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メーザー
メーザーはMASERと綴ります。Microwave Amplification by Stimulated Emission of Radiation の略で,訳すと,「誘導放射によるマイクロ波増幅」です。これがマイクロ波の代りに光(Light)にすると,皆さん良く御存知の,レーザーLASERとなります。マイクロ波は電波の分類の一つで,1メートルより波長の短い電波のことです。「はるか」の観測波長はマイクロ波です。
宇宙には,分子雲とよばれる,温度の比較的低いガスの塊が漂っているところがあります。主成分は水素分子(H2)ですが,そのほかに,一酸化炭素,水蒸気や,水酸基(OH),アルコールやアンモニアなどいろいろな分子があります。この分子ガスが,高密度の状態になって分子同士ぶつかったり,星などから強い放射を受けたりすると,いくつかの種類の分子ではその多数が電波を出しやすい状態(逆励起状態)になることがあります。そこへ,分子雲の外から電波が入るとその電波に分子が刺激を受けて,電波を放出します,放出された電波はまた次の分子に刺激をあたえ電波を放出させ,こうして,次から次へと電波が増えていき,そのガス雲を出るときには,入ってきた電波の強さは高い倍率で増幅されます。こうして,「明るい」天体ができます。このメーザというのは,その分子の種類によって増幅できる電波の波長が違い,水蒸気なら1.348cm,水酸基なら17.98cmと決まっています。このため,『スペクトル線』(ある特定の波長(周波数)の電磁波のみが明るい状態)として観測されます。
(村田泰宏)
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