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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第412号

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ISASメールマガジン   第412号       【 発行日− 12.08.14 】
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★こんにちは、山本です。

 ロンドンオリンピックも終わり「寝不足からの解放!」と思っていたら週末からは、天体ショーが待っていました。

 日食グラスを必要としない、ペルセウス座流星群と今朝未明に起きた金星食です。
私は、【睡魔】に負けました。

 今週のISASは、月遅れのお盆のためか、夏休みを取っている人が多いようで、何となく、閑散とした雰囲気です。

 そうか! 先週は、「きみっしょん」が開催されていて、高校生たちと、きみっしょん事務局のスタッフなど部屋の前を行き交う人が多かったんだ。


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本日16時〜19時、地元ラジオ局の【エフエムさがみ】にて「JAXAエフエム in エフエムさがみ」が放送予定です。
(⇒ 新しいウィンドウが開きます http://www.fmsagami.co.jp/index.html

広報の阪本教授と、赤外線の山村准教授が出演予定です。
どんな話が聞けるのかお楽しみに!

相模原以外にお住まいの方は、パソコンやスマートフォンで聴くことができます。
上記【エフエムさがみ】のウェブページで 確認ください。

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 今週は、広報・普及係の原田まり子(はらだ・まりこ)さんと、広報・普及主幹の阪本成一さん です。

── INDEX──────────────────────────────
★01:宇宙の夏、相模原の夏
☆02:伝統的七夕ライトダウン20012キャンペーン
☆03:観測ロケットS-310-41号機 打上げ終了
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★01:宇宙の夏、相模原の夏

 今年もあっという間に季節は巡り、JAXA相模原キャンパス特別公開が開催される夏がやってきました。4月に宇宙科学研究所広報・普及係に着任した私にとって、そして広報関係者全体にとって特別公開準備のために全速力で駆け抜けた、いや文字通り駆け回った3か月間でした。


 思えば、JAXAという組織、宇宙開発の現場に初めて触れたのは、2005年の夏の宇宙研一般公開(当時)でした。採用試験を受けているにもかかわらず、一切JAXAの事業所には足を運ばなかった私が、内定をきっかけに初めて訪れたのが相模原キャンパスだったのです。今思えば、7年後にこの「特別公開」に携わることになったのは何かの巡り合わせだったのかもしれません。


 さて、今年の相模原キャンパス特別公開は7月27日(金)、28日(土)に開催されました。最高気温35℃という酷暑のなかではありましたが、夏休み中ということもあり、お子様からご年配の方まで多くの方にご来場いただきました。

連日熱中症のニュース報道があったなかで、我々も万全の態勢を整えながら神経を張りつめていましたが、大事に至ることもなく2日間を無事に終えることができました。
この2日間で、合計13,845名の方にお越しいただきましたが、特に2日目は前日や当日朝のTVニュースを見てご来場いただいた方も多かったようです。


 今年は、第1会場の出展ブースを昨年と大きく変え、月・太陽・探査関係の研究を行っている出展ブースが1か所にあつまり、また一体感のある会場を目指して各ブースが連携したことが大きなポイントでした。多くの来場者からも、新鮮だった、会場内をまわりやすかったとお褒めのコメントをいただきました。

第1会場のほかにも、普段の見学では入ることができない建物や、施設が開放され、出展したブースは昨年より増加し全部で44ブースとなりました。

一時期、とある会場が特別公開中に使えなくなるのでは?! とヒヤヒヤし、使えなかったら特別公開中止?、それとも延期? と気をもみましたが、無事キャンパス内に第1から第5会場、また中庭会場を設け、キャンパス外では国立近代美術館フィルムセンター、相模原市立博物館、また水ロケット工作教室の開催場所として共和小学校(土曜のみ)にご協力いただきました。

晴天にも恵まれ、普段は比較的静かなエリアはご来場の皆様の活気に溢れ、特別公開独特の賑やかな雰囲気に包まれました。


 ご来場の方に記入いただいたアンケートの中で、特に印象的だったのは
「説明してくれるJAXAの人や学生さんがとても楽しそうにお話ししていて、生き生きとしている」
というコメントです。このコメントは、特別公開に携わっている全ての関係者にとって、大変大きな励みであり喜びになると思います。

なぜ毎年この特別公開を開催するのか。それは、通りいっぺんの回答をするのであれば、
「国民に対する説明責任を果たすため」
なのですが、実際に携わっている研究者や現場の人間が、いかに自分達の研究等が日本に役立つものか、そして将来の宇宙開発を変えるものかをわかりやすく発表する場であり、日本の将来を担う子供たちに宇宙開発の素晴らしさや困難さを目の当たりにしてもらい、希望や勇気を感じてもらいたいと願っているJAXA職員と彼らとが直接交流する場であるからです。


