天体の地球衝突問題を扱うプラネタリーディフェンス(スペースガード)についてのシンポジウムを開催します。このシンポジウムでは、地球接近天体(NEO)の発見・追跡観測、探査、天体の地球衝突回避を中心テーマとして、広く太陽系小天体に関連することについて情報交換をし、プラネタリーディフェンスの活動をどのように進めていくかを議論したいと思います。

今年度は、米国がDARTミッションで小惑星の軌道変更実験を行うなど、プラネタリーディフェンスとしては大きな動きがありました。また、2013年2月15日のチェリャビンスク隕石からもちょうど10年となりました。NEOの発見個数も3万個を越え、国際的にもプラネタリーディフェンスに関連した議論がより活発に行われるようになっています。今回のシンポジウムでは、DARTミッションのメンバーにも講演をお願いしていますし、チェリャビンスク隕石の研究についても振り返るセッションも設定しました。過去と現在の状況を踏まえた上で、プラネタリーディフェンスについて今後どのような活動を行っていくべきか議論する場としたいと思いますので、ご関心のある方は、是非、参加していただけますと幸いです。(対面とオンラインのハイブリッド開催です)

※このシンポジウムは、日本スペースガード協会の「第14回 スペースガード研究会」と合同して行います。

開催日

2023年2月20日(月)、21日(火)

場 所

JAXA宇宙科学研究所 研究・管理棟(新A棟)2階会議室A
及び Zoom(ハイブリッド開催)

接続方法

以下のURLからZoomウェビナーに登録してください。2日間とも共通です。当日まで登録できます。https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_osDYVak-S96x153ergYmJQ
(ID:853 5609 8802、パスコード:524742)

プログラム

【2月20日(月)】
開会:
9:45 開会およびシンポジウムの概要説明, 吉川
▶DARTの成果:
10:00 The Double Asteroid Redirection Test: NASA's First Planetary Defense
Test Mission
Andrew S. Rivkin (Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory), et al.,
the DART Investigation Team
10:30 LICIACube - The Light Italian Cubesat for Imaging of Asteroids In support of the NASA DART mission towards asteroid (65803) Didymos
Elisabetta Dott (INAF Osservatorio Astronomico di Roma), et al.
▶探査:
11:00 はやぶさ2#のフライバイミッションとプラネタリーディフェンス
三桝裕也、佐伯孝尚、吉川真、津田雄一(JAXA)
11:30 Hera熱赤外カメラによる地球接近小惑星の近傍観測
岡田達明(JAXA) & Heraチーム
12:00 昼休憩
▶探査(続き):
13:15 深宇宙コンステレーションによる小天体即応型フライバイ探査構想
尾崎直哉、兵頭龍樹(JAXA)
13:45 小天体の軌道形状がImpact-Geometry Mapを用いた衝突機の軌道設計手法の効果に与える影響
山口皓平(名古屋大学)
▶災害リスク:
14:15 異なる自然災害と低頻度・巨大損失事象の優先順位付けにおける小惑星衝突のリスク評価
山敷庸亮(京都大学大学院総合生存学館)、藤田萌(あいおいニッセイ同和損害保険)
14:45 休憩
▶チェリャビンスク・ツングースカ:
15:00 チェラビンスク隕石から10年・小惑星衝突による自然災害
髙橋典嗣(武蔵野大学)
15:30 チェリャビンスク火球からの熱線
柳澤正久(電気通信大学)
16:00 チェリャビンスク隕石に含まれる高圧鉱物:母天体の衝突史への示唆
小澤信(東北大学)、宮原正明、大谷栄治、Olga N. Koroleva、伊藤嘉紀、Konstantin D. Litasov、Nikolay P. Pokhilenko
16:30 ツングースカ天体衝突の遠地気圧変動からの再吟味
中島健介(九州大学)
17:00 1日目終了

【2月21日(火)】
▶観測:
09:30 美星スペースガードセンターでのNEO観測と国内でのNEO発見観測
奥村真一郎(日本スペースガード協会)
10:00 未発見小惑星検出アプリケーションCOIASの開発
浦川聖太郎(日本スペースガード協会)、杉浦圭祐、前田夏穂、大坪貴文、小池美知太郎、臼田-佐藤功美子、北里宏平、服部晃大、伊東健一、木下大輔、関口朋彦
10:30 JAXA "小惑星2001 CC21" 観測キャンペーン
早水勉(佐賀市星空学習館)
11:00 地球近接天体の南半球からのレーダー観測
堀内真司(CSIRO Space & Astronomy)
11:30 JAXA臼田64mアンテナをもちいたバイスタティックレーダーの検討と準備について
岳藤一宏、村田泰宏、木村公洋、小川康雄、渡辺優人、小金井和幸、米倉克英、飯田美幸、中村信一、松浦真弓(JAXA)
12:00 昼休憩
▶軌道:
13:15 小惑星の熱物理モデルの開発と非重力効果の推定
金丸仁明(東京大学)
13:45 地球接近小惑星の軌道について
吉川真(JAXA)
▶防災・法・社会:
14:15 海洋への隕石衝突による津波の定量評価
近貞直孝(防災科研)
14:45 先端的宇宙活動に関する法的課題研究会での議論について
菊地耕一(JAXA)
15:15 プラネタリーディフェンスを社会・市民はどのようにとらえているか
玉澤春史(京都市立芸術大学/京都大学)
▶総合討論:
15:45 総合討論
話題:PDC2023(Planetary Defense Conference2023)における架空の天体の地球衝突(エクササイズ)について
16:30 2日目終了

主 催

JAXA/ISAS

共 催

NPO法人日本スペースガード協会

協 力

日本惑星協会

世話人
(プラネタリーディフェンス検討チーム)

安部正真、池永敏憲、岩城陽大、岡田達明、菊地耕一、黒崎裕久、黒田信介、佐伯孝尚、嶌生有理、津田雄一、西山和孝、三桝裕也、柳沢俊史、吉川真

問い合わせ先

JAXA宇宙科学研究所 吉川真(yoshikawa.makoto [AT] jaxa.jp)