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はやぶさ近況
  探査機「はやぶさ」を導いたターゲットマーカ


「はやぶさ」

 このように、Space Pioneer Awardを受賞した「はやぶさ」ですが、イトカワ表面のタッチダウンに見事に誘導したのは、88万人の署名の入ったターゲットマーカです。今回は、「はやぶさ」ミッションで新規開発した技術の一つ「ターゲットマーカ」について紹介します。

 「ターゲットマーカ」は、小惑星表面に静止した後、探査機を誘導するための灯台の役割をします。自ら光を出しませんが、探査機に搭載されたフラッシュで輝きます(図参照)。探査機「はやぶさ」はカメラでターゲットマーカをとらえて、横方向速度をキャンセルしながら目標点付近に着地し、サンプル採取を行います。探査機から分離して小惑星表面に確実に静止するためには、ターゲットマーカが低反発(反発係数0.1以下)である必要があります。そこで考え出したのが、日本の伝統的な遊びの一つであるお手玉です。お手玉が、内部のビーズが互いに何度もぶつかってエネルギーを失う効果を持っていることに目を付けたわけです。実際の開発は、材料、材質、形状、加工方法、分離方法、フラッシュの宇宙仕様化など新規開発ばかりで大変苦労しましたが、2005年11月26日の降下時に、ターゲットマーカが小惑星表面上で光り輝いているのを確認できたときには、今までの努力が報われたと開発担当者一同、安堵しました。

探査機「はやぶさ」に搭載したターゲットマーカ3個。
上段がフラッシュオフ、下段がフラッシュオンの写真。

(久保田 孝) 


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ISASニュース No.303 (無断転載不可)