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ASTRO-F総合試験

 日本初の赤外線天文衛星ASTRO-Fの総合試験が,4月1日より宇宙科学研究所飛翔体環境試験棟のクリーンルームで開始されました。ASTRO-Fは,天体からの赤外線を検出し,銀河や星・惑星系の誕生の秘密に迫ろうとする衛星で,来年の打ち上げをめざしています。口径70cmの望遠鏡や赤外線観測装置は,液体ヘリウムを使って摂氏-270度付近まで冷却されます。

 現在は,電源,通信機器,姿勢・軌道制御機器等が収められる衛星本体(バス部)の組立てが行なわれています。各機器のフライトモデルが順次納入され,輸送中に傷んだりしていないかチェックの後,組み立てられていきます。このニュースがお手元に届く頃には,組み上がったバス部の電気試験が行われていることと思います。

 望遠鏡や赤外線観測装置,およびそれらを収納して冷却する液体ヘリウム容器は,今年の夏に宇宙科学研究所に運び込まれ,衛星全体が組み上がる予定です。

(村上 浩) 


組立て中のASTRO-F衛星バス部

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総研大に宇宙科学専攻を開設

 総合研究大学院大学(略して総研大)は1988年に我が国最初の大学院大学として創設されました。特色として,

(1)  博士後期課程の大学院教育 ,
(2)  大学共同利用機関の研究環境の活用と機関間の連係教育研究,
が挙げられます。総研大は神奈川県葉山町の湘南国際村に本部を持ち,現在14機関の大学共同利用機関が参加しており,以下のつの研究科を設置しています。

 (1)文化科学研究科,
 (2)数物科学研究科,
 (3)生命科学研究科,
 (4)先導科学研究科。

 宇宙研は2003年4月から総研大に参加し,数物科学研究科に宇宙科学専攻を開設しました。本専攻は宇宙探査理工学,宇宙観測科学,宇宙工学から構成される大講座制です。本専攻の設置は関係法令の制定及び2003年度予算の成立により確定するものであったため,4月初旬〜中旬にかけて

  入学願書受付 (4月2,3日),
  書類審査・面接(4月9日),
  合格発表   (4月11日),
  入学式    (4月17日),
  そして講義開始(4月22日)

が行われるという,関係各位にとって準備をも含めて慌ただしいスケジュールとなりました。当初は受験希望者が定員割れ(募集人員は6名)することを懸念する声が所内でありましたが,結局,2003年度の入学者数は14名となりました。

 入学した学生および教官にとってはこれからが正念場であり,本専攻の役割,存在意義が問われていることを考えると,特に教官は大いに気を引き締めなければなりません。そして,学生には既存の概念にとらわれない自由な発想に基づいた独創的研究を行うよう鋭意努力して頂きたいものです。

(稲富 裕光) 


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ビデオ「宇宙に飛び出せシリーズ第10巻 X線で輝く灼熱の宇宙」完成

 ISASビデオ・宇宙に飛び出せシリーズ第10巻「X線で輝く灼熱の宇宙」が完成しました。今回は20世紀最後の10年間,世界のX線天文学をリードしたASCA衛星の観測から分かった新しい宇宙の姿をビデオにしました。最初にとり上げたのは,銀河の中心に潜む巨大ブラックホールです。我々の住む銀河の中心も300年前は激しく輝いていたことや,巨大ブラックホールのまわりで光速に近い速度で回転したり,強い重力の影響を受けている降着円盤の話が出てきます。次にとり上げたのが,ダークマターに操られる銀河団の姿です。銀河団の高温ガスが飛び散らない様に引き止める,見えない質量をASCA衛星によって探ることができて来ました。また,静かなガスの塊と思っていた銀河団ガスの中に,併合合体の歴史の痕跡が見つかって来ました。このあたりは観測データばかりでなく,忠実な数値シミュレーションに基づいたコンピュータグラフィックスも駆使しています。今回のビデオでは,こうした新しいデータと共に,それに取り組む研究者の姿も登場し,これまでのシリーズとはひと味違った味付けになっています。一度ごらんになり,まわりの方々にも広めて頂けると幸いです。

 近日,宇宙科学振興会から発売の予定です。

(國枝 秀世) 

