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宇宙科学の最前線

全天X線監視装置MAXI 激動する宇宙が見え始めた ISS科学プロジェクト室 主任開発員 上野史郎

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MAXI始動

 国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」への取り付けを2009年7月24日早朝(日本時間、以下同)に完了した全天X線監視装置「MAXI」に、8月3日9時41分、実験電力が投入されました。筑波宇宙センターの運用卓画面にテレメトリデータが表示され始めると、MAXI誕生を祝う拍手がわき起こりました。
 8月8日、MAXIのX線ガスカメラ(Gas Slit Camera:GSC)の検出器(全12台の比例計数管)への高電圧印加を開始しました。高電圧(1650ボルト)を印加すると、X線光子を検出し始めます。明るいX線源の一つであるかに星雲を無事検出し、検出器と機上データ処理系が正しく動作していることを確認しました。8月13日、全12台への印加を完了しました。
 8月15日、もう一つの観測装置であるX線CCDカメラ(Solid-state Slit Camera:SSC)が試運転を開始しました。X線光子を検出するために、全32枚のCCD素子を冷やします。18日、CCD素子の背面に配置した電子冷凍機(ペルチェ素子)に電流を流し始め、冷却目標−60℃を達成しました。


MAXIで見た全天のX線画像

 図1(a)は8月18日に記者発表したMAXIファーストライト画像です。ISS軌道1周回(約90分)の間にGSCで検出したX線光子データから作成しました。中央の水平軸は銀河面(天の川)です。露出時間と位置ずれを補正する前の画像ですが、主要なX線天体が30個ほど、はっきり見えています。かに星雲の約40分の1のX線強度の天体まで観測できており、計算機シミュレーションで打上げ前に予測した1周回での感度の達成を確認しました。最も明るいのは、さそり座(Scorpio)X-1という、中性子星と小さな恒星の連星です。ブラックホール候補天体として最初に見つかったはくちょう座(Cygnus)X-1や、西暦1054年に観測された超新星の残骸であるかに星雲(Crab Nebula)も見えています。
 図1(b)は10月28日に取得した1日分のデータで作成した画像です。ファーストライト取得以降、太陽回避角の設定を徐々に小さくしたので、観測できない領域の幅は50度から10度に縮小され、全天カバー率96%を達成しました。観測できない領域は天球上を移動します。図1(b)時点で観測できない領域も、その10日後には観測可能になります。


図1
図1 X線ガスカメラ(GSC)による全天画像
露出時間やバックグラウンドを未補正なので、画像に筋や濃淡など、むらが目立つ。補正済みの全天画像を現在準備中。

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