Last Modified: 10/27/2020 15:53:19

X-ray Astronomy Exercises (X線天文学演習) in 2017

Ken Ebisawa (ISAS/JAXA, ebisawa AT isas.jaxa.jp) and Yasuharu Sugawara (sugawara.yasuharu AT jaxa.jp)


Overview

Understand production mechanisms of high energy radiation, in particular X-rays, in the Universe. Also, learn principles of X-ray observation from space using artificial satellites. Understand how to handle and analyze data to study physics of X-ray sources. Practical examples are given as much as possible.
Having taken these exercises for a year, students are expected to ...
   understand principles of X-ray observations,
   be able to read papers on X-ray astronomy,
   be able to analyze X-ray data taken by various X-ray satellites,
   be able to write observation proposals for X-ray observatories, and
   be ready to write a paper on X-ray astronomy.

Method

Before each class, a presenter is assigned in advance, and his/her tasks are given according to the theme of each class. The presenter works out on the tasks, explain the theme to the participants, so that all the participants understand the theme. Participants are encouraged to give a lot of questions, and active discussion is expected.

We intend to use white-board more than projector, since it is important to understand things by manipulating hands. Participants are expect to bring calculator as well as note and pen. We expect students to make calculation and take notes by hand through the lecture. Working language is English and/or Japanese, so that all the participants can understand.


Web access

You may remotely join the meeting using Zoom at https://zoom.us/j/3936986923
Webで入った学生は、名前、所属、指導教員を述べてください。出席状況は指導教員に伝えることにしています。


Schedule (temporal) and Records


Exercise 1: (2017/06/02 16:00-18:00, bld. A 6th floor meeting room)

Presenter: Ebisawa
Theme: Scale of the universe. Review of very basic of physics.
Tasks: Explain Ebisawa Lecture Note 1, section 1 and 2.1.

Exercise 2: (2017/06/16)

Presenter Ebisawa, Sugawara:
Theme: How to interpret the X-ray data.
Tasks: Explain Ebisawa Lecture Note 1, section 2.2 and 2.3.

Exercise 3: (2017/06/23 16:00-18:00, bld. A 6th floor meeting room)

Presenter: Sugawara
Theme: How to interpret the X-ray data (continuation from the previous week).
Tasks: Explain Ebisawa Lecture Note 1, section 2.2 and 2.3.

Exercise 4: (2017/06/30 16:00-18:00, bld. A 6th floor meeting room)

Presenter: Takeo
Theme: Basic of radiation transfer. Understand concept of the optical depth.
Tasks: Understand and explain Ebisawa Lecture Note 1, section 5.1 and 5.2 (Japanese version, section 6.1 and 6.2)
Explain the meaning of "effective optical thickness of the medium", τ* (R&L, section 1.7).

Exercise 5: (2017/07/07)

Presenter: Li
Theme: Blackbody radiation.
Tasks:Understand and explain Ebisawa Lecture Note, section 5.3 (Japanese version, section 6.3)
Explain the meanings of color temperature, effective temperature, and brightness temperature.
If you do not take into account the difference between the color temperature and effective temperature in X-ray data analysis, what kind of mistakes you might make?
Appendix: Blackbody spectrum with T=3000 K, where the X-axis is wavelength (in angstrom) and the Y-axsis is in erg/s/cm2/A/str. Note that the peak wavelength is at λmax= 0.2 hc/kT ~ 9600 A, that is different from the peak frequency νmax=2.8 kT/h where the blackbody spectum peaks in erg/s/cm2/Hz/str (namely, λmaxνmax=0.57 c ≠ c). The figure is by courtesy of Li-san.

Exercise 6: (2017/07/14)

Presenter: Nunomura
Theme: Review of the linear algebra. Coordinate transformation. Celestial coordinates (equatorial, ecliptic, Galactic).
Tasks: Understand and explain Ebisawa Lecture Note, section 4.1 to 4.3 (Japanese version, section 2 and 3)
Create a computer program to convert equatorial coordinates, ecliptic coordinates, and Galactic coordinates, using your favorite programming language.
Examples of R scripts: equatorial to ecliptic, equatorial to Galactic.
宿題:
1) 赤道座標<-->黄道座標の変換に用いられる変換行列、および赤道座標<--> 銀河座標の変換に用いられる変換行列がどうやって導かれるか、説明すること。(こちらのアニメーションを参考に。)
2) これらの変換行列は3x3の直交行列である。3x3の直交行列の特徴を4つ述べよ。
3) 横軸を赤経(0度から360度)、縦軸を赤緯(-90度から90度)とした平面上 に、銀経、銀緯のグリッド(格子)、および黄経、黄緯のグリッドを描くプ ログラムを作成せよ。( こんな図を作ってください。この図を作ったFortanプログラム)
4) 上記Taskで作成したプログラムと合わせ、2つのプログラムを解説せよ。

Exercise 7: (2017/07/21)

