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科学衛星

宇宙科学研究所におけるプロジェクト遂行

正規の科学衛星計画として認められた計画は、宇宙科学研究所の宇宙科学プログラムの中の一プロジェクトとして動き出します。それぞれのプロジェクトには、プロジェクトマネージャーが設定され、一般的には、宇宙科学研究所の教授が担当します。そして、プロジェクトチームの中には、通常、プロジェクト・サイエンティストと、プロジェクト・エンジニアも設定され、それぞれ、理学研究者グループの代表者と、プロジェクトを支援する工学研究者の代表がその任を勤めます。

多くの科学衛星プロジェクトでは、その観測装置のいくつかが国際協力の下で開発されます。そして、しばしば、それぞれのプロジェクトチームに国際的な研究者を加え、国際的な科学作業グループが形成されて、衛星計画の内容や、軌道投入後の観測運用計画の議論が行なわれます。

衛星打上げまでの衛星製作プロセスは3段階に分かれます。第1段階は衛星プロトタイプモデルの設計・製作です。ミッションを左右する重要ないくつかのサブシステムや新規開発のサブシステムの試作・試験が目的となります。そして、簡単な熱構造モデルが作られ、構造機能試験、熱真空試験に供されます。この段階には、ふつう2年かかります。第2段階はフライト・モデルの設計・製作です。ほとんどのプロジェクトの場合、これに2年かかります。第3段階は、フライト・モデルの飛翔前総合試験で、これに約1年かかります。

衛星の試作・製作・試験は、いくつかのメーカーに委託して行なわれますが、宇宙科学所では、一つのメーカーに監督を依頼する主契約者設定方式はとらず、多くのサブシステムメーカーを宇宙科学研究所が直接監督する方式を取っています。

相模原で行われる総合試験の後、科学衛星は、通常、内之浦宇宙空間観測所に運ばれ、打上げを迎えます。内之浦宇宙空間観測所は、宇宙航空研究開発機構の下では、宇宙基幹システム本部の管轄となり、打上げもその下で行なわれます。しかし、打上げオペレーションに関わるさまざまな事項は、実質、宇宙科学研究所の、教育職・技術職のメンバーの責任の下で実行されます。

軌道に投入された衛星からのテレメータ電波は、衛星の軌道と電波の種類により、内之浦宇宙空間観測所にある、20m、34mのアンテナと臼田宇宙空間観測所にある64mアンテナのどれかによって受信されます。衛星の管制は、通常、相模原キャンパスの管制室からリモートで行われます。衛星追跡のルーティン作業は、プロジェクト・チームの科学者が企業のサポートを受けながら遂行します。外国のメンバーもルーティン・オペレーションに参加することがあります。

観測ロケットプロジェクトの選定・実行は、衛星の場合に似たプロセスで行われますが、衛星計画のものよりずっと簡素な手順で遂行されます。大樹航空宇宙実験場から打ち上げる大気球プロジェクトの遂行も同様です。