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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第358号

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ISASメールマガジン   第358号       【 発行日− 11.08.02 】
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★こんにちは、山本です。

 今年の特別公開も無事終了しました。私はいつものようにスタンプラリーの終点で、子ども達にラリー完走の景品を渡していました。

 今年のラリーの終点は、研究センター棟の角に設営されていたので、行き交う人たちがよく見えました。

 いつも 快く原稿を受けてくださるYさんは、背中に「灯」(あかり)と書かれた赤い法被を着て、メガホンを手に入場者に案内をしています。

 子ども達を先導している保父さんは? 次世代赤外線天文衛星「SPICA」のNさん。

 Tシャツに短パンのクールビズスタイル(?)は、イオンエンジンのKさんです。TV画面でしか見たことの無い一般見学者には絶対分からないでしょう。

 4時頃(?)スタンプラリーの終点にやってきた小学生、何やら見慣れぬトロフィーを持っています。
「そのトロフィーは?」
「エッグドロップコンテストで 2位になったんだ。教授に勝ったヨ」
「えっ そうなの おめでとう」
テントの外にいた お母さんも うれしそうでした。

 今週は、相模原キャンパス特別公開実行委員長・広報・普及主幹の阪本成一(さかもと・せいいち)さんです。

── INDEX──────────────────────────────
★01:夏だ、休みだ、特別公開だ!
☆02:「はやぶさ」カプセル等の展示スケジュール
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★01:夏だ、休みだ、特別公開だ!

 今年も夏がやってきて、JAXA相模原キャンパス特別公開が開催されました。あいにく両日とも天候が危ぶまれたこともあって来場者数は伸び悩みましたが、それでも初日の7月29日(金)には6024名、30日(土)には7029名と、合計13053名(=正門・西門・北門でのパンフレットの配布総数)をお迎えし、事故もなく終了することができました。

 昨年と比べると来場者数はかなり減りましたが、カプセル展示の見学にとられる時間がない分だけ特別公開の方をじっくりお楽しみいただけたのではないかと思います。お迎えする側もだんだん慣れてきたようで、以前と比べて混雑感もだいぶ軽減されたようです。


 ところで今年の特別公開には例年にない生みの苦しみがありました。

 そのひとつはもちろん震災後の原発事故に伴う夏季の節電要請です。季候の穏やかな秋頃に開催する案も検討しましたが、駐車場の確保や競合イベントの回避などにおいて不明な部分が多く、広報委員会などで検討を重ねた結果、結局は今年も例年通り海の日の翌週の金・土に開催することになりました。
但し、節電要請への完璧な対応についての条件付きです。電力消費量の大きい風洞を停止して保守点検作業に充てることでキャンパス全体での消費電力を抑えるという関係者の協力が打開のカギになりました。

 待ったなしでの試験が進むベピコロンボやASTRO-Hに加え、被災した筑波宇宙センターでの試験を予定していた衛星を受け入れるなど別の意味での震災対応も必要で、飛翔体環境試験棟の公開エリアも縮小・分断を余儀なくされました。

 今年はこれに加え、管理業務を行うスタッフについても確保が難航し、水ロケット工作教室を土曜限定での実施とするなどの対応が必要でした。

 さらには特別公開予算のさらなる削減も追い打ちとなり、三重苦でのスタートだったわけです。


 一方で新しい試みもいくつか行うことができました。そのひとつが、中庭で探査ローバーのデモや「はやぶさ」方探アンテナの屋外展示に交じって行った「銀河連邦」(宇宙研の関連施設の地元ということで連携している相模原市、能代市、大船渡市、佐久市、肝属郡肝付町、広尾郡大樹町の6市町)の特産品即売会です。

 くつろぐ家族連れのようすが会場全体に潤いを与えましたし、津波で被災した大船渡市への支援を、相模原市の橋渡しによってこのような催しとして目に見える形で実施できたことを主催者としてとても嬉しく思います。地域とのつながりはますます深まっているようです。


 さらには、昨年は工事中で使用できなかったフィルムセンターとの協力関係をさらに深め、宇宙科学セミナーの開催だけでなく、引き続いて短編映画の上映も行うことができました。

 上映された「黒い太陽」(1936年制作)は趣深いもので、「ひので」の活躍で可視光やX線による太陽黒点やコロナの姿を日頃目の当たりにしている身にとっては、人の一生ほどの間にここまで科学は進歩するのだと実感するよい機会にもなりました。


 相模原市立博物館では従来から行ってきた地階大会議室での「ミニミニ宇宙学校」やプラネタリウム上映に加え、特別展示室での特別展「宇宙とつながる私たち ー探査機に託したメッセージー」や「池下章裕 リアル・スペース・アート展2011」(ともに8月17日(水)まで開催)の同時開催を図ることで、いわゆる研究紹介とは違う切り口での紹介もすることができました。


 今年度の特別公開はこれで終了ですが、展示室の常時公開はときどき模様替えをしながらまだまだ続きます。週末にはアルバイトの学生(彼らも宇宙研の一員です)が解説してくれますし、団体見学を事前にお申し込みいただければ自由見学ではご覧いただけない施設も職員の案内付きで一部ご覧いただけます。

 特別公開に来られた方も来られなかった方も、また足をお運びください。
特別公開では展示されなかったペンシルロケットや、スタンプラリーで使われた たくさんのスタンプ、豊富な宇宙関連書籍を取り揃えた「JAXAさがみはら文庫」など、特別公開とはまた少し違う展示をゆったりとご覧いただけるものと思います。


 私自身は旅芸人のように全国を行脚する生活が続きます。翌31日にはカプセル展示のある郡山でイベントを2つこなしました。8月中もイベント対応や講演会が17件ほど入っています。巡業予定は私の個人ホームページに載せてありますので、こちらにも足をお運びください。

阪本成一(さかもと・せいいち)
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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※