Presenter: Otsubo
Theme: Satellite attitude and Euler angles. Season and the viewing windows.
Tasks: Understand and explain Lecture 6 of Ebisawa 2016 lecture.
An example of the figure to explain definition of the "roll-angle" (angle between North and DETY axis).
追加の問題:
以下では、「あすか」、「すざく」のように、スピン軸が+Z軸、太陽 パネルの方向が+Y軸となるように衛星座標が定義され、Z軸方向に望遠鏡が設置されている場合を考える(+Zが観測ターゲットを指す)。Z軸、Y軸、Z軸の 順に、それぞれφ、θ、ψ回転した場合のオイラー角(φ、θ、ψ)を考える。
1. このような人工衛星の模型を用いて、オイラー角と人工衛星の姿勢の関係を説明せよ。
2. 第一オイラー角φ、第二オイラー角θと 観測ターゲットの赤経、赤緯(α、δ)の関係を述べよ。
3. 第三オイラー角ψとロール角の関係を示し、なぜそうなるかを説明せよ。
4. 黄北極 (North Ecliptic Pole; NEP)、黄南極 (South Ecliptic Pole; SEP)は、どの季節でも観測できる。春分、夏至、秋分、冬至において、NEPと SEPを観測する際のオイラー角を示せ。
5.あすか衛星は1993年から2000年まで運用され、その間、約2000天体の指向観測(ポインティング観測)を実施した。ポインティング間の姿勢変更(attitude maneuver, attitude slew)の際のデータをすべて集積し、空の各点における 露光時間を示したのが この論文のFig.1である(これを"exposure map"と呼ぶ)。上の図は銀河座標、下は黄道座標で描いている。なぜこのようなパターンになるか、説明せよ。また、もし同じ図を赤道座標で描いたら、どのようなパターンになるか?(答え:この論文の図1のようになります。全天を平面に投影するときに、いろいろな投影法があるので、比較するときは注意してください。この論文の図1, 2を参考に。)
XMM-Newton のslew trackも参考に(「あすか」と同様です)。

No Exercise on 2017/07/28


Exercise 8: (2017/08/04)

Presenter: Maomao
Theme : Kepler's three laws. Satellite orbits. Six elements. TLE (two-line elements).
Tasks: To derive Kepler's three laws, solve the problem Physics1 in a past entrance examination of Univ. of Tokyo graduate school astronomy department. Explain section 4.4 in the lecture note .
追加課題: 一部、上記と重なりますが、追加の課題を出しておきます。
1. H21 年度 東京大学院大学院天文学専攻入試問題、物理学1を解くことによって、ケプラーの第一、第二、第三法則を証明せよ。
2. 任意の離心率を持つ楕円を正確に描く方法を示せ(ヒント:楕円とは2つの焦点からの距離の和が一定の点の軌跡)。
3. 人工衛星の軌道の記述に用いられる「軌道六要素」の意味を説明せよ。
4. 人工衛星の軌道の記述に用いられる"Two Line Elements (TLE)"の意味を説明せよ。軌道六要素との違いは何か?(Isanaさんのページを参考に。)
5. 静止衛星は、軌道傾斜角が0度で公転周期が地球の自転周期と同じため、 地球の赤道上では天頂で静止しているように見えるが、緯度が高くなるにつ れ、衛星の仰角は低くなる(緯度が高い地域では、衛星放送アンテナがほと んど水平を向いてます!こんな感じ)。日本から見たとき、できるだけ天頂付近に滞在する時間が長くなる衛星(準天頂衛星)の軌道は、どのように設計したら良いか? また、その軌道を、地表に投影したら、どのように見えるか?(これらの動画を参考に;動画1動画2)
補足資料:
中心または一つの焦点を同じにする円(e=0)、楕円(e=0.5, 0.7, 0.9)、放物線(e=1)、双曲線(e=2)の例。
NORAD Two-Line Element Sets その中で科学衛星
主要な高エネルギー天文衛星(ISSを含む)の軌道と現在の位置 (special thanks to Isana-san))。衛星のデータを解析するときには、ざっとその軌道を知っておいた方が良いです。
ASTRO-Hとそのデブリの軌道 デブリにもNORAD IDが付いています。
補足問題:
1. 「すざく」、「ひとみ」の軌道傾斜角は、約31度である。これらは何できまっているか?
2. すざく、NuSTARなどの地球低軌道(Low Earth Orbit; LEO)衛星と、Chandra, XMM, INTEGRALなどの高軌道衛星で天体を観測する場合を比較し、それぞれのメリット、デメリットを述べよ。(ヒント:地球周辺の磁力線
3. 1996年から2002年まで稼働していたBeppoSAXはLEOを持ち、その軌道傾斜角はほぼ0度であった(赤道上空を周回)。BeppoSAXは、より軌道傾斜角が大きい(>30度)LEO衛星に比べ、バックグラウンドが低く安定しているという利点があった。それは何故か?

8/11 から9/1まではお休みです。 Have a happy summer holiday!


Exercise 9: (2017/09/08)

Presenter: 古川
Theme: Quaternion and satellite attitude.
課題:
1. 剛体回転におけるオイラーの定理、「剛体中の固定点を中心とする回転は、その点を通る軸のまわりの回転で表せる」ことを証明せよ。
2. 四元数とはどのようなものか、説明せよ。
3. 3つの四元数、q, q', q''があるとき、結合法則q(q'q'')=(qq')q''を証明せよ。
4. 四元数とベクトルの回転との関係を説明せよ。
5. 四元数は、オイラー角と同様、人工衛星の姿勢を記述する際に用いられる。オイラー角と四元数の関係を説明せよ
6. 任意の回転行列(=3x3の直交行列)が与えられたとき、それと等価の四元数を用いて、回転軸と回転角を求めることができる。赤道座標の座標軸(X軸が春分点、Z軸が天の北極を指す)から銀河座標の座標軸(X軸が銀河中心、Z軸が銀北極を指す)に一度の回転で変換するとき、その回転軸と回転角を求めよ(こちらの動画を参考に)。

9/15は天文学会直後なのでお休みにします。Have a happy trip in Hokkaido!

