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一般公開




 さる7月26日(土)に相模原キャンパスで宇宙科学研究所一般公開が行われました。開場前から大勢の人が集まり,予定を繰り上げて9時40分ごろに入場を開始しました。当日は前夜の雨も上がり,薄曇りで絶好の一般公開日和となり,入場者は1万5000人を越える盛況となりました。

 今年は,5月に打ち上げに成功した小惑星探査機「はやぶさ」の構造モデルを中心に,惑星系の展示で第会場(A棟1階ロビー)を飾りました。また共和小学校校庭をお借りして水ロケットを復活しましたが,相変わらず子供たちの人気の的でした。新企画のスペースチェンバーを使った人工オーロラもなかなかの人気でした。その他どの会場も大変盛況で,見学者の切れることがありませんでした。今年はお隣の相模原市立博物館の協力を得て,ミニミニ宇宙学校をその会議場で開催しました。こちらは入場者の誘導が今後の課題となりました。

 宇宙研の一般公開は今年が最後ですかとの質問を受けました。宇宙研は今年10月に新機構に移行しますが,宇宙科学の研究・開発の現場を市民の皆さんに見学・体験していただき,宇宙科学への理解を深めていただく行事は今後も続けますよ,とお答えしました。来年以降もこのような手作りの一般公開を続けることができるよう願っています。

(長瀬文昭) 


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日本初の衛星「おおすみ」が33歳で大気圏突入

 8月2日午前5時45分(日本標準時),日本最初の人工衛星「おおすみ」が大気圏に突入し,消滅しました。再突入した位置の直下は,北緯30.3度,東経25.0度で,北アフリカ(エジプトとリビアの国境の砂漠地帯)です。

 内之浦の鹿児島宇宙空間観測所から,L-4S5号機によって日本初の衛星「おおすみ」(24kg)が地球周回軌道に投入されたのは,1970年2月11日13時25分でした。1955年のペンシル以来の日本のロケット技術が,ついに地球の空へ国産の衛星を運んだのでした。これはソ連・アメリカ・フランスに次ぐ世界で4番目の衛星自立打上げでした。もともと衛星軌道への投入のためのロケットの練習でしたから,「おおすみ」に搭載した機器は,加速度計,温度計,送信機ぐらいで,他には電源の酸化銀―亜鉛電池が載せられていました。打上げ後に内之浦の視界から消え,最初にグアム島の追跡局から「おおすみ」の電波を「受信」の報が入った時の感動は,忘れることのできないものです。

「おおすみ」が地上と連絡をとっていた時間は14〜15時間だったのですが,投入された軌道が,近地点337km,遠地点5,151kmという長楕円軌道だったために,かなり長生きしたものです。もちろん大気圏に突入した「おおすみ」は,跡形もなく消滅して,自らを葬りました。

 私個人にとっても青春の喜びの頂点に位置する「おおすみ」の誕生は,多くの関係者にとっても「宝の思い出」でもあります。あのころの湧き上がるような団結の力を,日本の宇宙開発が再び取り戻すことができる日を願って,10月1日の宇宙航空研究開発機構(JAXA)の誕生を迎えたいと思います。

(的川泰宣) 

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ISASからJAXAへ

 遠山敦子文部科学大臣が宇宙機関統合を表明して以来2年たちました。この間,宇宙機関を中心に検討を重ねてきましたが,いよいよ本年10月1日に新機関,宇宙航空研究開発機構(JAXA)が発足することになりました。大詰めを迎え,ここ1〜2ヵ月間に議論された主要課題を簡単にまとめてみました。

宇宙開発委員会で検討されていた「宇宙開発に関する長期的な計画」がまとまりました。また。これと並行して進められていた中期目標,中期計画の議論もほぼ収束しています。宇宙科学に関してはこれまで理学委員会等で議論されてきた将来構想がこの中に盛り込まれています。また「科学的目標の数量化」を避け「評価をきっちりすること」を基本方針としています。
組織の検討も進められています。本部制についてはすでに知られていると思いますが,10月1日に新機関がしっかりと機能できるよう,各本部内の具体的な組織の確定,および人の貼り付けが進められています。関連して本部の日本語名,英語名(通称)も決まりました。宇宙科学を進める組織は,宇宙科学研究本部,Institute of Space and Astronautical Scienceとなり,英語名に現在と同じISASが残っています。
10月から予算の仕組みが国立学校特別会計から離れ,運営費交付金に変わります。これに伴い,事業計画をまとめ,具体的な予算執行を可能とする作業が進んでいます。予算執行については各本部がかなりの裁量権を持つことになっていますが,JAXA全体での資源配分,リスク管理の在り方等の議論も一方で行われています。
新機関における規定類の整備も重要な作業です。しかし,作業があまりに膨大なため,10月1日JAXA発足時に必要なものに重点的を絞って検討を進められています。

 統合のために検討されている課題は上記以外にも多々あります。統合の作業は機関の多くの方々の膨大な時間と労力によって進められてきました。これまで統合にかかわってこられた方々に改めて感謝するとともに,JAXAにおいてわが国の宇宙開発がさらなる発展を遂げることを期待したいと思います。

(松本 敏雄) 


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ISASニュース No.270 (無断転載不可)