No.289
2005.4

特集 1955年 

ISASニュース 2005.4 No.289 


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6 後を頼むぞ dash 先輩から後輩へのメッセージ dash

■与えられた仕事を一生懸命やるということでしょうか。(安田良平)

■やはり,新しいことに挑戦することではないでしょうか。今までのデータを積み上げていくというのも重要かもしれませんけど,新しいことに挑戦して,ひらめきを養うことではないでしょうか。これは,努力してできることではないかもしれません。常に希望を持ってやってください。(瓜本信二)

■何にでも興味を持ってください。ご存知だと思いますが,サミエル・ウルマンが作り,岡田義夫さんという羊毛技術者が日本語に訳したといわれる「青春」という詩があります。一節を紹介しますと,

dash 青春とは人生のある期間をいうのではなく心の様相をいうのだ。優れた創造力,たくましき意志,炎ゆる情熱,怯懦を却ける勇猛心,安易を振り捨てる冒険心,こういう様相を青春というのだ。年を重ねただけで人は老いない。理想を失うときに初めて老いが来る。歳月は皮膚のしわを増すが情熱を失うときに精神はしぼむ。  というのですが,これは大変有名な詩で,D・マッカーサーが比島時代に座右の銘にしていた,といわれます。英語でいうと「Youth」です。要するに人間というのは,また若さというのは,常に何にでも興味を持つ限り若い,ということです。人を疑ったりしていると老人になってしまう。だから,何でも冒険したり,興味を示すことが若さを保つことになる。何にでも興味を持ちなさいということです。(垣見恒夫)

■そうですね,私は宇宙研がやったように新しい仕事をどんどんやっていくことを,ぜひお願いしたいですね。かなり無理でも,やることをぜひお願いしたい。それから,通信衛星なんかも何とか日本で国産化する方がいいと思いますね。そうすれば分からないこと,難しいこと,どこが何だってことが分かりますからね。やはり自分で経験しないと駄目ですよね。ぜひそういうふうにしてもらいたい。(高木 昇)

■失敗は,むしろした方がよいと思います。それを薬にしてその日その日を一生懸命にやって,失敗を恐れないことが大事だと思います。エジソンは,「発明とは98%の汗と2%のインスピレーション」と言いました。最近,「失敗学会」という学会ができたと聞きますけど,失敗は恐れないでほしいと思います。(丹野 稔)

■宇宙研が相模原に移ってからは間近では見ていないのですが,昔に比べて自分の手を汚して仕事をするということが今でもどれだけ残っているか。昔に比べると予算も潤沢になりましたけど,火の車であることは変わらないでしょう。それでも昔に比べればお金があります。そのために自分の手を汚していろいろなことを手掛けてきた,というその辺りがどうなっているのか。昔の先生方,平尾先生や小田先生にしても,自分でやってきたいろいろなものを衛星などに使って成果を挙げるということで,実験の仕組みだけではなくハードウェアにも通暁して,自らの経験として生かされる技術をお持ちでした。そういう点が少し足りないのではないか。中途半端にお金があると,そういう精神が薄れてくるんですね。(野村民也)

■とにかく,たくさんものに触れて,それを通じてとことん理解することが大切だと思います。そうしないとトラブルシューティングもうまくいかなくて,その後の処理に適切さを欠くことになります。プロジェクト研究の場合,工学側のスタッフは自分のテーマをしっかり持っていないとサービス業だけになってしまい,研究者として困ったことになります。研究者としてそれなりに影響力があり,メーカーの人たちと一緒になって指導的立場で事を進めていくことが必要です。その時間も生み出さなければならない。それには,並の取り組み方ではたぶん足りないのです。ですから,人並み外れて頑張らなければならない。そのためには体を鍛えておくことも大切です。それから,列車や飛行機のように安全で再現性のある絶対確実なものを定常的に供給すること自体が仕事で,十分大事な産業です。その点宇宙は,いろいろと夢がある代わりにまだそこまで成熟してはいません。安全で確実なものを供給する部門と,将来の夢を育てる部門を明確に分けること。両部門の橋渡しができる人材を備えた仕組みが必要だと思います。(林 友直)

■年を取ると「今どきの若い者は」と言ってしまうので,自戒しなければならないが,やはり世の中は変わっているし,今の人は昔の人が持っていなかった良い特性をたくさん持っておられるわけだし,昔持っていなかった良い道具をたくさん持っておられるんだから,そういうものは,どんどん活用してやっていただきたいと思います。ただ,私の世代の者から見ると,やはり自然現象の複雑さを体で体験していけるような,そういう場を,大学人は,少なくとも大きなプロジェクトを進めていく方は,持たなければと思う。そうしないと,危なっかしさがどうしてもぬぐえないでしょう。「これは,きれいごとでは済まない」とか「人間が考えられない話が起きる」ということも体感していただき,自然現象に対しておごりを持たないことが重要です。人間が考えることはいつも不完全であるという話であり,大プロジェクトを進めるにあたってそれを体験する機会,つまり実験という形で体験する人の数を,うんと増やすべきです。そういう環境が失われないように,平たい言葉で言えば「汚い実験室がほうぼうにあるような環境で仕事をしていただきたい」ということです。(秋葉鐐二郎)


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