Exercise 10: 2017/09/22

Presenter: 古川
Theme: Quaternion and satellite attitude.
前回のテーマの続き。


9月29日は、海老沢が国内出張のため、お休みとします。

Exercise 11: (2017/10/06)

Presenter: 下向
Theme: Accretion disk. Emission from optically thick accretion disk.
課題:
1. 横軸を降着円盤の面密度、縦軸を縦軸を質量降着率としたとき、降着円盤の解曲線はどのような形になるか?そのうち、どの部分が安定で、どの部分が不安定か?解曲線上の位置と、X線または他の波長による降着円盤の観測との関係を述べよ。
2. 1970年代に提案された標準円盤モデルとは、どのようなものか?標準円盤モデルにおいて、粘性係数(α)の定義とその物理的解釈を述べよ。
3. 最新の降着円盤の研究によると、粘性の物理機構が明らかになり、粘性係数を仮定せずに第一原理から計算することが可能になっている。その物理機構とは何か?
4. ガス圧優勢の円盤を考えた場合、熱エネルギーと重力ポテンシャルエネルギーの比が、円盤の幾何学的厚みと関係していることを説明せよ。
5. 降着円盤の各リングが半径に応じた温度の黒体放射をしている場合、温度の半径依存性はどう書けるか?移流(advenction)が存在する場合は、その関係はどうなるか?
6. 内縁半径rin、内縁温度Tinで、各リングが半径に応じた温度の黒体放射をしている降着円盤のエネルギースペクトルは、どのような形で書けるか?ただし、内縁の境界条件を無視して良い。
7.上記の場合、降着円盤の光度をrinとTinの関数として求めよ。
8. 幾何学的に十分薄い降着円盤の光度は、エディントン光度を超えないこと を示せ。また、光学的に厚いまま、幾何学的に厚くなると(スリムディスク)、 エディントン光度1を超えることができることを示せ。
9. エディントン光度で光っている光学的に厚い円盤の内縁温度を、中心天体の質量の関数として示せ。中心天体の質量が大きくなると、温度は上がるか、下がるか?
10. 東大大学院天文学専攻H24年度入試問題[天文学1](問2)を解説せよ。

Exercise 12: (2017/10/13)

Presenter: 長岡
Theme: Special relativity. Aberration. Beaming effects.
課題:
1. 1981年に初めてクェーサーからの「超光速運動」を報告した論文 ( Pearson et al. Nature, 1981, 290, 365)のアブストラクトはわずか一行、以下の通りである: "Maps of the radio structure of 3C273 show directly that it expanded with an apparent velocity 10 times the speed of light from mid-1977 to at least mid-1980." この現象を説明せよ。
1の追加問題。この現象は、光を放出する物体が、光速に近い速さで、観測者に向かって運動している場合に観測される。物体の速度をv、観測者の視線方向との角度をθとする。 見かけ上の速度が最大になるθとその最大速度を求めよ。
2. 四次元座標(x, y, z, t)で表される慣性系Kと、(x',y',z',t')で表される慣性系K'を考える。x=x', y=y'とし、K'はKに対し、z方向に等速度vで動いているものとする。(x,y,z,ict)と(x',y',z',ict')の間の変換式(ローレンツ変換)を4x4行列を用いて示せ。
3. 上記で示した4x4行列が直交行列であることを示せ。
4. ローレンツ変換を用いて、同じ時計の進み方を、KとK'で測定したときの進み方を比較せよ。
5. ローレンツ変換を用いて、同じものの長さを、KとK'で測定したときの違いを比較せよ(ローレンツ収縮)。
6. Kに対して+z方向に速度uで動いている物体を、K'で測定したときの速度をu'とする。ローレンツ変換を用いて、uとu'の関係を導け(速度の変換則)。
7. 上記の状況において、v=0.9c, u'=0.9cのとき、uを求めよ。また、v≪c, u'≪cのときは、uはどうなるか?
8. ローレンツ変換を用いて、ドップラー効果の式を導け。特に、相対論効果によって、横ドップラー効果が生じることに注意せよ
9. パルサーから観測される周期的な変動を正確に解析するためには、人工衛星が捉えた光子の到達時刻を、人工衛星と地球の運動を補正し、太陽系重心 (barycenter)で観測した場合の時刻に補正する必要がある(barycentric correction)。その際、光行差(Abberation)の補正も必要である。光行差の式を導け。光行差のために、季節によって天体の方向は、最大どれだけ変化して見えるか?
10. 光速に近い速度v(≈c)で運動する相対論的電子を考える。その電子 が加速度運動するときの電磁放射は進行方向に強くビーミングし、広がり θは、θ ∼ 1/γで表されることを示せ(R&L section 4.8)。
11. 宇宙現象または地上施設において、相対論的な速度で運動している荷電粒子が、その進行方向に細いビーム上に電磁波を放射している具体的な例を挙げよ。

Exercise 13: (2017/10/20)

Presenter 李
Theme: Fast Fourier Transformation (FFT).
課題:
1. 簡単な問題を解くことによって、離散フーリエ変換とパワースペクトルの概念を説明せよ。
2. 東大大学院天文学専攻H29年度入試問題[数学2]を解くことによって、離散フーリエ変換計算におけるFFTのメリットを解説せよ。
3. すざく衛星が観測した任意のパルサーのイベントファイルを選び、そこからパワースペクトルを計算することによって、パルサーの自転周期を求めよ。ただしbarycentric correctionは適用しなくて良い。

以下は、2005年8月22日にHXD/PINで観測されたCrab Nebulaのイベントファイルから、"powspec"でパワースペクトルを計算した例:

  wget https://darts.isas.jaxa.jp/pub/suzaku/ver3.0/100007010/hxd/event_cl/ae100007010hxd_0_pinno_cl.evt.gz  
  powspec cfile1="ae100007010hxd_0_pinno_cl.evt.gz" window=- dtnb=1e-3 nbint=2097152 nintfm=1 rebin=0 plot=yes plotdev=/xs outfile=default
このような図が得られたでしょうか?
10月27日は海老沢が海外出張のため、お休みにします。 11月3日は休日です。

