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気球の論文,日本航空宇宙学会の論文賞を受賞

 さる4月8日に開催された日本航空宇宙学会の第33期通常総会において,システム研究系気球工学部門の井筒直樹助手を筆頭著者とするスーパープレッシャー気球に関する論文,「高い耐圧性を有する気球の設計原理と飛翔テスト」(論文集,第49564号,所収)が第11回論文賞を受賞しました。ここ1年間に学会誌および和文・欧文の論文集に発表されたおおよそ100編を上回る論文の中から選ばれたもので,大変名誉なことと考えます。

 総会では,高山学会長より表彰状と記念メダルが授与された後,受賞者の記念講演会が行われ,受賞研究の意義が紹介されました。研究の内容は,これまでの気球設計概念の問題点を基本原理に立ち返って再検討し,一般原理の確立を図ったものです。またその原理に依拠することで,永年の課題であった高い耐圧性が要求される大型のスーパープレッシャー気球が実現可能となり,応用面でも高い成果を上げました。そうした成果は,気球研究者の集まりではすでに世界的に認められておりました。とはいえ,どちらかと言えばマイナーな存在になりがちな気球を対象とした研究が,広く航空・宇宙工学分野全体を扱う学会の中で論文賞と言う形で認められたことは,やはり大変嬉しいことです。

(矢島信之) 


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ASTRO-F一次噛合わせ試験

 赤外線天文衛星ASTRO-Fの,フライトモデル一次噛合わせ試験が,4月1日に開始されました。ASTRO-Fは,天体からの赤外線を観測して,銀河の形成や進化,星・惑星系の形成過程を探る衛星です。天体からの微弱な赤外線を検出するため,液体ヘリウムにより-270℃付近まで冷却された,特殊な望遠鏡を搭載しています。

 写真は試験開始から2週間,組み立てがほぼ終了したASTRO-Fの姿です。下側の八角形の部分が衛星本体,上の円筒部分が望遠鏡が入った冷却容器です。現在,各機器の動作を確認する電気試験が行なわれています。今のところ深刻な問題点は見つかっていませんが,隠れた問題点を見過さない様,慎重に進めたいと思っています。

 ASTRO-F衛星は,2004年初めに打上げの予定です。

(村上 浩) 

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第21回講演と映画の会

 さる4月13日(土)新宿西口の安田生命ホールで,恒例の講演と映画の会が開催されました。松尾所長の挨拶に始まり,矢島信之,小山孝一郎両教授による講演が行われ,質疑応答の後,ビデオ「母なる太陽」が上映されました。

 矢島教授の講演は,「惑星の空に気球を浮かべよう」と題して,最新のスーパープレッシャー気球技術の紹介と金星の空に浮かべる水蒸気による気球の話を中心に巧みな解説で聴衆を惹きつけました。また,小山教授の講演は「ヴィーナスの素顔にせまる一金星探査一」と題して宇宙研の金星探査計画PLANET-Cが解明をめざす金星大気の科学,中でもスーパーローテーションの謎を中心に,300人の参加者に居眠りを許さない迫力で迫りました。(マイクが小山教授の大音響で壊れなかったのは幸運でした。)質疑は極めて活発で,当初予定の2倍1時間ほどを費やしてもまだ尽きませんでした。

 気球のビデオの中で地上実験とフライトで,気球のバーストデータが異なることに気付いた聴衆からの鋭い質問には,矢島教授も舌を巻いておられました。なお,所長裁量()でブラックホール関連の質問対応に急遽呼び出された井上一教授は,予想どおり大繁盛で,暗黒物質やニュートリノ星に至るまで,質問の半分を占める今回の講演にまったく無関係な話題を明解に説明していたのが印象的でした。

(中谷一郎) 



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M-25TVCシステム試験

 M-25TVC(第段推力偏向装置)は,M-Vロケット改良計画の一環として導入された姿勢制御装置で,これまでの液体噴射方式(LITVC)を可動ノズル方式(MNTVC)に発展的に変更したものです。液体噴射方式とは異なりこの方式では,噴射する液体の漏れ(リーク)や使いすぎによる燃料切れ(噴射体の枯渇)の心配がいりません。その代わり,重いノズルを動かすのですから,一般に応答が遅くなってしまうのが難点です。このために,馬力はもちろんのこと,応答の速いアクチュエータが必要です。段ロケット用には軽量性も求められます。M-V開発当時には,このようなアクチュエータは考えられなかったのですが,技術の進歩によりそれも可能になり,こうして,M-VロケットのTVC装置は全段にわたって可動ノズル方式となりました。各段のアクチュエータはノズルの大きさや外乱の特性によりその種類を使い分けています。段目は最大出力40トンと言う超大型の油圧アクチュエータ,段目はトン級の小型の電動モータ,そしてこの新しい段目の可動ノズルには,最大で約10トンを生み出す高出力電動モータが用いられます。

 さて,4/418の期間にM-25TVCシステム試験がIHIエアロスペース川越研究開発センターにおいて実施されました。その目的は,システムの総合的な機能と性能の確認です。連日夜遅くまで続く厳しいスケジュールでしたが,結果はすべて良好で,M-V-5号機の打ち上げに向け準備はとても順調と言えるでしょう。

(森田泰弘) 


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BepiColombo Meeting,ESTECにて開催される


 2002年4月15日および16日に,オランダにあるESAESTEC(European Space Research and Technology Centre)にて,ヨーロッパのメーカー2社によるBepiColomboの競合的システム検討の2回目の中間報告会(第回は2001年12月)が開催された。宇宙研からは早川,笠羽,小川,山川の4人が参加し,日本が担当をすることが期待されているMMO(Mercury Magnetospheric Orbiter)とのインターフェースの観点から議論を行った。4月17日の宇宙環境に関する打ち合わせの後,4月18日には,SAG(Science Advisory Group)Meetingが開催され,ヨーロッパ各国および日本(水谷,向井)の科学者が集まり,BepiColombo全体のサイエンスの成果を最大化すべく白熱した議論が行われた。システム全体の検討精度が上がり,観測機器開発に関してもより具体的な段階に入ってきていることを痛感した一連の会議であった。

(山川 宏) 


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飛翔体環境試,験棟に新クリーンルーム完成


 2000年度補正予算により,飛翔体環境試験棟に新たにクリーンルームが誕生しました。これは,噛み合わせ試験等で使用していたロケット組立室を改修し,衛星の試験が出来るようにクリーンルーム化したものです。クリーン度は既存のクリーンルームと同じくクラス100,000ですが,省力化を計り,照度も明るくし,圧力調整を自動制御化しています。さらに,備え付けのクレーンの性能アップも計られています。このクリーンルームエ事は,予算執行上,短期間で行わねばなりませんでしたが,施設課をはじめ,関係者の大変なご尽力とご協力によってほぼ予定通りに完成したものです。特に,衛星試験スケジュールとの調整を計りながら,それらに支障を与えないように慎重に進められました。大変きつい工程でしたが,3月26日に竣工検査が無事終了し,4月から使用可能になりました。早速このクリーンルームでは,4月15日よりSOLAR-Bの望遠鏡用ブースの組み立てが始まり,現在望遠鏡の試験が行われております。この新クリーンルームの誕生によって,本研究所が計画している衛星ミッションの各種飛翔前試験が,円滑に進むことと確信しております。

(井上浩三郎) 


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