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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第309号

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ISASメールマガジン   第309号       【 発行日− 10.08.24 】
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★こんにちは、山本です。

 立秋を過ぎたのに、未だ真夏の高気圧が居座っている日本列島。熱中症対策は万全ですか?

 毎週 メルマガの Subject には、メインの記事のタイトルを付しているのですが、先週の308号には 書き換えを忘れて、前の週のタイトルをそのまま 載せてしまいました。読者からのスルドイ 突っ込みが返ってこなかったのは幸いでしたが。気がついたときに、思わず
「暑さで ボケたか」
と 自分に突っ込みました。

お知らせ:
26日(木)は相模原キャンパス管理棟の空調機の洗浄作業に伴い、1階エントランスホール(8:00〜11:00)と2階ロビー(11:00〜17:00)の空調が止まります。見学予定の方は、時間をずらしてご来場ください。

 今週は、きみっしょん事務局長の松田桂子(まつた・けいこ)さんです。

── INDEX──────────────────────────────
★01:宇宙でしかできないことがある:第9回 君が作る宇宙ミッション
☆02:大気球実験B10-02 終了
☆03:宇宙学校・みやざき 〜宇宙に夢中!〜(9月11日(土))
☆04:宇宙学校・いしかわ 〜宇宙を知ろう!〜(9月20日(月・祝))
☆05:「はやぶさ」カプセル等の展示スケジュール
☆06:「はやぶさ」実物大模型の展示休止について
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★01:宇宙でしかできないことがある:第9回 君が作る宇宙ミッション

 みなさん、こんにちは。ISASでX線天文学を研究している博士課程1年の松田桂子と申します。ISASで毎年夏に開催されている高校生向け体験学習プログラム「君が作る宇宙ミッション(通称:きみっしょん)」の事務局長を務めています。

 今年も関係者みなさまのご協力、ご支援のもと、第9回きみっしょんを無事に終了することができました。今回は「きみっしょん」の紹介と、今年のきみっしょんの様子を報告したいと思います。


 「きみっしょん」とは、全国各地から作文選考で選ばれた高校生が、一班6人のチームを組み、JAXA職員や研究者、大学院生のサポートを受けながら自分たちの宇宙ミッションを作り上げていく4泊5日の体験学習プログラムです。毎年夏休み始めに開催されており、第9回を迎える今年度の「きみっしょん」は7月26日〜7月30日の日程で行われました。


 高校生による「きみっしょん」は、以下のプロセスを経て進んでいきます。

  • 1.自分たちが考えてきた宇宙ミッションを互いに発表し、それをもとにチームのミッションの目標を決める。
  • 2.その目標を達成するための手段や方法を考える。
  • 3.過去の研究資料の調査・検討をし、自分たちのアイディアを取り入れながらミッションを組み立てる。
  • 4.研究発表会へ向けてプレゼンテーション資料を作成し、ISASの先生方、職員、大学院生の前で発表する。

 非常に簡潔に書きましたが、この行間には高校生たちの何時間にも及ぶ議論や考察が密に積み重なっています。きみっしょんの醍醐味である「自ら考え、自ら決定し、自ら作業する」を研究者さながらに体験することができます。そんな高校生たちの作業を、ISASで日々研究している大学院生がサポートします。例えば、宇宙ミッションを作りあげる過程で必要になる考え方、調べ方、議論や発表方法の指導を行います。

 今年の高校生たちは、以下のようなミッションを作成しました。

・A班 月面天文台 MooooooN 〜ファーストスターを探れ!〜
(宇宙の始まりを探るため、宇宙で最初に誕生した恒星=ファーストスターを観測する月面天文台建設構想)

・B班 月面老人ホーム 〜あの頃をもう一度〜
(お年寄りに動けることの喜びや楽しさをもう一度味わってもらうため、重力の小さい月への老人ホーム建設構想)

・C班 身近な宇宙旅行 〜C-HAN〜
    (Comfortable for Human Aerospace New experience)
(将来人間が宇宙に移住することを見据えた「快適生活」&「楽しさ」を実現する観光地構想)

・D班 衛星通信を用いた誰でも簡単に発信・受信できる情報網
(情報共有による世界の人々の意識改革の促進を目指し、世界の情報格差を埋めるための通信衛星と地上端末の考案)


 今年は「きみっしょん」初の試みとして、JAXA宇宙教育センターの協力のもと、研究発表会のWeb生中継を行いました。また、【IES兄さん】のご好意により、「はやぶさ」ツイッターで研究発表会の告知をつぶやいていただき、参加高校生の親御さん、お友達、学校関係者の方はもちろん、今まできみっしょんを知らなかった多くの方にも高校生たちの勇姿を見ていただくことが出来ました。

 何よりうれしかったのは、参加した高校生たちが、「来て良かった、もっと宇宙が好きになった」と言って元気に帰っていったことです。初日は緊張のせいか発言が少なかった子も、あっという間にチームになじんで、臆せず自分の意見を発言出来るようになるといった様子も見られました。事務局は裏方的存在で、当日のバタバタした忙しさの中で高校生のみんなと交流する時間は少なく、ちょっと寂しさも感じましたが、それでも高校生たちのすばらしい成長を見ることができて一生懸命準備してきてよかったと思いました。宇宙科学の最先端の研究をしているここISASでの5日間において、きみっしょんで得た経験が、参加高校生たちにとって自分の将来を考える良き糧となることが大学院生スタッフみんなの願いです。


 「きみっしょん」は夏だけでは終わりません。全国に散らばった仲間と議論を続け、ミッションをさらに発展させ、来春の天文学会/ジュニアセッションという大舞台での発表を目指します。我々大学院生も全力でサポートを続けていきます。


 ここでは伝えきれない今年のきみっしょんの様子は、実況中継ブログから見ることができます。また、きみっしょんの詳細な情報はホームページで紹介していますので、ぜひご覧になってください。

【きみっしょん2010ブログ】
新しいウィンドウが開きます http://kimission.jp/blog/2010/

【君が作る宇宙ミッション ホームページ】
新しいウィンドウが開きます http://www.isas.jaxa.jp/kimission/


 最後になりましたが、第9回君が作る宇宙ミッションの開催にあたりご尽力いただいたみなさまに、この場を借りてお礼申し上げます。また、半年以上に及ぶ事前準備を含め、特別公開直前という忙しい中、5日間の運営を支えてくれたISASの大学院生のみんなには本当に感謝しています。私たち大学院生にとっても、企画・運営、高校生への指導を通して得た出会いや経験、研究への刺激はかけがえのないものになると思います。本当にありがとうございました。

(松田桂子、まつた・けいこ)

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※