宇宙科学研究所の第16号科学衛星MUSES-Bは,新規開発されたM-V-1号機により,1997年2月12日13時50分(日本標準時間),鹿児島宇宙空間観測所から打ち上げられ,地球周回の長楕円軌道に投入されました。衛星は軌道投入後,「はるか」と名付けられました。
MUSES-Bは8m大型展開アンテナ,精密姿勢制御,多周波低雑音受信機,位相基準信号の伝送,Ku帯大容量データ伝送,高精度軌道決定など,スペースVLBI (Very Long Baseline Interferometer,超長基線干渉計) の実現に必要な諸技術の工学実験を行うことを目的に開発され,これらの技術の確立の上でスペースVLBIによる電波天文観測を国際協力で行う,という大変意欲的な衛星計画でした。
工学実験は担当者の努力によりそれぞれ目標を達成し,その技術の上に「はるか」はスペースVLBI観測を行う宇宙電波望遠鏡として様々な科学的成果を上げてきました。
なお,「はるか」の英名“HALCA”には,“Highly Advanced Laboratory for Communications and Astronomy”(通信・天文超高等実験室)が当てられており,関係者の心意気の高さが示されています。