Exercise 14: (2017/11/10)

李さん、前回の残り。
presenter 下井
Theme: Cosmic X-ray background (CXB). Log N-Log S. Galactic Ridge X-ray Emission (GRXE).
課題:
1. CXB: CXBの存在はX線天文学の初期の時代から知られていた。その起源は真に拡がった放射なのか、暗い点源の重ね合わせなのか、長年議論が続いていたが、ChanraやXMMによる深観測で、CXBのほぼすべてが点源に分解された。東大大学院天文学専攻H26年度入試問題[天文学1]を解説せよ。
2. GRXE: 銀河面上に一様に拡がったように見えるGRXEの存在が、1970年代から知られていた。てんま衛星はGRXEから鉄K輝線を発見し、すざく衛星はその輝線を三本に分解した。GRXEの多くは点源の重ね合わせであることはわかっているが、一様に拡がった成分の寄与がどれだけかは、まだ明らかになっていない。l=28.5度の方向を観測したとき、GRXE中の6.4 keV鉄輝線の強度は、~0.26 photons/s/cm2/strであった。これがすべてmagnetic CVからの6.4 keV鉄輝線からの重ね合わせで説明できるかどうか、検討せよ(文献の4.2を参照)。

Exercise 15: (2017/11/17)

下井さん、前回の残り
Presenter 吉田
Theme: General relativity. Observationals effect of general relativity. Global Positioning System (GPS).
課題:
0. 今、ここで重力をなくすにはどうしたらいいでしょうか?(ヒントとなる動画 1, 動画2
1. 仮想的に、回転していない、1太陽質量のブラックホールを考える。その シュワルツシルド半径は 2.95 kmである。(現実には≈3太陽質量より も小さなブラックホールは存在しない事に注意。)動径座標 r を、円周を2 πで割った量として定義する。 動径方向、r = 4 km から r = 5 km まで゙、巻き尺を使って直接測定したときの距離を求めよ。その値は、5km - 4km=1kmと比べて、大きいか、小さいか?
2. ブラックホールの近傍、動径座標 r において、時間間隔 Δtで、光のパルスが放射されているとする。無限遠方において、観測されるパルス間隔はどうなるか? 特に、r がシュワルツシルド半径に極限まで近づくと、どうなるか?
3. ブラックホールの近傍、動径座標 r において、振動数 ν の光が放出されたとする。無限遠方において、観測される振動数はどうなるか?
4. 中性子星EXO 07481–676のX線バーストから、重力赤方偏移した鉄および酸素の吸収線が発見された (z = 0.35)。重力赤方偏移の値から、 中性子星の質量と半径の比を求め、理論から予想される値と比較せよ。(Cottam et al. 2002 Nature, 420, 51–54)。
5. GPS (Global Positioning System) の原理を説明せよ。GPSにおいて、一般相対論による地上と衛星での時間の進み方の違いを考慮しないと、どのくらい位置を間違えるか?
6. 重力レンズクェーサーRX J1131−1231は、視線上に存在する天体(おそら く銀河団)の強い重力レンズ効果によって、4つの像(A,B,C,D)に分割して見え る(Chartas et al. 2012, ApJ, 757, 137)。さらに、銀河団に属する銀河中の星がランダムにブラックホール(降着円盤)の前を横切る際の重力マイクロレンズ効果によって、降着円盤の一部からの光が増幅され、一部のレンズ像のみに変化が生じる。あるとき、ひとつのレンズ像から、5.50 keVと6.04 keVの輝線が観測された(Image D, Period 2)。これは、降着円盤から発せられた6.4 keVの蛍光鉄K輝線が、ケプラー回転によるドップラー効果で赤方偏移と青方偏移を受け、さらに横ドップラー効果による赤方偏移と重力赤方偏移を受けたものと考えられる。この解釈に沿って、円盤上における、鉄輝線放射領域の半径と回転速度を求めよ(文献の3.3節参照)。

Exercise 16: (2017/11/24)
Presenter 菅原
Theme: Charged Particle Equillibrium, Equipartition Time Scales
課題:
1. 質量m2, 電荷Z2eの粒子が密度n2で分布している。そこに質量m1, 電荷Z1eの粒子が速度vで入射した場合を考える。この粒子がクーロン相互作用を受けて止まるまでの時間(Katzのテキスト2.2.11式)と進む距離(2.2.12式)を求めよ。
2. 水素のみからなる低温のガスに、運動エネルギー1 keVの電子が入力したとしよう。電子は、クーロン相互作用によってエネルギーを失い、やがて止まる。電子を止めるのに必要な、水素ガスの柱密度を求めよ。(Katzのテキスト、2.2.13式)
3. 1 keVの電子の代わりに、1 MeVの陽子が入力した場合、陽子を止めるのに必要な水素ガスの柱密度を求めよ。(Katzのテキスト、2.2.14式)
4. 質量m1、電荷Z1 eを持つ1つの粒子が、質量 m2、電荷Z2 eからなる温度 T2のガスに速度を持たずに入射したとする。入射粒子はクーロン相互作用を受けて、やがて温度は一様になる。それに要する時間(緩和時間)を求めよ。(Katzのテキスト、2.2.23式)
5. 上記の問題で、電子だけからなるガスに、電子が入射した場合、イオンが入射した場合の緩和時間を、それぞれ求めよ。
6. プラズマ中に高速で入射した電子が制動輻射で失うエネルギーよりも、クーロン相互作用によって失うエネルギーの方がはるかに大きいことを示せ。(海老沢2006ノート, 3.53式; Katz 2.6.14式)

