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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第433号

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ISASメールマガジン   第433号       【 発行日− 13.01.08 】
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★こんにちは、山本です。

 年末年始休暇明けの相模原キャンパスは、今週になって本格始動しているようです。
アチコチから 年始の挨拶が聞こえてきますし、ヘルプコールも引っ切りなしです。

 現在、SPRINT-Aを門松に見立てた「宇宙研門松」が展示室に置かれています。場所は、玄関を入ってすぐの「あかつき」のコーナーです。

 1月中は展示するとのことなので、見学予定の方は展示担当者渾身の力作を、是非!ご覧ください。

 今週は、広報・普及主幹の阪本成一(さかもと・せいいち)さんです。

── INDEX──────────────────────────────
★01:2013年の宇宙科学関連イベント
☆02:SELENEシンポジウム2013(1月25日(金))
☆03:宇宙学校・ふくい (1月12日(土))
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★01:2013年の宇宙科学関連イベント

 新しい年を迎えました。昨年は皆さんにとってどのような年だったでしょうか。

 2012年は日本の宇宙科学にとっては昨年は歴史の節目となる行事がいくつも催された年でした。糸川英夫生誕百年と銅像の建立、内之浦宇宙空間観測所と能代ロケット実験場の開所五十周年などです。

これらの行事を通じて、ふだんお目にかかる機会の少ない諸先輩方ともお会いすることができ、所在が知られていなかったペンシルロケットなどをカタログ化することができたのも大きな収穫でした。

大きな打ち上げなどはありませんでしたが、相模原キャンパス展示室の見学者数は着実に伸び、年間見学者数は自由見学と団体見学あわせて約7万(特別公開を除く)と、10万の大台を目指せるほどになりました。


 私は国立天文台のALMA(アルマ)プロジェクトで客員を務めていますが、こちらでも大きな進展がありました。ほとんどのアンテナがチリ現地に出そろい、初期科学成果が出始め、いよいよ今年から本格運用開始という段階に入りました。

私も観測提案の審査のために2012年10月に5年半ぶりに現地入りしましたが、標高5000mの高地に巨大なアンテナが立ち並ぶ姿は壮観でした。2013年3月に行われる開所式にも出向くことにしています。

一方で、私と入れ替わりに単身でチリ勤務していた森田耕一郎教授が暴漢に襲われて亡くなりました。南米一治安のいい彼の地で発生した大変残念な事態に深い悲しみに暮れたところですが、彼の遺志を継いでこの計画を何としても成功させなければと思っています。遺児育英基金も設立されています。


 日本全体を見渡すと、あの痛ましい大震災と原発事故から早2年を迎えようとしています。政権も様変わりしました。そんななか、私もようやく昨(2012)年12月上旬に福島第一・第二原発の視察に出向くことができました。

福島第一原発3号機の前では短時間ながら1200μSv/hという高線量率を経験しました。高線量率の場所は限られていますが、肝心かなめのところにアクセスできないので作業は難航しているようです。

構内では3000人程度が作業にあたっているとのことでしたが、まだまだ廃炉までの道のりは遠いことを実感しました。現場の士気は高く保たれているようですので、引き続き尽力いただきたいと思います。私たちも福島を中心とする被災地の方々をはじめ、皆さんの力になれるよう努めます。


 今年2013年は日本の宇宙科学にとっては飛躍の年になりそうです。いよいよ惑星分光観測衛星SPRINT-Aを搭載したイプシロンロケット初号機が内之浦から飛び立ちます。

2014年ESAに引き渡すことになっている水星磁気圏探査機MMOや、2015年度の打ち上げを目指すX線天文衛星ASTRO-Hに関連する作業が相模原キャンパス内で重ねられています。

2014年の打ち上げを目指す小惑星探査機「はやぶさ2」の開発も進められており、昨(2012)年末には報道関係者に開発状況をご紹介しましたので、これを通じてご覧になった方も多いものと思います。

また、2022年の打ち上げを目指す次期赤外線天文衛星SPICAは、コミックスの『宇宙兄弟』ではバリバリに成果を出している最中と描かれていますが、現実の世界においては、重要な技術開発が実現可能かどうかを確認するための「リスク低減フェーズ」の第2段階に入ったところです。このように、今年はこれらの衛星計画にとって一つの正念場となります。


 しかも、宇宙科学の取り組みはこのような大型プロジェクトだけではありません。観測ロケットや大気球などの小型飛翔体を用いた実験や、国際宇宙ステーションでの宇宙環境利用実験、萌芽的な研究や研究室レベルでの個別の研究、要素技術開発などが今年も粛々と進められます。


 2012年の金環日食、金星の太陽面通過、金星食に続いて、今年も興味深い天文現象が見られます。

なかでも3月のパンスターズ彗星は肉眼でも見えるようになると予想されており、11月に来るアイソン彗星はさらに明るくなる可能性があります。

昨年の金環日食の際の成功経験を活かして、大いに盛り上げていきたいと思っています。


 今年も宇宙から目が離せません。未来に向けた私たちの取り組みに、皆さんどうぞご期待とご支援をお願いします。


(阪本成一、さかもと・せいいち)


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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※