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宇宙科学の最前線

「はやぶさ2」搭載ハニカム構造軽量高利得平面アンテナ 東京工業大学大学院 電気電子工学専攻 准教授 宇宙科学研究所 宇宙機応用工学研究系 客員准教授 広川二郎

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 12月3日に小惑星探査機「はやぶさ2」の打上げが行われました。本稿では、「はやぶさ2」に搭載されている、ハチの巣状の六角形をしたハニカム構造の使用により軽量化された高利得平面アンテナについて解説します。また、同じハニカム構造を用いて開発が進められている小型衛星搭載用合成開口レーダシステムに関しても説明します。

「はやぶさ2」搭載高利得平面アンテナ

 図1に「はやぶさ2」のイラストを示します。探査機本体の上面に設けられた2つの円板状のものが、高利得平面アンテナです。一つがXバンド(8.4GHz)のアンテナで、これは2010年5月に打ち上げられた金星探査機「あかつき」にも用いられました。もう一つがKaバンド(32.0GHz)のアンテナです。アンテナの利得を高く、また通信速度を大きくするため、Kaバンドの高い周波数を用いると同時に、多くの地球局で用いられているXバンドも組み合わせて使います。

 いずれのアンテナも直径は約90cmと大きいですが、電波が通る導波路部にハニカム構造を用いて、約1kgと軽量化を実現しています。


図1 小惑星探査機「はやぶさ2」
図1 小惑星探査機「はやぶさ2」
探査機本体の上面に設けられた2つの円板のうち、左がKaバンド(32.0GHz)のアンテナ、右がXバンド(8.4GHz)のアンテナ。

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