2017/12/01は都合の悪い人が多いので休みにします。

2017/12/08は、海老沢が急遽、都合が悪くなったので(秘密)、休みにします。すいません orz

Exercise 17: (2017/12/15)
Presenter 李
Theme: Thermal bremsstrahlung. Free-free absorption.
課題:
0. 身近に、bremsstrahlung(制動放射)でX線を出しているものがある。それは何か?(皆さん、考えてみてください。)
1. 温度kTのプラズマから放射される熱制動輻射の連続エネルギースペクトルの関数型を示せ。(海老沢2011ノート, 6.57式)
2. 温度kTのプラズマから放射される熱制動輻射の放射効率 [erg/s/cm3]を求めよ。(海老沢2011ノート, 6.58 式)
3. 温度kTのプラズマから放射される熱制動輻射の連続エネルギースペクトル (単位はphotons/s/cm2/keV)をexp(-E/kT)E-alphaで近似した場合、alphaの値はどうなるか?(海老沢2011ノート, p.101)
4. 温度kTのプラズマから放射される熱制動輻射の連続エネルギースペクトルを温度kTの黒体輻射と比較すると、どちらのほうが広いエネルギー範囲に広がっているか?(海老沢2011ノート, p.103)
5. X線天文学の初期の時代、Sco X-1のような明るいX線天体は、熱制動輻射している白色矮星ではないか、という説があった。Sco X-1の光度を1038 erg/s、スペクトルの典型的な温度を2 keVとし、仮にプラズマ密度を1015cm-3としたとき、放射領域のサイズを見積もれ。それが白色矮星程度の大きさになることを確認せよ。(海老沢2011ノート, p.102)
6. 実際の熱的プラズマからは、連続スペクトル成分の他に、多くの輝線スペクトルが観測される。プラズマの温度が1 keVから20 keVまで温度が高くなるにつれて、より重い元素、より高電離の輝線が強く放射されることを示せ。また、特徴的な輝線の強度比から、 プラズマの温度を見積もることを示せ。(海老沢2011ノート, p.106)
7. 熱的プラズマによる自由-自由吸収 (free-free absorption)とはどのような現象か?自由-自由吸収による吸収係数の式、R&L 5.18aを導け。

Exercise 18: (2017/12/22)
Presenter 段 
Theme: Synchrotron emission. Relativistic Comptonization.
課題:
1. 電子が非相対論的な速度(v<<c)で円運動しているとき、円運動の振動数と同じ振動数(周波数)を持つ光子が放出される(=サイクロトロン放射)。電子が磁場B中を速度vで円運動しているとき、放射される光子の周波数(=サイクロトロン周波数)を求めよ(R&L 8.21式)。
2. 電子が相対論的な速度(v≈c)で運動しているとき、そのエネルギーは、mc2γで表される。ここで、 γ = 1 / √1 − (v/c)2 である。 磁場B中で電子が相対論的な速度で運動するとき、その振動数を求めよ(R&L 6.4式)。
3. 磁場B中で、電子が磁力線に巻き付いてらせん運動するとき、電子の進行方向に強くビーミングした光子が放出される(=シンクロトロン放射)。このとき、光子の振動数はサイクロトロン放射のように一定ではなく、広がった分布を持つことを、定性的に説明せよ(R&LのSection 2.3、図2.1, 2.2)。
4. 相対論的電子がシンクロトロン放射で光子を放出するとき、その典型的なエネルギー(≡ hνc)を求めよ。それが、γ2に比例することを確認せよ(R&L 6.17c)。
5. 低エネルギー光子が相対論的電子に衝突すると、逆コンプトン散乱によって高エネルギー光子が放出される。 相対論的電子が、逆コンプトン散乱で放射する光子の典型的なエネルギー(≡ hνc)は、γ2に比例することを示せ。(Katz 2.6.35式;R&L, Section 7.1)
6. 相対論的電子が、シンクロトロン放射または逆コンプトン散乱で放射する光子のエネルギーνの分布(=エネルギースペクトル)は、 ν/νcの関数で表すことができる。 十分広いγの範囲にわたって、電子のエネルギー分布が、γ−p dγというべき関数(powar-law)で表されるものとする(pは定数)。 この電子分布から放出されるシンクロトロン放射または逆コンプトン散乱のエネルギースペクトルは、ν−sというべき関数で表されることを示し、 sとpの関係を求めよ。 (Katz 2.6.27式;
Ebisawa 2016 note 式5.35)
7. 磁場中に相対論的電子と低エネルギー光子が分布しているとき、シンクロトロン放射と逆コンプトン散乱によって、高エネルギー光子が放出される。このとき、シンクロトロン放射の光度と逆コンプトン散乱の光度の比は 何によって決まっているか?(Katz 2.6.37式; Ebisawa 2016 note 式5.43)
8. 2011年度冬学期 東京大学大学院「高エネルギー天文学特論IV」の問題6を解け。

Happy winter holiday!

