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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第345号

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ISASメールマガジン   第345号       【 発行日− 11.05.03 】
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★こんにちは、山本です。

 連休 まっただ中の相模原キャンパス。休暇の人も多いようで、廊下を行き交う人も少なく静かです。どこからか、ウグイスの初音も聞こえてきます。

 ちょっと古い話題になりますが、全国のプラネタリウムで公開されていた、全天周映画「HAYABUSA - BACK TO THE EARTH - 帰還バージョン」が、「第52回科学技術技術映像祭」で文部科学大臣賞を受賞しました。

 また、この帰還バージョンの平面版が角川映画配給で、5月14日(土)から一般の映画館で、上映されます。(詳しくは、お近くの映画館で 確かめてください。)

今週は、宇宙科学広報・普及主幹の阪本成一(さかもと・せいいち)さんです。

── INDEX──────────────────────────────
★01:初のダブルヘッダーとなった第30回「宇宙科学講演と映画の会」
☆02:「すざく」とMAXIが切り開くX線天文学(報告資料)
☆03:「「はやぶさ」カプセル等の展示スケジュール
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★01:初のダブルヘッダーとなった第30回「宇宙科学講演と映画の会」

 4月9日に行われた「宇宙科学講演と映画の会」は、今回で30回の節目を迎えました。震災や節電に配慮して開催を見合わせるイベントが多いなか、あえて2部構成で中継を含めて大々的に開催することにしましたが、結果的には正解だったように思います。


 201年5月の「あかつき」、イカロスの打上げと6月の「はやぶさ」の地球帰還を受けて注目度が高まっていることもあり、中村正人教授の「金星への帰還」と川口淳一郎教授の「「はやぶさ」が挑んだ人類初の往復の宇宙旅行、その7年間の歩み」という講演を目当てに記録的な数の参加者がありました。配布資料の数などから推定したところ、第1部がロビーで中継をご覧いただいた方を含め364名、第2部が同様に416名と、合計780名だったようです。

 開演の30分ほど前にはすでに第1部の整理券は配布が終了してしまい、14時20分からの第2部の整理券もお昼過ぎには配布が終了してしまいましたので、せっかくお越しいただいたにもかかわらずお聞きになれなかった方や、長時間お待ちいただいた方も少なくなく、この場をお借りしてお詫び申し上げます。特に、遠方からわざわざお越しいただいた方や、仕事などの合間をぬってお越しいただいた方には申し訳ないことをしました。


 テーマと講師が決まった時点でこのような大混雑は予想されましたが、これを抜本的に解決するには、当日キャンセルで多少空席ができることを覚悟して事前申し込みにするか、予約済みの会場をキャンセルして広くするか、生中継などの配信方法を実現するか、同一内容で複数回実施するかぐらいしかありません。

 事前申し込みは合理的ですが、現状でわざわざ空席を作ることは残念なので今回も見送りました。会場の変更についてはこれまでも何度も議論されてきましたが、アクセスの利便性や早期予約の可能性などの観点から、昨年4月の時点では時期尚早と判断されました。そこで、限られた収容能力で大勢の方に参加いただくために、今回はじめて2部制を導入したわけです。これで680名の方には会場内でお聞きいただけました。ただ、来年度はもっと広い会場を手配しようと複数の候補にあたっているところです。


 インターネット中継についてはネコビデオビジュアルソリューションズ(NVS)殿の協力で実現しました。手弁当で協力いただいたことにとても感謝しています。インターネット経由での質問も受け付けましたので、会場に足をお運びいただけない方への配慮も若干はできたのではないかと思います。


 さて肝心の講演内容についてですが、この短い文章の中で表現できるものではありません。小野田所長の挨拶に続いて、中村教授からは金星探査で目指すサイエンスについて、そして川口教授からは「はやぶさ」の挑戦について、原子力発電所の事故の例も引きながら紹介がありました。

 講演の内容や会場とのやり取りには興味深いものがありましたが、特に個人的に気に入ったのが、中村教授の講演の質問タイムでの
「『あかつき』に一言かけるなら?」
「めげるなよ」
のやり取り。
そして、野菜ジュースを手にレジに並んでいる川口教授に対してコンビニの店員がかけた
「砂、入ってるといいですね」
のエピソードです。詳細についてはネット上にいろいろ記録やコメントが残っているようですので、そちらをご覧いただくのがいいと思います。


 それにしても、講師には第1部と第2部で同一内容の講演をお願いしたのですが、第1部限定の話やら第2部限定の話やらが飛び出して、やはり同じことを繰り返す人たちではないなと改めて実感したところです。そういえば私自身も昨年宮古島でトリプルヘッダーを経験していますが、やはり同じ話はできませんでした。少しでも新しい要素を含めたいと考えるのは科学者の習性・本能のようなものなのでしょう。


 講演に引き続いて最後には、久保田教授らが中心となって作り上げた新作の
『The Rover 〜 今、宇宙は、探査ロボットの時代へ』
も上映しました。これまでとはやや趣向の違う出来栄えで、新たに撮影したローバーのトリッキーな動きも満載で、私自身とても気に入っています。
インターネット経由でもTV@ISAS(⇒ 新しいウィンドウが開きます http://www.isas.jaxa.jp/tv_isas/index.html )から視聴できますので、どうぞご覧ください。


 今年度は「宇宙学校」を駒場以外に8か所で開催することを決め、全国行脚に出かけますが、「宇宙科学講演と映画の会」のような大人向けのハイレベルな講演会のニーズが高いことも十分認識しています。2009年度から始めた夏の特別公開での「宇宙科学セミナー」もまた計画中ですので、どうぞご期待ください。


(阪本成一、さかもと・せいいち)

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※