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皇太子殿下同妃殿下の行啓について

 11月15日の午後,皇太子殿下同妃殿下が宇宙科学研究所を御訪問になった。かねてから最先端での宇宙科学研究活動を両殿下にご覧いただきたいと望んでいたので,まことに喜ばしいことであった。

 まずご覧いただいたのは本館階ロビーの展示である。宇宙科学研究所の歴史と成果の概要に続いてロケットと科学衛星計画をご紹介し,ローバー実験をご覧いただいた。両殿下は私達の説明に熱心に耳を傾けてくださり,次から次へと質問をしてくださったので,説明にも熱が入り予定の時間を超過するほどであった。ペンシルロケットからM-Vに至る発展に感心なさったり,松尾教授がポケットからロケットの燃料をとりだしてお見せすると「柔らかいのですね」と驚かれるなど,自然にとけこんで下さったのでお話ししやすく,的川教授はジョークでの実力も発揮できたようであった。

 続いてM-3S IIの実物大モデルをご覧いただきながら飛翔体環境試験棟にご案内し,ASTRO-E計画をご説明したあと振動試験室で実機をご覧いただいた。大きな望遠鏡を搭載し,熱制御のためカプトン膜で覆われて金色に輝く実物の衛星に迫力を感じられたようで,ここでも沢山の御質問をいただいた。続いて特殊実験棟で「ようこう」による太陽コロナの観測データを御紹介した。X線で見るコロナの劇的な変動に感嘆なさり,宇宙の謎への御興味を深められたようにお見受けした。またASTRO-Eでも「ようこう」でも,共同研究について外国人研究者たちに直接ご質問をなさり,国際協力が日常的に行われていることを実感していただくことができたと思う。

 こうして2時間あまりのご滞在時間はまたたく間に過ぎ,「ASTRO-Eの成功を楽しみにしています」のお言葉を残されて御機嫌よくお帰りになられた。

(西田篤弘)

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ASTRO-E機械環境試験

 11月4日から16日まで,ASTRO-Eのフライトモデルが打上時の振動と衝撃に耐えられることを確かめる機械環境試験を実施しました。2年ほど前に,構造的に同一のテストモデルにこの機械環境試験を行ったときは,機械環境試験室内のガラス窓は大きくたわみ,壁が落ちることを心配するぐらい凄まじいものでした。このとき無事終了したとはいえ,宇宙研史上最大の衛星であることには変わりなく,更にテストモデルとは異なり,今回は結晶体などを含む各種観測装置や電子機器が搭載されています。そのため,とてもゆったりと腰を下ろして試験を眺める気分にはなれませんでしたが,あまり試験担当者が不安そうな表情をしていると,今にも口から心臓が飛び出しそうになっている各装置担当者が卒倒してはいけないので,冷静を装って試験に臨みました。

 試験は横方向2軸,機軸方向1軸の振動試験,そして,機軸方向の衝撃試験の順で実施しました。試験中,轟音をあげながら黄金の身を震わす衛星にある種の荘厳さを感じたのは私だけだったのでしょうか,あたりを見回すと幾人かの先生の喉の奥に心臓が見え隠れした気がしました。

 試験後の外観チェックでは特に異常がなく,ひとつの大きな山を越えたように思います。ASTRO-Eはいろいろな箔を身につけて,いよいよフライトへのラストスパートに入りました。

(峯杉賢治)

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第19回 IACG会議開催さる

 1999年IACG(国際宇宙科学研究機関協議会)が,11月16日から18日まで,日本で開催された。この会議は,宇宙科学を推進するNASA(米国航空宇宙局),ESA(ヨーロッパ宇宙機関),IKI(ロシア宇宙研究所),ISAS(宇宙科学研究所)の4つの機関の代表が,年に1回集って協議する場である。今年のホストは日本の番で,沖縄が会議場に選ばれ,上記4機関から,30数名が参加し,宇宙科学の国際協力に関する議論が行われた。

 各機関から活動状況と,国際協力の成果や,将来の協力の可能性につき報告があった。日本からは,X線天文,電波天文,太陽科学,惑星探査などで,世界の第一線の活躍や,国際協力の成果が報告された。また,ASTRO-EMUSES-CSELENESOLAR-BASTRO-F,などの近未来ミッションや,その先のミッションの検討状況の報告が注目された。