Exercise 19: (2018/01/12)
Presenter 下向
Theme: Cosmic rays, Shocks, Fermi acceleration.
課題:
1. 高エネルギーの宇宙線を考える。そのジャイロ半径を、宇宙線エネルギーと磁場の関数として見積もれ。(Ebisawa 2006 note, 式4.2)
2. 上式を用いて、~10 GeVより低エネルギーの宇宙線は、地磁気に弾かれて地球大気に突入できないことを示せ。
3. X線天文衛星データを解析する際に、軌道上の粒子バックグラウンドの強度の指標となる "Cut-off Rigidity (COR)" を説明せよ。
4. 銀河系内宇宙線の加速源として、超新星残骸が考えられている。
4-1. 銀河系内の宇宙線エネルギー収支から、「銀河系内宇宙線の超新星残骸起源説」が妥当であることを説明せよ。
4-2. しかし、超新星残骸では>> 1016 eVまでは宇宙線を加速できないことを示せ。
5. >> 1017 eVの超高エネルギー宇宙線は銀河系外起源と考えられている。
5-1. その理由を述べよ。
5-2 銀河系外で発生した>> 1020 eVより高エネルギーの宇宙線は、地球まで届かないと考えられている(GZKカットオフ)。その理由を述べよ。
5-3. 発生起源は謎だが、~1020 eVの超高エネルギー宇宙線の観測が、数例報告されている。それは1つの粒子、おそらく陽子である。
時速100 kmで跳んでいる~100 gの野球のボールを考えよう。ボールに含まれる陽子の数とボールの運動エネルギーを見積もり、それを~1020 eVの超高エネルギー陽子と比較せよ。
6. 超新星残骸のシェルでは衝撃波が発生していると考えられている。荷電粒子が磁場によって閉じ込められ、衝撃波面の上流と下流(速度差がV)を行き来する場合を考える。
粒子は、分子雲と衝突することによって運動エネルギーを得る。
6-1. 粒子が分子雲と正面衝突だけを繰り返す場合、一回の衝突あたりの粒子の平均エネルギーゲインΔE/EはV/cに比例することを示せ (第一フェルミ加速)。 (Ebisawa 2006 note, 式4.9)
6-2. 粒子が正面衝突と追衝突をランダムに繰り返す場合、一回の衝突あたりの粒子の平均エネルギーゲインΔE/Eは(V/c)2に比例することを示せ (第二フェルミ加速)。 (Ebisawa 2006 note, 式4.10)
6-3. 超新星残骸中のフェルミ加速によって加速された粒子のエネルギースペクトルが、dN/dE ∝E-2と近似できることを示せ。 (Ebisawa 2006 note, 式4.17)
6-4. 加速された電子が上記のようなエネルギースペクトルを持ち、シンクロトロン放射または逆コンプトン放射で光子を放射するとき、光子のエネルギースペクトルはどのような形になるか? (前回の問題6参照)
Exercise 20 (2018/01/19)
Ppresenter 海老沢
Theme: Thermal Comptonization. Kompaneets equation. Compton y-parameter.
課題:
以下では非相対論的な熱的プラズマを考える(kTe << 511 keV)。
1. 高温の熱的プラズマ中に低エネルギーX線光子が入射し、光子が逆コンプトン散乱で電子からエネルギーを受け取る場合を考える (thermal comptonization)。 プラズマによる光子の吸収を無視できる場合、プラズマから脱出するまで、光子は逆コンプトン散乱を繰り返す。プラズマから逆コンプトン散乱で放出されるエネルギースペクトルは、低エネルギーより十分高く、電子の温度よりも十分低いエネルギー範囲では、べき関数になることを定性的に示せ。(Pozdynakov, Sobol, Syuniaev 1983のp.257)
2. 熱的プラズマ中で、逆コンプトン散乱による光子のエネルギー分布の時間 変化を記述するKompaneets方程式を導け。(ノー ト参照; Katz section 2.3)
3. 光子密度が十分小さく、逆コンプトン散乱によって放射される光子のエネルギーが電子温度より十分低いとき、Kompaneets方程式を近似的に解き、コンプトン yパラメータ(≡4kTeτ/mec2)の意味を考察せよ。ここで、τは、散乱の光学的厚みである。
4. 上で求めた近似解を用いて、熱的電子が低エネルギー光子にエネルギーを与えることによって、電子のエネルギー密度が減少する割合(=逆コンプトン散乱による放射強度)を求めよ。
5. 熱的コンプトン効果で放射されるスペクトルがべき関数で近似されるとき、 yパラメーターとべきの関係を求めよ。(R&L 7.76d式)
6. あるX線入射スペクトルが光学的に薄い熱的プラズマに入射し、コンプトン効果によって スペクトルが影響を受ける際、放射されるスペクトルは入射スペクトルにグ リーン関数を重畳して(convolution)求められることを示せ。 (e.g. Nishimura, Mitsuda and Itoh 1986)
7. コンプトン効果の影響を受けたX線スペクトルをフィットする際にしばしば 用いられる 現象論的モデル、”SIMPL”を説明せよ。 (Ebisawa 1999の式3,4; Steiner et al. 2009)
8.標準降着 円盤スペクトル(diskbb)の一部の光子がコンプトン効果の影響を受けてハー ドテールとして観測される場合、コンプトン効果を受ける光子の割合が変化する に従って、放射されるスペクトルはどう変化するか、 SIMPLモデルを用いて示せ。

