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科学衛星

大学共同利用システムと科学衛星計画の選定

宇宙科学研究所の基本的な運営は、全国の科学者・技術者との協力に基づく、大学共同利用システムの考え方で行なわれます。ミッションの提案は、全国の大学・研究機関の研究者が自発的に作るチームによってなされ、宇宙科学研究所の内部と外部からほぼ同数の委員によって構成される委員会で選定されます。委員会で承認されたプロジェクトは、提案チームを母体に、やはり宇宙科学研究所の内外の研究者・技術者によって作られるチームが実行します。

科学衛星計画推進の第一歩は、計画の性質に応じて、宇宙理学委員会か、宇宙工学委員会にワーキンググループの設置を申請することから始まります。宇宙理学委員会・宇宙工学委員会は、それぞれ宇宙理学者、宇宙工学者が主体となり、約半数が外部の研究者です。計画の目的の妥当性が審議され、数年のうちに衛星計画として実行に移せるレベルにあるかが評価された上で、ワーキンググループの設置が認められます。

認められたワーキンググループでは、理学者と工学者が協力して、ミッション達成の鍵となる技術項目や衛星としての検討項目を見定め、それぞれの委員会の下で公募される開発研究費に応募したり、外部の競争的資金を得たりして、基礎研究を進めます。そして、衛星計画として正規の予算要求に進めるレベルに達したと判断すると、ワーキンググループは、宇宙理学委員会または宇宙工学委員会に、正規の衛星計画として概算要求することを提案します。提案を受けた委員会は、評価小委員会を設置して、計画の目的の重要性、技術的・財政的な実現可能性、ミッションを支えるグループの成熟度など、さまざまな観点から提案を吟味します。複数の提案が同時になされたときは、最大一つの計画を選別することになります。

このようにして、宇宙理学委員会、宇宙工学委員会は、それぞれ独立に、概算要求項目への提案する計画の選定にあたり、その結果を宇宙科学研究所長に諮問します。両方の委員会が同じ会計年度にスタートする新しい計画をともに提案することになった場合には、宇宙科学研究所の企画調整会議が、優先順位を勧告します。

このような手順を経て選定された科学衛星計画は、概算要求項目として文部科学省に提出され、宇宙開発委員会による評価を経て、財務省に提出されます。そして、政府の予算案の一部として認められると、最終的には、国会の承認を経て、実行に移されることとなります。

宇宙科学研究所の大学共同利用システムにおいては、上に述べたような宇宙科学研究の進め方や、研究者の人事に関する運営を司るのは、宇宙科学研究所長の諮問委員会である宇宙科学運営協議会の仕事となります。運営協議会は21名の運営協議員から構成され、宇宙科学研究所内部・外部からほぼ同数の人たちから成っています。これは宇宙科学研究所の最高議決機関と位置づけられます。また、宇宙科学研究所長を決定し、宇宙科学全般へのアドバイスを行なうものとして、宇宙航空研究開発機構長の諮問機関の位置づけで、宇宙科学評議会が設置されています。宇宙科学評議会は、すべて外部の学長クラスの有識者からなります。