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さようなら,電波天文衛星「はるか」

9年近い運用終わる


 1997年2月にM-Vロケット初号機で打ち上がったMUSES-Bが,「はるか」です。電波天文衛星として,大型展開アンテナ,VLBI干渉実験などさまざまな工学実験を重ねて,スペースVLBI観測を実現し,大きな国際共同によるVSOP計画の中心となった衛星です。

 当初の予想を上回っての観測運用が続けられましたが,8年9ヶ月の長い年月の後,2005年11月30日に最期の運用が行われ,静かに引退しました。万一の破裂による爆発を防ぐため残った燃料を吐き出し,最期の電波停止コマンドキーは,この日のために出てこられた前プロジェクトマネジャー廣澤春任先生によって押されました。日本標準時間11時28分08秒の時刻付きのコマンド送出確認のオペレーターの声は,死のときの医師の宣告のようにも聴こえました。

 24時間態勢で懸命の運用を続ける「はやぶさ」チームの傍らで,集まってきた「はるか」チームは立ち並んで静かに最期の運用を見守りました。平成元年から始まった「はるか」プロジェクト,残務処理をして,今年度末に終了の予定です。17年は,さまざまな想い出を擁しています。とても簡単には語り切れません。

「はるか」はゆっくりと回転しながら,これからも静かにあの羽を広げて飛び続けます。

 かつて日本の空には,朱鷺が美しく飛んでいたといいます。「はるか」が消えずに飛び続けてくれるのはうれしいことです。いつか,夕日に光る「はるか」を眺めてみたいと思います。


「はるか」停止コマンド送出の管制卓

(平林 久) 


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ISASニュース No.297 (無断転載不可)