VSOPサーベイ観測
現在,VSOPの観測時間の約4分の1が,共同利用観測とは別のミッション主導の『サーベイ観測』に当てられています。この観測には地上望遠鏡として日本,オーストラリア,南アフリカ,中国,ヨーロッパ,アメリカなど世界各国から一回の観測に4局ほどが参加して,1天体につき「はるか」1軌道分(約6時間)の波長6センチ(5GHz)の観測を次々に行っていく形で行われます。主要ターゲットは5GHzにおいて最も明るい300個の活動銀河核です。
サーベイ観測の主な目的は,
1) 最も明るいコンパクト電波天体を他の波長の観測結果と比較して,これらの天体の統計的性質を調査する,
2) 今後のより高分解能,高感度の観測のための研究対象として興味ある天体リストを提供する,
ことです。「はるか」と地上局がつくるこれまでになく大きなVLBI望遠鏡により,我々がこれまで未知だった解像度の情報(単位面積あたりの明るさ,中心部の大きさなど)が得られます。
これと並行して,オーストリアのATCA電波望遠鏡やアメリカのVLA電波望遠鏡による他の波長の電波強度のモニター,15GHzのアメリカの長基線VLBI(VLBA)のイメージ観測もおこなわれ,各天体の時間による明るさの変化が観測されています。これらの観測と「はるか」のサーベイ観測とを比べることで,同じ解像度で見た波長による電波の明るさの違い(スペクトル)などがわかります。これまでに既に140以上の天体の観測が済みました。一般共同利用観測の一部からも,各々の「はるか」と地上局4局程度分のデータが抽出され,サーベイ・データとして提供されています。現在データ処理,データ記録の管理の体制が整備されつつあり,科学的な結果がどんどん出始めました。図は,すでに観測された「はるか」のサーベイ観測による電波イメージの一部です。
「はるか」打ち上げ以前に,VSOPチームでは141個の活動銀河核に対して系統的な地上VLBI観測を行い,これらの天体がするどく中心に集中する輝きをもっていることがわかっていました。さらに,VSOPで300個のサーベイ観測が続行中です。
(国立天文台,科学技術振興事業団・堀内真司)
 | J0609-15 |
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 | J1626-29 |
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 | J1517-24 |
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 | J2011-15 |
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 | J1658+07 |
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 | J2207-53 |
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 | J1035-20 |
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