折り紙三昧の日々
小野 縁

毎年10月頃に行われる国際宇宙航行連盟(IAF)の総会が,今年はイタリア北部ピエモンテ州トリノ市で,6日(月)〜10日(金)の間,開かれました。今回48回を数えるこの国際会議は,世界の研究者や技術者が宇宙科学・宇宙開発について論文発表などを行う大規模な会議で,毎年世界各地を持ち回りで開催されています。今年の全体テーマは“ Developing business from space ”(宇宙の商業化)で,会議と同時に“ space '97 ”と題した宇宙関連の展示も行われました。
私の今回の仕事は,宇宙開発事業団(NASDA)と共同で,広さ150m2のジャパンブースの展示を担当するという事でした。入札で決まったイベント屋さんのアイデアで,伝統的折り紙コーナーを作ることになりました。その発案を聞いた的川先生の鶴の一声“折り紙といえばミウラ折りだ!”‥‥というわけで,今回の折り紙三昧となったのです。開催日前日は,ブースの準備でした。先発隊のイベント屋さん2人,運送会社の方,NASDAの米澤さんに,イタリア人の大工さん達も交えて,準備万端整ったと思いきや,思わぬハプニングが‥‥。NASDAで用意していた擬似インターネットのソフトを入れたMOが,現地で借りたパソコンに合わないのです。実は,まだイタリアではMOが普及しておらずFD用のものしかなかったのです。四方八方手をつくし,結局使えるようになるには2〜3日かかってしまいました。
さてオープニング当日は,入場門での警備の物々しさにビックリしました。それもそのはず,イタリア大統領が,オープニングセレモニーに出席されたためでした。トリノ市長もたすきをかけて,同行していました。トリノ市は人口約100万人,イタリア全国の自動車生産量の約77%のシェアを持つ自動車産業の中心都市で,フィアットの工場が市の南の地域を大きく占めています。今回の会場も元フィアットの工場の跡地に建てられたものです。展示会場は4つのエリア…イタリア,ヨーロッパ,北アメリカ,アジア及びその他の国から成り,91のブースが各々工夫をこらした展示を繰り広げていましたが,中にはあっさりとパネルが並んでいるのみで,説明員もついていないブースもありました。また,事前にもらっていた予定表では,最後の2日間のみ午後10時までで,あとは6時まで展示するようになっていました。ところが,現地で配られた予定表では,毎日午前9時〜午後11時までのオープンとなっていて,皆思わず“聞いてないよ〜”と叫んでしまいました。午前中は会議参加者と学校(小・中・高)の生徒達で,午後からは一般の人,特に夕方から夜は,ファミリーで散歩がてら夕食の前あるいは後に訪れるというパターンでした。ちなみに,登録されていた学校の生徒数約3,500人,学会登録者1,500人,そのうち日本人会(日本人参加者の交流会)に参加した方は7〜80人,それらを含めた展示入場者は延べ3万5千人でした。宇宙研からは21人(林・秋葉名誉教授も含め)の参加でした。