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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第224号

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ISASメールマガジン   第224号       【 発行日− 09.01.06 】
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★明けましておめでとうございます。山本です。

 2009年最初のISASメールマガジンをお届けします。今年も、読者の皆さんに喜んでいただけるようなメールマガジンを目指して、がんばりま す。

 新年の一番手は、広報委員長の阪本成一(さかもと・せいいち)さんです。

 世界天文年2009に関連して、世界企画である「Cosmic Diary」というブログも始まっています。(⇒ 新しいウィンドウが開きます http://www.cosmicdiary.org/

 ISAS/JAXAからも阪本広報委員長を含め4人(北村良実、清水敏文、土居明広)がブロガーとして参加しています。

── INDEX──────────────────────────────
★01:世界天文年2009
☆02:S-310-39号機打上げ
☆03:今週のはやぶさ君
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★01:世界天文年2009

 新年おめでとうございます。

 今年はガリレオ・ガリレイが望遠鏡を宇宙に向けて近代天文学の扉を開いてから400年目となる節目の年で、国際連合、ユネスコ(国連教育科学文 化機関)、国際天文学連合によって「世界天文年2009」として定められました。

 400年前にガリレオがその小さな望遠鏡で最初に垣間見た宇宙は、月と、当時はまだ地球の周りを回っていると考えられていた太陽や木星、金星などでした。それまで完璧な世界と信じられていた天界に彼が見た、月のクレーターや太陽の黒点、木星の周りをまわる衛星、そして満ち欠けする金星は、人類の宇宙観を完全に書き換えることになりました。その後400年を経て、私たちは宇宙について実に多くのことを学びました。もはや太陽系のすべての惑星には探査機が訪れ、地上と宇宙にある巨大な望遠鏡群が、宇宙からのさまざまな信号をとらえています。日本でも、例えば月周回衛星「かぐや」が月の裏側も含む全体像をこれまでにない精度で描き出し、太陽観測衛星「ひので」は黒点をはじめとする太陽の活動現象を鮮明な動画としてとらえています。また、金星には来年にも金星探査機PLANET-Cが向かう予定です。一方で宇宙の探求は、それまで私たちが知らなかった新たな謎の存在を明らかにしました。暗黒物質や暗黒エネルギーがその代表例でしょう。このように現代の天文学は日進月歩の勢いで進んでおり、その興奮をリアルタイムで共有できる私たちは、実に幸せな時代に生きているといえます。

 ところで今年は、アポロ11号の有人月着陸から40年の節目にもあたり、宇宙の探査や開発にとっても記念すべき年です。国際宇宙ステーションの日 本実験棟「きぼう」も間もなく完成し、宇宙環境を利用したさまざまな学術研究はもとより、商業応用、芸術など、多様な分野において進展が期待されます。さらに、昨夏には宇宙基本法が制定され、日本における宇宙の研究開発を取り巻く状況が大きく変わろうとしています。今年はそれを日本をはじめ人類全体にとってよりよい方向に向ける上でも、とても重要な年になると考えています。

 JAXAでは、スペース天文学と惑星探査の国内拠点として、世界天文年というこの貴重な機会を通じて天文学・惑星科学の浸透を図るべく、人的・ 財政的側面から世界天文年の各種企画に参加しています。特に、天文学・惑星科学に関連の深い宇宙科学研究本部からは、さまざまな研究者が関わっ て、世界企画と国内企画の両方を盛り上げています。

 1月4日には早速そのオープニングイベントが群馬県立ぐんま天文台をはじめ全国40か所で盛大に行われました。メイン会場となったぐんま天文台 には井上本部長の代理で私も参加してきました。幸い天候に恵まれ、イベントに先立って、ぐんま天文台のサブ望遠鏡である65cm望遠鏡(ちなみに メインは150cm!)を使った昼間の金星の観望会が行われ、昼間の青空をバックに半月状の金星を見ることができました。18時から約3時間かけて行われたオープニングイベントも立ち見が出るほどの盛況で、世界天文年への関心の高さがよく分かりました。1月15日にはパリのユネスコ本部で同様にオープニングイベントが開催されますが、ここにはJAXAが進めている高校生向けサマープログラムである「君が作る宇宙ミッション」のOBの大学生を、世界天文年日本委員会と宇宙科学振興会の協力のもとに派遣し、世界の同世代の若者たちと交流を深めてもらう予定になっています。世界天文年のロゴをあしらったペナントも、2月に予定されている若田宇宙飛行士のフライトの公式飛行記念品として宇宙に旅立つ予定です。

 また、2009年中の日本国内最大の天文ショーとなるであろう7月22日の日食にもさまざまな取り組みを予定しています。特に、種子島宇宙センターはぎりぎりで皆既帯に入っており、皆既日食を楽しみに来られた方々の後方支援を行えるのではないかと考えています。また、離島ないし洋上に位 置する皆既帯からの「きずな」を使った日食中継や、「みんなで木もれ日を撮ろう」キャンペーン、「ひので」関係者による講演なども計画しています。

 とはいえ世界天文年というのは一つの節目であり、きっかけにすぎません。これら盛りだくさんの試みを一過性のものとするのではなく、普及教育活動を今後もより一層強化し、いわゆる天文ファン以外の一般市民に向けても天文学の紹介を継続的に行うことによって、世界中の一人でも多くの方に天文学やその周辺の科学技術、そしてそれらを支える科学的な考え方を浸透させたいと思っています。

 相模原キャンパスでは、屋外のロケット展示についてはすでに常時公開を始めており、展示室も含めた全面的な常時公開をすべく、土日の解説員の手当ての検討を進めています。キャンパスを飛び出して全国津々浦々にも出掛けていきます。今年も私たちの取り組みにどうぞご期待ください。

(阪本成一、さかもと・せいいち)

詳しくは、
新しいウィンドウが開きます http://www.astronomy2009.jp/

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※