 来年も、今年と同じ時期に特別公開を開催する予定です。小学生は夏休みの自由研究の題材探しに、中学生、高校生や大学生は将来自分がどんな道に進み、どんな人生を歩むと幸せになるのかという自分探しに、ぜひ来年の夏の1日または2日を相模原キャンパスでお過ごしいただきたいと思います。

きっと、相模原キャンパス特別公開は何かアツい想いを呼び起こしてくれるはずです。


 最後になりましたが、今回ご協力いただきました全ての皆様、ご来場いただきました皆様に心より御礼申し上げます。


(原田まり子、はらだ・まりこ)

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☆02:伝統的七夕ライトダウン2012キャンペーン

伝統的七夕とライトダウン

 8月12日の夜にピークを迎えたペルセウス座流星群と、8月14日未明の金星食、皆さんはご覧になれたでしょうか。

夏休みをとって旅行に出かけ、郊外で美しい星空に触れている方も多いことと思います。普段都会に暮らして忙しくしていると、星空を見上げる心のゆとりも失われていきます。たまにはこのように夜空を見上げて宇宙のことや地球のことに思いを馳せることが重要です。

昨年12月の皆既月食の際には、条件がよかったこともあって大勢の人が夜空を見上げました。そのときに、月食により満月がライトダウンされ、オリオン座などの冬の星座がはっきりと見えるようになったのを覚えていらっしゃる方も多いはずです。明るい夜空の向こうには、昔も今も変わらずに、星々が煌めいています。


 ところで都会の夜空を煌々と照らしているのは人工光ですが、夜空を照らすことを意図しているものはほとんどありません。照明の向きが不適切だったり、必要な覆いが取り付けられていなかったりするために、必要とされていない光が夜空にもれ出し、その一部分が空気中の水滴やちりなどに散乱されて、夜空を明るく光らせるのです。宇宙から夜の地球を眺めると、それがよりはっきりと分かります。


 空の透明度自体が悪いわけではありません。私は東京都内の生まれですが、子供の頃に比べると、排ガス規制などの公害防止が功を奏したのか、空の透明度はむしろ改善したように思います。あとは光害の防止に向けて、意図していないこれらの人工光のもれ出しをうまくコントロールすることができれば、照明をもっと効率的に使えるようになり、安心・安全な生活と美しい星空を共存させることができるのではないかと私は考えています。

無駄な明かりをこまめに消すことと、カーテンなどを閉めて光の漏れを抑えること。家庭と職場、そして行政が一体となって小さな工夫を重ねることで、都会にも美しい夜空を取り戻せるはずです。


 このような取り組みを始めるきっかけ作りの一つとして、十五夜や七夕など、天文現象を楽しむ風習を利用するのがいいと考えています。しかしながら、いまも日本に残るこれらの天文行事を楽しむためにはタイミングが重要です。

例えば「十五夜」といっても新暦15日の夜に満月になる保証はありません。七夕も同様で、梅雨のさなかや満月の夜では天の川を見ることはできません。

「正しい」七夕の行事のためには月齢を元に組まれた旧暦での7月7日に行事を行わなければなりません。現在日本では旧暦の算定は行っていませんので、これを「伝統的七夕」と称しています。

いまごろ七夕と言われてもピンとこない方がほとんどだと思いますが、今年は8月24日(金)がそれにあたります。伝統的七夕の夜は梅雨時と違って晴天率も高く、天の川は天高く上ります。月齢は7ですので、夜半には上弦の月は沈み、美しい天の川が姿を現します。

このように伝統的七夕は、新暦七夕(7月7日)や月遅れの七夕(8月7日)に比べるとまだ知名度が低いものの、天の川を隔てて輝く織女と牽牛の姿を楽しむにはベストのタイミングといえます。


 JAXAをはじめとする宇宙・天文関係の研究機関や団体では、「伝統的七夕ライトダウン2012」(推進委員長:阪本成一)の共催・後援を通じて、伝統的七夕の周知と8月18日から26日までのライトダウンを呼びかけています。
(⇒ 新しいウィンドウが開きます http://7min.darksky.jp/

今年もこのイベントに賛同して東京のランドマークである東京タワーが消灯します。各地で観望会などのイベントも実施されます。星空風景写真の募集や、デジタルカメラを用いた星空環境調査も実施しています。

この期間、それぞれの家庭や職場で明かりをコントロールして、一斉に夜空を見上げてみましょう。夏の大三角の真ん中あたりに小さな双眼鏡を向ければ、肉眼では見えなかったおびただしい数の暗い星々の輝きを認めることができるはずです。

都会からでもかすかに見えるそれらの星々は、私たちが失いかけた天の川の輝きの一部なのです。まだ遅くはありません。小さな心がけを通じて天の川をもう一度取り戻しましょう。

(阪本成一、さかもと・せいいち)

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※※※ ☆03以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※