Exercise 21 (2017/01/26)
Presenter 海老沢
Theme: Interaction between photons and matter. Photoelectric absorption. Photoionization. ξparameter. Fluorecent emission line, Fluorecent yield.
課題:
0. 水素原子、および原子番号Zの元素のhydrogenic ion(水素様イオン)の光電吸収断面積を計算し、入射光子エネルギーの関数として図示せよ (R&L 10.56)。
1. H, He, C, N, O, Ne, Mg, Si, S, Fe の光電吸収断面積 (photoelecric absorption cross-section) をエネルギーの関数としてプロットし、0.1-10 keVのX線の光電吸収には主にどの元素が影響するか、考察せよ。(ヒント:HEASoftをインストールしていれば、$HEADAS/../spectral/modelData/mansig.datに、これらの元素の各電離状態の断面積テーブルがあります。)
2. それらの吸収断面積の値から、天体までの各元素の柱密度(単位はcm-2)がどのくらいの値になると、星間吸収が無視できなくなるか、考察せよ。
3. 太陽組成を仮定して各元素の光電吸収断面積の重みつき平均を計算することによって、星間物質による光電吸収断面積をエネルギーの関数として示せ。(たとえば、1983ApJ...270..119Mを参照)
4.十分に光学的に厚い円盤の上空に、X線源が位置する状況を考える。円盤は中性(電離していない)とする。円盤に入射したX線光子は、円盤に吸収されるか、円盤内で1回だけ散乱して出てくるかのどちらかであるとする(2回以上の散乱は考えない)。 (以下、水本岬希さんによる
レポートPythonコードを参考に。提供してくださった水本さんに感謝します。)
4.1 吸収断面積をσa、散乱断面積を σs とすると、それらを使って光子が円盤に吸収される確率Pa と散乱される確率Ps はどう書けるか?
4.2 fluorescent yield (蛍光収率)とは、どのような物理量か?中性鉄のK吸収において、蛍光収率の値はいくらか?
4.3 中性鉄の蛍光Kα輝線とKβ輝線の強度比は、1:0.11であることが知られている。これを用いて、円盤にスペクトルF(E)[photons cm-2 s-1 keV-1]を持つX線が入射したときに放射される蛍光Kα輝線とKβ輝線の強度[photons cm-2 s-1]を計算する式を示せ。
4.4 σaに上記3の式を用い、σsにはKlen-Nishinaの式を用いて、F(E)= E-2[photons cm-2 s-1 keV-1]のときに、円盤からの反射スペクトルを計算せよ。ここで蛍光輝線は鉄のKαとKβのみを考えれば良い。
5. 鉄原子が電離するにつれて、K吸収端のエネルギー、Kα線のエネルギー、Kβ線のエネルギーはどのように変化するか?
6. 鉄原子が電離するにつれて、光電吸収の断面積はどのように変化するか?上記1で用いたテーブルを用いて、図示せよ。Fe XXVI(Hydrogenic iron;水素様鉄イオン)について、断面積の値が上記0で示した式と一致することを確認せよ。
7. 光度 L [erg/s]のX線天体の周りを数密度 n [cm-3]のプラズマが一様に取り囲んでいる状況を考える。プラズマは、中心天体に照らされて、光電離する(photoionization)。天体からの距離をr [cm]として、電離パラメーター ξ ≡ L/nr2[erg cm/s]を定義する。各元素の電離状態は、おおよそξで決まることを示し、各元素の電離状態をξの関数として図示せよ (Kallman and McCray 1982)。
8. ξ=103 ≈10 4 のときに、Fe XXVI(H-likeの鉄)とFe XXVII(完全電離した鉄の原子核)の割合がほぼ等しくなることを、解析的に示せ。(Ebisawa note 式5.5-5.9)
9. 光電離した物質によるX線吸収を考える。∝E-1 [photons/s/cm2/keV]のスペクトルを持つX線天体の前に、水素柱密度1024 [cm-2]を持つ吸収体があるとする。 吸収体の化学組成は太陽組成とする。吸収体の電離度log(ξ)が-4, -3,,,0,,,3, 4と変化するにつれて、吸収帯を通して観測されるスペクトルはどう変化するか?XSTARを用いて計算し、それらのスペクトルを図示せよ。また、各log(ξ)におけるスペクトルがどのように特徴付けられるか(=どのスペクトルの特徴からξを見積もることができるか)、考察せよ。(Ebisawa note p.87)
999. xspecを立ち上げて、コマンドファイルを用いて、@photoionize.xcmと入力し上記のようにξが変化するにつれてスペクトル変化する様子を観察せよ。
Exercise 22 (2017/02/02)
Presenter 海老沢
Theme: Absorption line profile. Voigt function. Curve of growth. P-Cygni profile.
課題:
1. 現在、多くのAGNやX線連星系から高電離した鉄のK吸収線が6.7 keV (He-like) または7.0 keV (H-like) に観測されている。しかし、明るいX線連星系からはっきりと鉄吸収線を確認したのは、 1993年に打ち上げられた「あすか」衛星が初めてである。
それ以前の、たとえば「ぎんが」衛星は、多くの天体から鉄輝線は観測したが、鉄K吸収線は観測できなかった。それは何故か?
2. X線連星系のエネルギースペクトル中に鉄吸収線が観測されるために系が満たす条件を示せ。(参考文献の最後のあたり)
3-1. 吸収線のプロファイルを表わすVoigt関数とはどういうものか、説明せよ。(R&Lの式10.77)
3-2. 吸収線が強く(深く)なるにつれて、吸収線プロファイルはどのように変化していくか? (ロチェスター工科大学の先生のページを参考に)
4. あすか衛星搭載のCCDカメラが、GRS1915+105より、He-likeの鉄およびH-likeの鉄K吸収線を観測した。 (参考文献:Kotani et al. 2000 Kotani et al. 2006小谷さんのページ)
4-1. 成長曲線(Curve of Growth)を用いて、観測された鉄吸収線の等価幅から鉄の柱密度に制限を付ける方法を説明せよ。
4-2. 実際には、成長曲線を用いて、等価幅だけからは柱密度は決まらない。等価幅以外に、吸収プラズマについて、どの物理量が必要か?
4-3. その物理量を決定するには、将来的に、どのような観測が必要か?
5-1. P-Cygniプロファイルが観測されるのはどのような場合か?
5-2. X線領域において、P-Cygniプロファイルが観測された例を複数あげよ。(中性子星連星の例SSS[白色矮星連星系]の例同じSSS。)
5-3. X線スペクトル中にP-Cygniプロファイルが観測されたとき、星風の速度が一定と仮定して、スペクトルをフィットして輝線の等価幅、吸収線の等価幅、星風の速度を求めるモデルを作成せよ。(解答例