 アメリカは,ますます元気がよく,
(1) オリジン(起源)の追究,
(2) 太陽系の探査,
(3) 太陽-地球関連現象,
(4) 宇宙の構造と進化の解明,
という旗印のもとに,大小とり混ぜて,ミッション計画を進めている。特に,注目されるのは,「集中的技術開発プログラム」という方針である。このプログラムによれば,現状NASAの宇宙科学予算の12%を占める技術開発を,更に強化し,2004年には,35%にするというもので,現状でもNASAの圧倒的な技術開発に押され放しの日本やESAにとっては,大変な脅威となる。

 更に,これとは別に,「基礎研究」という項目も,別途,力を入れ,2004年には20%にしたいという。何と,NASA予算の半分以上を,技術開発と基礎研究に当てることを目標にしていることになる。

 ESAも,ClusterII(つの衛星による宇宙プラズマ物理),Huygens(NASACassini相乗りによる土星の月タイタン探査),XMM(X線望遠鏡),INTEGRAL(ガンマ線望遠鏡),ROSETTA(彗星探査),MarsExpress(火星オービター・ランダ),FIRST - Planck(赤外,サブミリ/宇宙背景放射観測),SMART-1(月探査・深宇宙技術試験)など,着実に進行しているミッションが印象的であった。

 これらと対照的に,経済問題で苦しむロシアに元気がないのが,残念であった。

 ワーキンググループの活動の中では,WG-1(太陽系探査)が,従来の小天体探査に加えて,水星ミッションの協力をテーマに選定したのが注目される。アメリカのMessenger計画ESAのコーナーストーンミッションや,日本のWGで検討が進んでいる水星ミッションにおける協調が,取り上げられた訳である。

 今回のIACGで最も重要な結論は,IACGの基本的な見直しが図られ,その為の準備委員会が作られたことである。今後のIACGは,各機関の長プラス1名程度が集まるサミットの形をとることとなり,機関間協力について将来の展望を含め幅広く意見交換を行う場となろう。また,WG-3(データアーカイブ)及び,つのパネルは廃止し,WG-2(太陽地球系科学)の存廃を上記準備委員会(宇宙研からは松本教授が参加)で検討することとなった。

 今回ホスト国として議長をつとめた宇宙研の西田所長は,退官を控えて今回が最後の参加となるが,IACGでの今までの目覚しい活躍に,各機関代表より最大級の賛辞が贈られた。

(中谷一郎)

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DASH(モーリタニア)について

 DASH(高速再突入飛行)実験では,再突入実験機の回収をモーリタニア国の砂漠地帯で行うこととしており,そのための準備を進めている。この度,最終の準備確認のため,11月2日から9日のスケジュールで同国を訪問した。一行は,事務官3名を含む9名である。到着にあたっては同国の関係者一同にVIP待遇で迎えられ,一同感謝を多とした。到着した翌日,準備確認の一環としてヘリを使った回収作業のリハーサルを首都ヌアクショット郊外のブチリミ市で行った。このリハーサルは,ヘリ搭載の受信装置などの機能・操作性の確認を含む回収関連の作業を予め体験し今後の準備の参考にするためのものである。追跡のターゲットとなるダミーの送信機を回収し損なうハプニングがあったものの,初期の目的を達して終了した。その後,本番回収作業時に必要となる機材の設置場所の最終確認を行うため,さらに奥地のアユン ,ネマ市を訪れた。

 これらの調査旅行を通じて今後本番までに必要な準備の確認を行うことができ,初期の目的を達成した。DASH実験に係わる同国との政府間協定は,この訪問中に最終的に締結されたとの情報が入り,今後同国の大変好意的協力が正式に得られることとなった。協定締結のための関係者一同の努力に感謝する次第である。また,現地は生活環境が大変タフなものであり,参加者一同にはご苦労を掛けた。この経験を参考にして,その面での準備も進めていきたい。

(安部隆士)

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M-V#4 第1組立てオペレーション

 去る10月18日から10月30日まで,この冬期に ASTRO-Eを打ち上げ予定の,M-V第4号機の組立オペレーションが行われた。前号機に引き続き,組立オペレーションの簡素化が進められ,電子機器関連の作業は全て第オペレーションへと集約されている。今回も,先だって行われた相模原での噛み合わせ試験の充実をはかっており,かつての制御系関連の試験は割愛されて,各段ノズル部の制御ハードウェアをロケットモータに組み付ける作業と,ノーズフェアリングの整備を第組立てオペレーションに先行して行った。所内各位は多忙のため,小子は制御電子機器が担当ではありながらも,窮余の代打として今オペレーションを担当することとなった。簡素化されたオペレーションも2回目ということで,作業は順調,ほぼ時間読み通りに進み,大きなトラブルもなく終了した。ただ,仕様外の結合ボルトが発見されるなどのいくつかの不具合,要処置事項が挙げられ,水際での対処ということで,緊張の継続を要するなと痛感させられたことでもあった。

