TOP > 活動内容 > 科学衛星 > 例:「あすか」はいかに開発されたか > 4.システム管理
![]()
4.システム管理
予算がつくとミッションを実行するチームをつくります。衛星と機器の開発はチームとして行います。このチームは約50人から構成され、宇宙科学研究所のスタッフだけでなく、さまざまな大学でX線天文学に携わっている多くの科学者を含んでいます。チームはいくつかのサブシステム・チームに分かれます。
宇宙科学研究所のミッション遂行の特徴は、主契約企業というものを持たないということです。その代わりに、宇宙科学研究所(現JAXA宇宙科学研究本部)がマネージメントの全責任をとり、宇宙科学研究所の教授がプロジェクト・マネジャーの任命されます。ASTRO-Dの場合は、田中靖郎教授がプロジェクト・マネジャーに、井上一教授がプロジェクト・マネジャー補佐に任命されました。加えて、宇宙工学サイドの2人の教授、小野田淳次郎と中谷一郎がそれぞれ機械・電気関係のアドバイザーに指名されました。
ほとんどのサブシステムの製作が、さまざまな企業との下請け契約で行われます。しかし個々のサブシステムの設計と実証は、これらの企業と宇宙科学研究所と共同で、宇宙科学研究所の責任において実施されます。ミッションの実行チームは、下請け企業のエンジニアを交えて頻繁に会合を開き、サブシステムの設計や作業の捗り具合を見なおしたり、サブシステムのチーム間のインターフェースをとったりします。
仕様を変更しなくてはならなくなった場合、プロジェクト・マネジャーが、科学者・技術者と緊密に協力しながら、観測能力への影響を最小にとどめるようなやり方で、必要な調整を行うようリードします。過去の経験に基づいて宇宙科学研究所に蓄積された経験のおかげで、適切な判断と助言が可能になり、そのことが、経費とスケジュールを厳守することに多大の貢献をしているのです。
「ASTRO-D」のために宇宙科学研究所を訪問した日本人の数と旅費
| 年度 | 訪問者の延べ人数 | 旅費 (100万円) |
|---|---|---|
| 1998 | 104 | 2.0 |
| 1989 | 63 | 1.2 |
| 1990 | 82 | 1.2 |
| 1991 | 95 | 1.8 |
| 1992 | 226 | 10.1 |
| 計 | 570 | 17.9 |
ASTRO-D実行チームのメンバー
| サブシステム | 理学 (宇宙研) |
工学 (宇宙研) |
外部機関 |
|---|---|---|---|
| 衛星 | |||
| システム | 2 | 2 | |
| 構造 | 2 | ||
| 熱設計 | 1 | ||
| 科学機器 | |||
| XRT | 3 | 名大、GSFC | |
| SIS | 3 | 阪大、MIT、ペンシルヴァニア州立大 | |
| GIS | 3 | 東大 | |
| RBM | 1 | ||
| EOB | 2 | 2 | |
| 基本機器 | |||
| テレメトリ/ コマンド | 5 | ||
| データ処理 | 2 | 3 | |
| 電源 | 3 | ||
| 姿勢制御 | 3 | 3 | 理研 |
| 打上げ | |||
| EPT | 2 | ||
| INS | 2 | ||
| ヨーヨー | 1 | ||
| 地上支援 | 6 | 4 | 全機関 |
