通信総合研究所,鹿島34mアンテナ
通信総合研究所(CRL)は,鹿島34m電波望遠鏡を用いたVSOP国際観測に参加しています。この研究観測は,CRLと宇宙科学研究所(ISAS)との共同研究の一環として位置付けられ,1988年4月に締結された「宇宙空間VLBIに関する共同研究」を端緒としています。もっとも,それ以前から臼田64mVLBI観測局の立ち上げや,米国のデ−タ中継衛星(TDRS)を利用した世界初のスペ−スVLBI実験サポ−トなどを通じて,相互協力体制の下地ができていました。
鹿島34m電波望遠鏡は,1.5GHzから43GHzまでの電波天文観測バンドをカバ−する6周波数帯の高感度受信器を搭載し,しかも,全天指向および高速駆動が可能な世界にも例のない優れた特徴を持っています。こうした機能は,今度の「VSOP」観測に活用され,1.6GHz帯,5GHz帯,22GHz帯と「VSOP」観測で使用される周波数帯を全てをカバ−する数少ないVLBI観測局のアンテナとして使用されています。また,鹿島VLBI観測局は,衛星「はるか」との同時VLBI観測のみならず,臼田地上局や三鷹相関局の機能確認や評価実験等にも貢献しています。
一方,鹿島34mVLBI観測局での「VSOP」観測運用面では,国立天文台グル−プとの連携,観測デ−タ収集専用装置の配備,そして観測オペレ−タ派遣制度の導入など,互いの機関にとってメリットの多い,新たな協力体制が構築されました。
今後もこうした協力体制を維持し,各種研究開発実験や次世代スペ−スVLBI計画の推進など,鹿島VLBIグル−プの特徴を活かした研究協力を考えています。
(通信総合研究所・栗原則幸)
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