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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第4号

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ISASメールマガジン   第004号        【 発行日− 04.09.28】
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★ こんにちは、山本です。
今週も若手の登場です。宇宙プラズマ研究系の阿部琢美(あべ・たくみ)さん。観測ロケット(小型の固体燃料ロケット)を使った身近(?)な宇宙の研究について書いていただきました。
第2号で朝木さんが『若者と呼ばれるには少し苦しい』と書いていましたが、的川先生と比べれば、皆さん『若者』です。

―― INDEX――――――――――――――――――――――――――――――
★01:宇宙をより身近に感ずるために身近な宇宙から!
☆02:CS放送で「Welcome to ISAS」を放映
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★01:宇宙をより身近に感ずるために身近な宇宙から!

「宇宙」と言えばどんな空間を思い浮かべますか?
スペースシャトルが飛ぶ領域?
もっと遠い星の広がるところ?
国際航空連盟の定義では地上から100km以上の空間を宇宙と定義しているそうです。今日は我々に最も近い宇宙である高度100km付近の「電離圏」と言う領域とその観測手段となる小型ロケットについてお話しましょう。

気球が到達できるのは高度約55kmまで、人工衛星が飛ぶのは高度200km以上、両者に挟まれたこの電離圏という空間はロケットに頼るしか観測手段がありません。しかも通過するのはほんの一瞬。こんな領域の観測にはISASの小型ロケットが適しています。ニュースや新聞にはH-IIAやM-Vという大型・中型ロケットが良く登場しますが、ずっと小振り(全長約7m、重さ約0.7トン)のロケットです。
このロケットは小型ならではの利点がたくさん有ります。例えば観測実行までのスピード。
計画から観測データの取得までが短期間で可能です。ですから学生さんの在学中に開発、製作、試験、観測と一通りの作業に携わることが出来るわけです。手塩にかけた測定器がデータを取得する瞬間に立ち会うのは何とも感慨深いものです。

電離圏領域はより身近(?)な宇宙だけに、ロケット観測の初期の頃から探査が行われてきました。しかし、観測手段が限定されるため我々の理解はまだまだです。外国ではこの点を克服するため衛星からぶら下げた長いロープの下端に測定器を取り付けて、繰り返し長期間の観測を行うことを提案したりしています。
勿論、こんな小型ロケットによる観測であっても目指す科学的成果は一級品でなくてはなりません。ISASが今年1月に打ち上げた小型ロケットでは高度100km付近に存在する大気光に見える縞々構造が出来るメカニズムの解明を目指しました。その結果、大気中を伝わる波動がこの構造を作り出しているらしい事がわかってきています。また、今年12月にはノルウエーからISASの小型ロケットを打ち上げます。この計画ではオーロラを光らせるような電子が宇宙から電離圏に向って降りこんだ時に大気がどのような運動をするのかを調べます。

今回の小型ロケットによる観測にも多くの大学院生が参加をしています。こうした計画への参加は宇宙探査や観測に携わるためのファーストステップとしてとても良い経験になるのでは、と思います。

宇宙をより身近に感ずるために身近な宇宙から!

http://www.isas.jaxa.jp/j/snews/2004/0119.shtml

下記 URLは12月に打ち上げる観測ロケット実験のホームページです。
但し、英語のみです。
新しいウィンドウが開きます http://www.ted.isas.ac.jp/DELTA/

(阿部琢美、あべ・たくみ)

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※