宇宙科学談話会
ISAS Space Science Colloquium & Space Science Seminar
湖底の泥に刻まれた「暴れる気候」と人間の歴史
中川 毅(なかがわ たけし)氏
立命館大学 古気候学研究センター
気候の未来に対して、誰もが不安を感じる時代になっています。では地質学的な時間スケールで見たとき、「現代」とはいったいどのような時代なのでしょう。氷期の地球は、現代とはまるで似ていない、激しい変動が日常的に繰り返す不安定な世界でした。その時代を、人類は狩猟採集によって生き延びていました。いっぽう、氷期が終わってから現在までのおよそ1万年間は、気候が例外的に温暖で、そして安定しています。その1万年の間に、人類は農耕を開始し、文明を発展させてきました。しかし現代の地質学は、そのような安定した時代が永遠には続かないことを示唆しています。去年までの常識が通用しなくなる「その日」は、次はいつ訪れるのでしょう。その時のために、人間は何をしておくべきなのでしょう。現代に突きつけられた課題の本当の意味について、最新の地質学の立場から考察します。
研究・管理棟(A棟) 2階会議場(1236,1237), Zoom開催