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平成25年度第一次気球実験の実施について

【実験期間】5月7日(火)〜6月23日(日)(実験予備期間を含む)
【実験場所】大樹航空宇宙実験場(北海道広尾郡大樹町)

平成25年度第一次気球実験の終了について

6月18日 更新

宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、大樹航空宇宙実験場において、平成25年度第一次気球実験を5月7日から実施してまいりました。しかしながら、6月5日のB13-01実験実施時に発生した気球部と搭載機器部の間の切離しロープカッターの誤作動の不具合に関しての原因究明及び対策に時間を要することがわかりました。そのため、6月23日までに予定しておりました残りの気球実験の実施を見送ることとし、本日をもちまして第一次気球実験を終了いたします。

なお、第一次気球実験で実施できなかった3実験については、今年7月以降に予定されている平成25年度第二次気球実験での実施を検討していく予定です。

実験にご協力いただいた関係各方面の方々のご尽力に深く感謝いたします。

B13-01 大気球を利用した微小重力実験(燃焼実験)

低コストかつ短いターンアラウンドタイムの微小重力実験手段として気球を用いた実験システムの確立を目指し、学術創成研究として開発した微小重力実験システムを継承しつつ、微小重力実験装置の利用可能スペースを拡大させたシステムを構築する。高度40km前後まで達した大気球より供試体を自由落下させ、20秒程度の無重力環境を実現させる。今回の実験では、予蒸発させた一次元液滴列の火炎伝播挙動の観察実験を行う。

B13-02 気球搭載望遠鏡による惑星大気観測

気球高度からの惑星大気光学観測は、シーイング、大気透過率、観測ウィンドウ、コストなどの点で地上大型望遠鏡に匹敵する成果が期待できる。極域での気球による24時間以上の惑星連続観測を目指して、今回の実験では平成21年度の前回実験で不具合を生じた搭載PCが担っていた機能をFPGA化する一方で、前回の実験でシステム設計の妥当性が実証された実験装置と姿勢制御・ポインティングアルゴリズムを踏襲し、追尾・撮像性能の確認を目的とし、太陽近傍に位置する複数惑星のシーケンシャルな観測にチャレンジとする。

B13-03 火星探査用飛行機の高高度飛行試験

2020年代前半の打上げを目指す次期火星探査計画では、航空機による火星探査を実施することを目標としている。本実験では、100分の1気圧、零下50度という火星大気環境を模擬できる高度35 km付近でスパン幅2.6 m、機体長2 m、機体重量3 kg程度の火星飛行機の飛行実験を行い、模擬火星大気環境で飛行が可能であることを実証すると同時に、各種空力データ、構造歪データ、航法誘導制御用センサのデータ取得を目的とする。

BS13-02及びBS13-03 成層圏オゾン・大気重力波・二酸化窒素の観測

高度30km以下で精度の高いECCオゾンゾンデを搭載したゴム気球と高度20km以上で精度の高い光学オゾンゾンデを搭載した薄膜ポリエチレン気球をほぼ同時に放球し、上部成層圏オゾンの年々変動および大気重力波の高度毎の特徴を明らかすることを目的とする。さらに、小型分光計を用いた新たな光学オゾンゾンデを搭載し、実績あるフィルター型との同時観測によりオゾン観測精度の検証を行い、分光器を生かして二酸化窒素の検出も試みる。

BS13-04 皮膜に網をかぶせたスーパープレッシャー気球の飛翔性能評価

皮膜に網をかぶせる手法で製作されたスーパープレッシャー(SP)気球は、高耐圧を軽量で実現し、大重量の観測装置を吊下げて長時間飛翔させることが可能な飛翔体である。平成23年度に実施したBS11-02実験と同様にゴム気球にSP気球を吊下げた超小型タンデム気球実験として実施し、昼夜の皮膜温度差、夜間のゴム気球の浮力を再測定して再現性を確認するとともに、新たにSP気球のガス温度の昼夜の変化、SP気球の圧力と大きさの関係の定量化、日昇後のシステムの高度変化の測定を行い、超小型タンデム気球の特性を把握する。

2013年6月18日

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