重力天体への
高精度着陸技術を
小型探査機で実証する
SLIM (Smart Lander for Investigating Moon) プロジェクトは、将来の月惑星探査に必要な高精度着陸技術を小型探査機で実証する計画です。この技術を実証することで、我々人類が進める重力天体探査は、従来の「降りやすいところに降りる」探査ではなく、「降りたいところに降りる」探査へと非常に大きな転換を果たすことになります。
SLIMのような小型探査機による着陸実証は世界的にもユニークです。SLIMプロジェクトを実現することで、月よりも重量リソース制約の厳しい惑星への着陸も現実のものとなってきます。また、将来月面からのサンプルリターンを実施する場合、月面からSLIM級の大きさのリターン機を打ち上げれば、はやぶさ等と同程度の大きさのカプセルを地球に送り返すことができるようになると考えています。
SLIMプロジェクトは、JAXA宇宙科学研究所のメンバーを中心としつつ、全国の大学等の研究者が集まり、一体となって検討・開発・運用を進めてきました。以下のリンクではプロジェクトの足跡を紹介しています。
身長 | 2.4 m |
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肩幅 | 2.7 m |
厚み | 1.7 m |
体重(着陸時) | 210 kg |
体重(空腹時) | 190 kg |
着陸精度 | 100 m 以内 |
高精度着陸と
軽量探査機
SLIMは、具体的には以下の二つの目的を達成することで、将来の月惑星探査に貢献することを目指した計画です。
- 小型の探査機によって、月への高精度着陸技術の実証
- 従来より軽量な月惑星探査機システムを実現し、月惑星探査の高頻度化
高精度着陸は、将来の太陽系科学探査において必須とされています。昨今、対象となる天体についての知見が増え、探査すべき内容が今までより具体的になっているからです。そのため、ただ着陸するだけではなく、SLIMで目指すような高精度の着陸技術が必要となります。
また、将来の太陽系科学探査においては観測装置の高度化が必要となります。そのためには、探査機システムを軽量化し、その分、観測装置にリソース配分をすることが必要となってきます。つまり、SLIMの軽量化技術は、将来の太陽系探査の要求に応えることができます。
上記の目的を達成するために、様々な新技術を導入しています。