宇宙航空研究開発機構 サイトマップ

TOP > レポート&コラム > ISASメールマガジン > 2010年 > 第282号

ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第282号

★★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ISASメールマガジン   第282号       【 発行日− 10.02.16 】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★こんにちは、山本です。

 「寒い!」なんて言ったら、相模原以北に住んでいる人たちに笑われそう。ホント寒くて 建物の中でヌクヌクしていたいのですが……

 2月も半ばを過ぎ、ISASの中もイロイロな動きが増えてきました。

 今週は、広報委員長の阪本成一(さかもと・せいいち)さんです。

── INDEX──────────────────────────────
★01:「おおすみ」40周年記念シンポジウム開催
☆02:「あかつき」メッセージキャンペーン
    IKAROS × Light Sail共同応援キャンペーン
☆03:金星探査機「あかつき」(PLANET-C)の開発状況について
☆04:「はやぶさ」軌道情報
☆05:今週のはやぶさ君
───────────────────────────────────

★01:「おおすみ」40周年記念シンポジウム開催

 日本初の人工衛星「おおすみ」がL-4Sロケット5号機によって打ち上げられたのは1970年2月11日のこと。それからちょうど40周年を迎えるのを一つの節目として、日本の宇宙科学の歴史を振り返り、将来について考える、一般向けのシンポジウムを企画しました。その名も「おおすみ」40周年記念シンポジウム「日本の宇宙科学の歴史・ペンシルからラムダ、ミュー、そして未来へ」。当初は「おおすみ」から始まる一連の衛星を軸に組み立てようかとも思いましたが、日本が自力で人工衛星を打ち上げたという輸送系の奮闘に今回は注目することにしました。

 中身が決まれば次は講師を確保して日程を決めるわけですが、なにせ皆さんお忙しい方ばかり。40周年の当日(建国記念日)とその前後の週末の中で講師の都合がつきそうなのは2月7日のみということで、日程は一意に決まりました。会場については、「おおすみ」にゆかりのあるところで開催したいと考え、「おおすみ」を打ち上げたラムダランチャーの実物が展示されている上野の国立科学博物館に協力をお願いしました。立地は抜群。心配な施設使用料も、今回は共催なので免除です。

 あとは粛々と準備を進めるのみですが、諸般の事情で調整の時間が取れず、募集を開始できたのは開催まで2週間を切った1月26日の14時。あまりに直前の告知で驚かれた方も多いと思います。こちらとしても、会場がガラガラだったらどうしようかと心配でしたが、プレスリリースにあわせてメールマガジンで告知したこともあり、募集開始の翌日には定員に達して受付を終了。相当数の方にはお申し込みいただいたもののお断りしなければならなかったほどでした。

 シンポジウム当日は天候にも恵まれ、開館前からラムダランチャー付近で青空をバックに熱心に写真撮影をしている人を何人も見かけました。午前中に実施した自由参加の記録映画上映会からほぼ満席で、午後のシンポジウムも、2割ほど当日キャンセルがあったものの、一般参加121名とプレス関係者12名の参加があり、補助席を出すほどの盛況でした。こちらも、早々に会場入りされる方が多いことを見越して、待ち時間に『L-4S-5/おおすみ』を上映。40年前の開発現場の雰囲気をお楽しみいただきました。

 今回のシンポジウムのメインは秋葉先生の「50年後の『おおすみ』は?」、的川先生の「ミューが拓いた世界」、そして森田先生の「日本のロケットの将来像」の3本立て。40周年記念シンポジウムとはいえ昔話に終始するのでは面白くありませんが、講師の先生方の基調講演はどれも将来を見据えたものでした。特に気になったのが秋葉先生からの「おおすみ」50周年記念事業の提案。懸賞金をつけて単独で1kgの小型衛星を100万円で打ち上げる回収型機体の実証実験をしてみてはいかがかとのことで、いわば日本版のX-Prizeというようなものでした。最後には45分ほど時間をとって、小野田本部長を交えた4名とフロアとで、意見交換を行いましたが、「最近の連中は宇宙をやっていると言いながら地に足が付き過ぎている」との苦言が身にしみました。全員がプロジェクトでヒーヒー言っているようでは長期的には大きな飛躍は期待できないのかもしれません。

 当日は一般参加の方からシンポジウムのようすをインターネット生中継したいとお申し出いただき、お言葉に甘えることにしました。会場で聞いている人の数より圧倒的に多い数百名が生中継を視聴したようです。こんな形でのコラボレーションがどんどん進むのも楽しいものです。

 シンポジウムは終了しましたが、もう一つの試みであるミニ企画展は、5年前にリニューアルされた地球館2階の一角で引き続き行われています。巡回展「日本の宇宙科学の歴史」をベースに国立科学博物館の所蔵品を整理したもので、当時の貴重な映像の上映も行っています。公開は2月28日まで。是非この機会にご覧ください。高校生以下と65歳以上は入場無料。年齢を証明する ものをお持ちください。もっとも的川先生の場合には顔がそれを証明したそうですが…

(阪本成一、さかもと・せいいち)

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※