図2:画像処理前の天体像
(+ゴースト)
図2に,この仮想望遠鏡で見たときに焦点に写る天体(クェーサ1156+295)の像を示します。これが本当の天体の像,ではなく,たくさんゴーストが立っているために,どれが本当の像でどれが,ゴーストか全くわかりません。このような像では,天体のことを調べることができません。
ここで,干渉計の画像処理技術が威力を発揮します。図1から,「もし,相手が構造を持たない点状の天体であれば,どのようにゴーストが立つか」ということが計算できるのです。それを計算した結果が図3です。中心の一番強いところが,点状の天体で,あとは全てゴーストです。
図3:天体が点状のときの
ゴーストの現れ方

相手の天体がもっとも単純な構造でも,こんなにゴーストが現れてしまいます。図2はほとんど嘘の像です。しかし,ゴーストの立ち方はこれでわかりました。あとは,いちばん強いところはゴーストではないのですから(ゴーズトは,本物より必ず弱いから),図2のなかから強いところを探しだし,それは本物だと思ってそのゴーストを取り除きます。また,その次に強いところをさがしては,そのゴーストを取り除く,ということを繰り返して行くと,ゴーストの影響がどんどんとれて行きます。最後には,図4のような像が得られます。これがほんとうの天体の像です。右下の黒いところが銀河の中心部で,そこから左上のほうに伸びているのが,銀河から吹き出している銀河ジェットからの電波です。