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小型科学衛星「れいめい」搭載のオーロラカメラによる初期観測

 8月24日6時10分(日本時間)にバイコヌール宇宙基地から打ち上げられたINDEX衛星は「れいめい」と命名され,この1ヶ月間で3軸姿勢制御への移行や理学観測機器の初期運用・観測が行われました。

 9月20日の南極上空でのオーロラカメラ観測では,活発に動くオーロラの2波長同時観測に成功しました。写真はこのときに得られたオーロラの合成画像で,酸素原子の緑色と窒素分子の赤色の発光分布を示しています。画像の範囲は南北約420km,東西約130kmで,空間分解能は約2kmです。明るく曲がりくねった緑色オーロラと暗い赤色オーロラが,ほぼ同じ場所に見られます。合成画像が不連続に見えるのは,オーロラの動きのためです。赤色画像に顕著な明るいパッチ状の広がりは,月明かりに照らされた雲です。動画にすると赤色オーロラ帯に沿って小さな渦構造が移動するのが分かりますが,このような特徴はオーロラ発光現象解明の鍵となります。

 南極昭和基地からのオーロラ同時観測結果と比較するため,「れいめい」衛星は10月中旬まで南極上空でオーロラを撮影します。それと並行して,オーロラ粒子分析器の高圧電源を慎重に投入し,初期観測を行います。定常的な理学観測状態に移行した後,北極圏上空において3軸姿勢制御により観測機器の視野を制御し,地上に展開されている電離圏レーダー・光学観測網との共同研究を行う予定です。

 「れいめい」チームでは,多様で多色,微細な構造を呈しながら,しかもダイナミックに活動するオーロラ現象の世界初の高時間分解能による光・粒子同時観測を目指します。

(立教大学理学部物理学科 平原 聖文, 
東北大学大学院理学研究科 坂野井 健) 


「れいめい」の多波長オーロラカメラ(MAC)による合成画像。左は酸素原子(波長557.7nm),右は窒素分子(波長670nm)の発光分布を示す。

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ISASニュース No.295 (無断転載不可)