太陽系の地図を手に入れた人類はVERAで銀河系の地図を手に入れます。太陽系はほとんど平面ですから「地図」でぴったりですが銀河系はもう少し立体的です。「模型」とでも言ったほうが良いかもしれません。そして次は宇宙の地図だか模型です。

 150億光年先の点光源から発した球面波は,木星軌道くらいの開口で見ると平面波との差が数ミリになります。現在地上,あるいは軌道上の電波望遠鏡で十分にはかれる量です。これをはかってしまえば宇宙の隅から隅まで距離がはかれることになります。  太陽系から外に出ないで宇宙の大きさが幾何学的にはかれる,太陽系も案外捨てたものではありません。まぁ,太陽系の大きさより小さい「点光源」が存在しなければダメ,なんて堅いことを言う人もいるでしょうがこれも呑み屋での話です。良いことにしてもらいましょう。

 輝かしいVLBIの未来に万歳,輝かしいスペースVLBIの未来に万歳,そしてそれらを大きく包含する呑み屋の未来に万歳。

(森本雅樹)



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