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特集

超高角度分解能X線望遠鏡X-mas計画

 望遠鏡の角度分解能には,光の波長と望遠鏡の口径で決まる原理的な限界があります。口径が大きければ大きいほど,波長が短ければ短いほど,分解能が高くなります。X線は波長が短いので,小さな口径の望遠鏡でも大変高い角度分解能が期待できます。しかし,現実には原理的な限界に近づくためには,望遠鏡の形状をX線の波長より小さい精度で作り上げる必要があります。

 私たちは,比較的簡単に高精度を達成するために,可変形状鏡と波面センサを用いて望遠鏡のゆがみを測定しつつ,そのゆがみを動的に補正する方法に挑戦しています。この方法により,人工衛星に搭載できるくらいの大きさで,原理的な限界の角度分解能を持つX線望遠鏡の開発を進めています。X線でミリ秒角の分解能を持つ望遠鏡を開発するという意味で,X-ray milli-arc-sec Project (X-mas 計画)と呼んでいます。今は実験室で試作望遠鏡を組み上げています(図)。主鏡や副鏡は,X線を反射する多層膜を使用しています。また,副鏡は可変形状鏡です。波面センサも駆動しており,可視光を使った動的な補正もできました。X線による性能評価まで,あともう少しというところです。



図
図 望遠鏡の鏡筒(真空容器)に収めた主鏡(奥)と波面センサ(手前)


(北本俊二[立教大・理]ほか)
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