 活動的な銀河の中心核には,太陽の100万倍を越す巨大質量ブラックホールがあり,そこへ円盤状になって流れ込む物質の重力エネルギーがX線として放出されている。ASCA衛星はそのX線観測を手がかりに,ブラックホールの極く近傍の様子を明らかにした。

   ISASビデオ<宇宙へ飛び出せ>シリーズ
 第1巻 宇宙をさぐる 一ロケット・人工衛星一
 第2巻 母なる太陽
 第3巻 オーロラのふるさと 一地球磁気圏の科学一
 第4巻 ブラックホールをさぐる
 第5巻 私たちの太陽系
 第6巻 人工衛星 一人工の星に魂を吹き込む一
 第7巻 ロケット ー宇宙へのかけ橋一
 第8巻 「のぞみ」と惑星探査
 第9巻 大空から宇宙を探る大気球

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第22回宇宙科学講演と映画の会


 さる4月12日(土)新宿西口の安田生命ホールにおいて,恒例の宇宙科学講演と映画の会が開催されました。これは,宇宙科学研究所の創立記念日である4月14日前後に毎年行っているものです。今年は,松本敏雄所長事務取扱の挨拶に始まり,中谷一郎,村上浩両教授による講演が行われ,質疑応答の後,ビデオ「X線で輝く灼熱の宇宙」が上映されました。

 中谷教授は,「星にロボットを送る -惑星表面の探査技術-」と題して,最新の惑星探査技術の紹介やMUSES-Cで使われる技術などを動画も利用して,大変わかりやすく解説していただきました。村上教授は,「第の地球を求めて -赤外線で探る宇宙-」と題して,いろいろな太陽系以外の惑星の観測方法やASTRO-F衛星への期待などについてお話しいただきました。また,質疑応答においては,大変鋭い質問,少しマニアックな質問などが活発に出され,先生方も返答に精一杯の様子でした。

 ビデオ上映の前には,出来上がったばかりのビデオを心配なされた國枝秀世教授が自ら内容を紹介され,集まった約320名の参加者は熱心に見入っていました。

(橋爪 巌) 

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  MUSES-C 月報−5


射場での準備進む

 MUSES-C探査機が内之浦町のKSCに搬入されて,あっという間に1ヵ月あまりが経過しました。探査機には,この間,イオンエンジンで噴射ガスとして使われるXe(キセノン)ガスを充填する作業と,化学推進機関の燃料であるヒドラジン,酸化剤である四二酸化窒素の充填作業を行われました。化学推進系は液体なので短時間で充填を完了できますが,キセノンは気体であるために,充填していくと温度が上昇し,そのたびに冷却を繰り返さなくてはならず,充填に数日を要しました。もっとも,作業はずいぶん順調で,幸い予定よりも1日短縮して作業を終了できました。3種類を搭載するのも,この探査機の特徴です。これらガスと液体分が,探査機の約1/4130kgを占めています。続いて,探査機は継ぎ手を介して第段のキックモータKM-V2と結合され,クリーンブース内で第段とともに頭胴部として組み立てられました。今は整備棟で行われる全段の結合をまつばかりなっています。

 MUSES-C探査機は,イオンエンジンで決められた方向に加速を行わなくてはならないことなどの理由で,我が国の惑星探査機としては初の軸安定化方式を採用しています。MUSES-Cのような軸探査機では,タンクからきちんと液体だけが供給されるよう,特別な工夫が施されます。スピン衛星では遠心力で気体と液体を分離して供給する方式が採られますが,MUSES-Cでは,ブラダという気体と液体間に柔軟な隔壁を設けています。また,探査機全体の重心位置が変動しないよう,タンクは重心まわりに複数に分割して配置するのが普通ですが,MUSES-Cでは,配管の削減をはかるため,分割せずに各1個ずつのつのタンクを配置するという方式が採用されています。一見するとばらばらに置かれているように見られたかもしれません。もうそれらはパネルの中に収まっていてうかがうことはできませんが,これも従来にはない考え方でレイアウトされているつの特徴です。

 MUSES-Cは,この号が皆様に読まれる頃には,打上げられてイオンエンジンの加速準備を行なっていることでしょう。

(川口 淳一郎) 

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