宇宙科学談話会

ISAS Space Science Colloquium & Space Science Seminar

日本語

宇宙での生命の起原と有機物微生物探査:たんぽぽ

山岸 明彦
東京薬科大学

たんぽぽ実験は2007年国際宇宙ステーション曝露部第二期共同利用実験として採択され、2015年4月打上、5月に装置の曝露を開始した。装置は2016年9月に帰還し解析を進めている。たんぽぽ実験では、生命の起原に関わる二つの仮説「パンスペルミア仮説」と「有機物宇宙飛来仮説」を検証する。生命の起原の前に、有機物が地上に濃集したと想像されているが、有機物の起原は明らかではない。惑星間塵に有機物が含まれ、多量に地上に来たのではないかという仮説をたんぽぽ実験で検証する。
さて、生命の起原は地球であると多くの研究者が無意識に思いこんでいるが、生命の起原の場所は確定していいない。1903年Arrheniusは生命が惑星間を移動するという仮説を提唱し、パンスペルミア仮説と呼ばれている。たんぽぽ実験ではこの仮説も検証する。
たんぽぽ実験では捕集パネルと曝露パネルの二つの装置を用いている。捕集パネルには超低密度エアロゲルをアルミケースに収納して超高速衝突微粒子を捕集した。0.1mm以上の衝突痕を50以上検出し、その内の大きい物を研究者に配付、解析中である。曝露実験では、装置1年間曝露後、微生物の生存と有機物の残存が確認された。

Place: 2F Conf. room / 研究管理棟2階会議場(1236号室)