No.216
1999.3

<送る言葉>   ISASニュース 1999.3 No.216

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若かりし日の幸ちゃんと!

市川 満  

 千葉の生研で君の一年先輩の横山君だよと幸ちゃんを紹介されて,あれから39年あっという間であった。幸ちゃんが所属されていた斉藤研はアカデミックな雰囲気で活気にあふれていた。今日は旨い酒があるよ,と度々研究室に招かれ,これは本物のジョニ黒だよと,外国土産の貴重なウイスキーをごちそうになった。当時から,幸ちゃんは先生方の信頼が厚く研究室での仕事ばかりでなく,ロケットの実験ではテレメータ班員として活躍されていた。昭和30〜40年代のレーダやテレメータは真空管だったので,特性が一時も落ち着かず打上当日ともなるとテレメータ班員は四六時中オペアンプのツマミに触っていた。そんな事からかテレメータには繊細で几帳面な人が揃っていた。人品骨柄がよろしくなかった我々レーダ班はいつも比較され,「お前らは!」とお叱りの言葉を度々頂戴していた。

 若かりし頃の幸ちゃんは,スポーツが万能で野球も上手かったが,特にスキーの技量はプロの指導員並であった。幸ちゃんがゲレンデにシュプールを描いていると,多くのギャル達もしばし滑降を止めて眺めるほどであった。夏には,きたるスキーシーズンの為にとよく夏山にも出掛けた。計画は,いつも幸ちゃんが綿密にまとめ,自分たちは買い物の一部を手伝う程度で良かった。黒部ダムから立山,剣岳への3泊4日登山だった。ちょっと躊躇したが「上の小屋に行けば何か売っているよ」という幸ちゃんの一言で,3日分の食料が初日の酒のつまみにとなった。ところが,9月末の冬支度を前にした山小屋には缶詰などの食料品は一切無くアザミの葉のみそ汁とタクワン2切れの生活を2日間余儀なくされた。この元凶も自分の飲食時の大食らいにあり,幸ちゃんには色々とご迷惑をかけました。この場を借りてお詫びします。ここ数年は仕事に追われ何も出来なかったが亦御退官後は,計画の程よろしく御願い致します。

(いちかわ・みつる)



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