 鹿児島には限らないのだが,今期はことのほか暖かく,桜やあじさいが季節を間違えて咲くなど,植物にとっても気候は異常だったのかもしれない。聞けば内之浦の今夏の天候はほとんど日照もなく,雨続きだったとのことであるが,期間中は一貫して良好な天候に恵まれ,わずかに2〜3日ほど計画主任が参加された時期にだけ,雨が降っただけであった。内之浦でのロケットの打ち上げも永きにわたり,ベテランの作業者と町とのつながりも深い。氏は減量のための毎朝の小時間ウォーキングの帰りがけにとれたての魚をもらい,夜道を歩いて帰る姿を目撃され,危ないからと翌朝反射ベルトを渡された氏がいたりと,町民人との接点にも大変深いものがある。こうして深く内之浦とともに歩んでこられた熟練の技官の方々も,この1〜2年で大勢が退官の時期を迎えられる。宇宙研のプロジェクトにとって大きな痛手であると同時に,内之浦とのつながりにとっても,非常に惜しく寂しいものがある。KSCには,34m アンテナが竣工し,今 expansionと,contraction が同居しているかのようである。

(川口淳一郎)

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大家寛先生が紫綬褒章を授章

 本研究所客員教授(東北大教授)大家寛先生がこの度紫綬褒章をお受けになりました。大家先生は宇宙空間プラズマの研究に関して様々な優れた業績を上げてこられましたが,本研究所の科学衛星計画に初期のころから参加され今日の発展へと導いてこられました。先生は「でんぱ」から「のぞみ」にいたる一連の衛星,探査機の実現に主導的な役割を演じてこられました。特に,わが国独自の惑星探査の実現に関して早い時期から大変な情熱を傾けて様々な活動を続けてこられました。その果実として「のぞみ」をはじめとする月・惑星探査が今実現しようとしています。このような時期に先生が紫綬褒章の栄誉に輝かれたことを心からお喜び申し上げたいと思います。

(鶴田浩一郎)

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市川人事院人事官が鹿児島宇宙空間観測所を訪問

 人事院の市川人事官が11月10日(水)午後鹿児島宇宙空間観測所を人事院関係者とともに訪問された。当日は,秋晴れの下,松尾企画調整主幹とともに管理棟で出迎え,観測所の概要説明,管理運営に関する意見交換の後,施設見学に移った。まず最初に20mアンテナ台地において,観測所全体を眺め,コントロールセンターでは,打上げ後の緊迫するロケット軌道監視の話などに感嘆され,34mアンテナ直下では感慨深げに立たれ,構造・システムなどについて専門的な意見交換を行った。ロケット組立室では,来年の打上げに向け搬入されていたM-V-4号機の計器部,フェアリングを,推薬庫では第1段から第3段モータをご覧になり,垣間見えた推進薬の意外な少なさに驚嘆されていました。最後に整備塔の最上部に上り,太平洋の彼方へと上昇するロケットを想像されたかのように海上方向を見られていました。市川人事官は大学の研究者出身の方ですが,この訪問を機会に人事院にも,宇宙科学に代表される学術研究の理解者が数多く増えることを期待したいものです。

(庶務課長 根本義久)


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宇宙学校・くわな開かれる

 さる11月27日,三重県桑名市のコミュニティ・プラザにおいて,「宇宙学校くわな」が開催された。

時限目は「ロケット・人工衛星」(講師は山川・久保田),
時限目は「宇宙の謎を探る」(星野・和田),
時限目は「惑星と生命」(岡田・今村)
というテーマで,活発な&が展開された。一筋縄では行かない質問が多く,さすが所長の出身地という感じ。延べ入場者は827名

「通信には赤道上と高緯度とどちら がいいか
「ブラックホールに吸い込まれたらどこへ行くか
「星までの距離はどうやって計る
「月の足跡はなくならないか」など。

(的川泰宣)

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