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No.221 |
ISASニュース 1999.8 No.221 |
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呑み屋での話?「スペースVLBIがやれないか」という最初の議論が呑み屋で行われた,という噂があります。どうもおじさんがその出席者の一人らしいのです。もちろん,呑み屋でそんな事を言い出す人といえば小田稔先生しか考えられません。小田先生の名前が出るとおじさんの記憶も「そんなことがあったような気もするな」となってきます。きっとホントなんでしょう。 M-Vの話に触発されたのかどうかも良く覚えていませんが,論理的に考えればイエスですよね。そう言われるとおじさんの記憶も段々そうなってきます。そして,呑み屋だろうがどこだろうが,触発だろうがどうだろうが「それならゼミをやろう」ということになりました。それ以後の経過はご承知のとおりです。 このように年寄りの記憶は不確かなので過去の話はこれくらいにして,現在と未来の話にしましょう。これなら記憶違いはありません。 今悪戦苦闘中のVERAが実現し,VSOP- II (2?)も実現し,そして何ステップかの後についに人類は太陽系空間に展開したVLBI電波望遠鏡を持つことになります。こんなにトントン拍子に何もかも進む世界に住んでいると仮定しましょう。 コペルニクス,ニュートンで太陽系の地図を手に入れた人類はVERAで銀河系の地図を手に入れます。太陽系はほとんど平面ですから「地図」でぴったりですが銀河系はもう少し立体的です。「模型」とでも言ったほうが良いかもしれません。そして次は宇宙の地図だか模型です。 150億光年先の点光源から発した球面波は,木星軌道くらいの開口で見ると平面波との差が数ミリになります。現在地上,あるいは軌道上の電波望遠鏡で十分にはかれる量です。これをはかってしまえば宇宙の隅から隅まで距離がはかれることになります。 太陽系から外に出ないで宇宙の大きさが幾何学的にはかれる,太陽系も案外捨てたものではありません。まぁ,太陽系の大きさより小さい「点光源」が存在しなければダメ,なんて堅いことを言う人もいるでしょうがこれも呑み屋での話です。良いことにしてもらいましょう。 輝かしいVLBIの未来に万歳,輝かしいスペースVLBIの未来に万歳,そしてそれらを大きく包含する呑み屋の未来に万歳。 (森本雅樹) |
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