先輩の声 | OB・OGからのメッセージ

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小野寺 圭祐

修了年度: 2022年度

  • 大学院での研究テーマ: 月・火星における地震波伝搬と内部構造に関する研究
  • 現職: 東京大学地震研究所(日本学術振興会特別研究員PD)

私にとって総研大宇宙科学専攻は一流の研究者を目指す上で最適な研鑽の場であったと今でも思います。国内の宇宙科学の最前線かつ世界最高水準の研究者の下で研究を行えることはもちろんですし、私の場合はNASAのインサイトミッション(火星内部構造探査)にもサイエンスチームメンバーとして参加し、現行のミッションに携わりながら自身の研究を進めることができ、有意義な学生生活を過ごせました。

加えて、一学年あたりの人数も少ないので、学生一人一人への対応も丁寧で、こちらからの要望も真摯に受け止めてくれました。事務体制が安定しているというのは、研究に集中できる環境が整っていることの裏付けでもあり、学生生活を送る上でも重要なファクターだと思います。

一方で、宇宙科学専攻では他大学以上に研究に対する主体性を求められているように感じました。先生達は多忙なスケジュールの中、時間を割いて議論に付き合ってはくれますが、何かを一から教わるということは期待しない方が良いかと思います。現時点で「環境だけあればあとは自分でやってやる!」という考えを持っていて、それを実行できる方には向いているかと思います。博士課程は決して平坦な道のりではなく、研究が進んで楽しいと感じることもあれば、結果が出なくて辛いと感じることもあり、時には自分自身を極限まで追い込む必要もあります。ただ、これらを乗り越えて取得した学位には価値がありますし、その先の人生における大きな糧になると思います。

現在は東京大学地震研究所にて惑星地震の研究をしつつ、JAXAやNASAの次世代惑星探査計画にも深く関わっています。卒業後すぐに世界の最前線に投げ込まれても問題なく対応できているのは、総研大での学びと学生時代から積み上げてきた努力の賜物だと考えています。今後は惑星科学のビッグサイエンスである「月・惑星の形成進化史」の解明に迫れるような研究をしていきたいと思います。

狩谷 和季

修了年度: 2019年度

  • 大学院での研究テーマ: リソース制約環境下における探査機の自律地形相対画像航法に関する研究
  • 現職: 宇宙航空研究開発機構 国際宇宙探査センター宇宙探査システム技術ユニット

宇宙研での学生生活は、宇宙開発プロジェクトに携わることのできる機会、それを実現するための研究設備、経験豊富な先生方からの指導など、他の大学院にはない充実した環境が揃っています。つまり、ロケットの打ち上げや衛星の運用などの現場に係わりつつ、実際の宇宙開発において課題となる生の研究テーマを、強力なサポートを受けつつ進めることができる環境です。

私自身、入学した後に月着陸機のプロジェクトに携わりつつ、そこでの課題を将来的に発展させる形として画像処理を用いた宇宙機の航法技術に焦点を当てて研究を進めていきました。現在ではJAXAに就職し、将来の月探査・利用に関わる仕事をしています。また、総研大でお世話になったプロジェクトの皆さんとも、今では一緒に仕事をしたりもしています。

このような機会・魅力に惹かれるのであれば、総研大の宇宙科学コースが最高の環境を与えてくれると思います。

万戸 雄輝

修了年度: 2019年度

  • 大学院での研究テーマ: 宇宙ゴミの超高速衝突で生じる電気的現象に関する研究
  • 現職: 三菱重工業株式会社 総合研究所

宇宙に関わる最先端の研究がしたいという思いで、宇宙研をキャンパスに置く本学に入学しました。宇宙研は、国内外問わず様々な専門分野の研究者・学生が集まり、宇宙環境を模擬した国内有数の研究設備が備わる恵まれた環境です。その恵まれた環境下でプロジェクト経験が豊富な宇宙研の先生から直接指導を少数精鋭で受けられるところは、本学の一番の魅力だと思っています。

また、それ以外にも様々な総研大独自のプログラム(私の場合は、イプシロンロケット打上参加、野辺山電波観測所でのセミナー企画など)が用意されており、学生自身の主体性・積極性があれば手厚い経済サポートも受けられるところが、本学に入学して良かったと思うところです。

私は在学中、宇宙太陽光発電の分野を牽引する田中孝治研究室で無線送電やスペースデブリ対策に関する研究活動と、それらの研究を子供たちに伝える教育活動に取り組みました。これらの活動を通じて、宇宙分野をより発展させるためには、宇宙産業の裾野を拡げて、宇宙をより身近に感じられることが大切だと思うようになり、現在は三菱重工の総合研究所で研究員として、航空宇宙分野に関わる仕事をしています。

櫨 香奈恵

修了年度: 2011年度

宇宙望遠鏡について開発・運用・観測の全てを行う宇宙研で研究したいと考え、総研大に進 学しました。まわりが研究者だらけという夢のような環境の中、実際に手を動かして自分の やりたい研究(次世代望遠鏡搭載に向けた系外惑星直接観測用コロナグラフ光学系の研究 開発)を5年間一貫して進めることができました。宇宙研の先生方の授業は自らの宇宙機開発・運用の経験を基にしているため深く知ることができ、論文作成や科研費の獲得に必要なテクニカルライティングも早い段階から実践で学ぶことができました。所属研究室では衛星運用やデータ解析を経験する機会もあり、非常に充実した学生生活でした。また研究と同様、アウトリーチ活動(一般の方への研究紹介)も自分のアイデアを活かせる自由な雰囲気があり、宇宙研の特別公開では、赤外線天文衛星「あかり」の活躍をわかりやすくマンガで紹介する冊子を企画・発行しました。総研大生として宇宙研で得るものは十人十色ですので、是非積極的にこの素晴らしい環境を活用して、それぞれの景色を楽しんでください。