2/9は東大天文教室の修士論文発表会なのでお休みにします。

2/16は、私が世話人を務めている「宇宙科学情報解析シンポジウム」があるのでお休みにします。皆様の参加を歓迎します。

Exercise 23 (2018/02/23)
Presenter 李
Theme: Poisson distribution. χ2 distribution, χ2 test. F-test. Kolmogorov–Smirnov (K-S) test.
課題:
1. Poisson distribution とχ2 distribution :定常天体を観測した時、光子数の分布はポアソン統計に従うことが知られている。
1-1. ポアソン分布の平均と分散を求めよ。(海老沢ノート4:10.1節)
1-2. ポアソン分布(平均μ)と正規分布(平均μ、分散μ)を比較し、μがいくつを超えると、ポアソン分布は正規分布で近似できるか説明せよ。
1-3. カイ二乗分布とは何か。それがどういう場合に正規分布に近づくか説明せよ。
2. χ2 test :
2-0. 仮説検定で用いられる、p値とは何を表すか説明せよ。
2-1. カイ二乗検定とは何か、検定方法を説明せよ。(海老沢ノート4:10.5節; Lampton et al. 1976) 
2-2. X線天文学でよく使用されるスペクトル解析ツールxspecを用いてモデルを仮定してデータをフィットし、モデルの妥当性を判定する。また、フィット結果から、モデルパラメータの値とそのエラーを見積もってみる。 ここでは、あすか衛星による3C273のエネルギースペクトルを用いることにする。
2-2-1. 簡単なモデル、星間吸収を受けたべき関数(wa*power)でデータをフィットし、このモデルが妥当かどうか、判定せよ。
2-2-2. 3つのパラメーター(水素柱密度、べき、べき関数の規格化定数)それぞれのベストフィットの値と、90%エラー範囲を求めよ。
2-2-3. これら3つのパラメーターは相関している。相関しているふたつのパラメーターの組について、χ2のコントアを描くことによって、90 %エラー領域を求めよ。(あすか解析マニュアルを参考に)
3. Kolmogorov–Smirnov (K-S) test :
3-1. K-S検定とは何か説明せよ。(Numericak Recpies、リンク1 リンク2 などを参考に)
3-2. 天文学・宇宙物理学に関して、K−S検定が用いられている例を上げよ。(Young Stellar Objectsの例銀河面上のX線天体の例。他にも探してみてください。)
4. F-test :
4-1. F検定とは何か、例を用いて検定方法を説明せよ。(Bevingtonの教科書 11.4節、xspecマニュアルのftestコマンドの説明も参考に)
4-2. Protassov et al 2002, ApJ 571, 545 を読み、どのような場合、F検定が不向きか説明せよ。
4-3. 上の場合において、F検定以外のどういった検定が考えられるか?

Exercise 24: (2018/03/23)
Prsenter 古川、菅原
Theme: Atomic structure. Selection rules. Spectral terms.
Tasks:
1. Explain atomic structure and atomic processesusing figures in p.4-6 in "Astro-H cook book” .
2. Explain Atomic processes using the figure in p.7.
3. Explain fine structure and selection rules (p.8-p.9) in the cook book.
4. Solve R&L Ploblems 10.1.
5. Solve R&L Ploblems 10.2.



これで終了です。約10ヶ月間、お疲れさまでした!演習の目標は達成できたでしょうか?

References

  1. Ebisawa lecture note1 (2016 Univ. of Tokyo, graduate school, in English)
  2. Ebisawa lecture note2 (2011 Univ. of Tokyo, graduate school, in Japanese)
  3. Ebisawa lecture note3 (2006 Univ. of Tokyo, graduate school, in Japanese)
  4. Ebisawa lecture note4 (2007-2010 Univ. of Tokyo, undergraduate, in Japanese)
  5. "Radiative Processes in Astrophysics", G. B. Rybicki, A. P. Lightman (Wiley) (R&L)
  6. "High Energy Astrophysics", Katz, out of print , but the pdf is freely available.
  7. "Handbook of X-ray astronomy", (Cambridge University Press)
  8. "High Energy Astrophysics", Longair (Cambridge University Press)
  9. "Black‐Hole Accretion Disks:Towards a New Paradigm", Kato, Fukue and Mineshge (Kyoto Univ. Press)
  10. "Atomic spectra and atomic structure", Herzberg
  11. "Classical Mechanics", Goldstein
  12. "Electrodynamics", Jackson
  13. "Exploring Black Holes: Introduction to General Relativity", Taylor, Wheeler GPSの説明はこれを参考にしました。
  14. シリーズ現代の天文学8、ブラックホールと高エネルギー現象(日本評論社)
  15. シリーズ現代の天文学17、宇宙の観測(3)、高エネルギー天文学(日本評論社)
  16. 「人工衛星の力学と制御ハンドブック―基礎理論から応用技術まで」 姿勢制御研究委員会
  17. 「ハミルトンと四元数」 堀源一郎 (海鳴社)
  18. 「宇宙線」 小田稔 (裳華房)
  19. "Astrophysics I, II", Richard Bowers and Terry Deeming, Jones and Bartlett Publishers Inc.
  20. Numerical Recipes, Cambridge University Press (ニューメリカルレシピ・イン・シー 日本語版)
  21. "Data Reduction and Error Analysis for the Physical Sciences" Bevington and Robinson, McGraw-Hill