宇宙科学談話会

ISAS Space Science Colloquium & Space Science Seminar

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インフレーション理論と原始重力波観測

藤田 智弘
京都大学

次世代の宇宙背景放射(CMB)偏光観測計画であるLiteBIRD衛星を念頭に、インフレーション理論と原始重力波について発表する。インフレーション理論は重力波の生成を予言しており、LiteBIRDはCMB偏光を通じてそのような原始重力波を観測することを目指している。発表の前半では原始重力波の生成機構を、一般相対性理論と場の量子論の知識を前提とせず、分かりやすく解説する。この機構には「重力場の量子化」も関わっているため、原始重力波の観測自体が基礎物理の根幹に関わる重要性を持つことをお伝えしたい。発表の後半では、近年盛んに研究されている、原始重力波を通じてインフレーション中の物質場を探るアプローチについて議論する。どのような物質場の運動がインフレーション中に顕著になったのかはまだ全然分かっていないが、重力波のスペクトル・偏光・非ガウス性等の性質を詳しく見ることで、様々な情報が引き出せることが期待されている。

Place: 2F Conf. room / 研究管理棟2階会議場(1236号室)