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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第33号

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ISASメールマガジン   第033号        【 発行日− 05.04.19】
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★ こんにちは、山本です。
 今年の「ソメイヨシノ」は、アッという間に終わりそうですね。ISASは今、新緑と新人の季節です。
 今週は、宇宙探査工学研究系の久保田孝(くぼた・たかし)さんです。

―― INDEX――――――――――――――――――――――――――――――
★01:ロボットによる月惑星探検
☆02:特別コラム「ペンシルロケット物語 日本の宇宙開発の黎明期」
☆03:大入り満員!第24回宇宙科学講演と映画の会
☆04:「第4回 君が作る宇宙ミッション」参加者募集!
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★01:ロボットによる月惑星探検

 月惑星探査の目的は、起源と進化の解明をはじめ、さまざまなものがあります。しかしながら、惑星探査の醍醐味は、なんといっても見たことのない光景がつぎつぎと展開され、わくわくすることではないでしょうか。私自身、未知の天体に行って探検してみたい。あるいは、自分の分身であるロボットを月惑星に送り込んで、惑星を探検してみたいと思っています。

 さて、昨年の1月に米国NASAの探査ローバ「スピリット」と「オポテュニティ」が火星表面に降り立って、移動しながら探査を行ったことは記憶に新しいところです。鮮明な画像や科学観測データが地球にたくさん送られ、ニュースにも数多く取り上げられました。ところで、いま2台の探査ローバはどうしているのでしょうか?NASAのホームページを見にいくとわかりますが、驚くべきことに今なお探査活動を続けています。NASAは火星表面の砂が太陽電池に積もり、発生電力が小さくなることを予想して、当初3ヶ月の探査計画を立てていました。その後、大きなトラブルはなく順調に探査を続け、延長ミッションを進めています。この4月で15ヶ月目に入り、走行距離は約5kmにもなります。本ミッションにより移動探査ロボットによる直接探査の有効性を示したといえるでしょう。NASAはさらに18ヶ月の延長ミッションを決定し、2006年9月まで探査活動を続けると発表しています。

 日本でも探査ロボットの研究開発を行っています。探査ロボットの役目は、未知環境を広範囲に探査することです。そこで、知能をもった探査ローバの研究を進めています。10年近く前になりますが、1996年夏に月惑星探査ローバの走行実験を伊豆大島の奥山砂漠(三原山の東山麓)で行いました。ローバが人間の支援なしに自ら環境を認識し,経路計画をたて、障害物にぶつかることなく与えられた目的地に到達するという自律機能の実験を行いました。その後、移動機構の研究などを進め、車輪型や歩行型のロボットを試作しました。2001年10月に開催されたロボフェスタ神奈川では、大学や研究機関で開発中のローバが一堂に集まりました。「ローバ大集合」と題して、砂や岩でできた月面模擬地形上で、その特技を披露しました。5輪型ローバやホッピングロボット、そして一輪ロボットなどユニークな探査ロボットがおめみえしました。そして、ISASメールマガジン第020号で紹介がありましたように、日本初の探査ローバ「ミネルバ」が探査機「はやぶさ」に搭載されています。「ミネルバ」はホッピング移動を行って、小惑星「ITOKAWA」を探査する予定です。「ミネルバ」がどんな映像を我々に送ってくれるか、今から楽しみです。小惑星を探査したロボットはいままでになく、世界初の小惑星探査ローバといえるでしょう。

 月惑星表面探査を検討している研究者の間では、「降りたいところに降りて」「観たいものを観る」を合言葉にしています。ねらったところにピンポイントで降りる高精度な着陸技術や自由自在に移動して探査を行う表面移動探査技術の検討を進めています。ごくごく近い将来に実現できることを願い、研究開発を行っています。

(久保田孝、くぼた・たかし)

「月惑星探査ローバの走行実験」の紹介
新しいウィンドウが開きます http://www.isas.jaxa.jp/ISASnews/No.188/ISASnews188.html

「ローバ大集合」の紹介
新しいウィンドウが開きます http://www.isas.jaxa.jp/ISASnews/No.248/ISASnews248.html

「ミネルバ」の紹介
新しいウィンドウが開きます http://www.isas.jaxa.jp/ISASnews/No.267/ken-kyu.html

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※