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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第131号

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ISASメールマガジン   第131号       【 発行日− 07.03.20 】
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★ こんにちは、山本です。

 このところ、ISASメールマガジン担当に届くメールは、すべて迷惑メールかウィルスメールです。毎日数十通ものメールを開けることもなく削除するのが日課になっています。

 95%以上が英文のサブジェクトなので、(ISASメールマガジンは日本語のみの発行です。)バッサリと削除するのですが、残りの日本文のサブジェクトの中に、極たまにまともそうな表題があり、嬉しくて開けてみると【迷惑メール】!!

 読者の皆さんの感想を待っています。

 今週は、固体惑星科学研究系の田中 智(たなか・さとし)さんです。

── INDEX──────────────────────────────
★01:東海中学、高校のサタデープログラム
☆02:セレーネ「月に願いを」キャンペーン応募、41万人に!
☆03:「ひので」部分日食観測 〜月の凹凸が見えた!〜
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★01:東海中学、高校のサタデープログラム(サタプロ)

 今朝(2月24日)はこの冬で一番の寒さかもしれない。北風が電線をゆらしてピープー吹く中、早く家を出て下りの新幹線に乗り込んだ。というのも、この日、愛知県名古屋市の東海中学、高校でサタデープログラム(通称:サタプロ)という企画が開催され、一イベントの講師として招かれた。
伺うところによると、サタプロは生徒が主体となって企画、運営、段取りなどほとんどを取り仕切り、さまざまな分野からスピーカーを招いたり、ものづくりを体験したりするもので、かなり大規模なものらしい。在校生とその関係者だけでなく一般の子供から大人まで誰でも参加できるという点もすごい。

 ときは前後してその前の夜、仕事を終えて帰宅後、いったいどういう学校かなぁと思いたち、何気なく「東海中学」というキーワードで検索すると、簡単にサイトは発見。サタプロのサイトもオープンしてある。プログラムを見るとかなり世間離れした私でも存じ上げている有名人を含む豪華キャスト勢ぞろいではないか。我々のところにはどれくらい見に来てくださるかと一抹の不安を覚えた。それよりも、何よりも驚いたのは、サタプロ特設の掲示板をちらりと見てみると、いきなりこんなのが目に飛び込んできた。

 「第1部の「宇宙最前線(1)ブラックホールと太陽系」に参加したいのですが、小3の子供にも理解できるような内容でしょうか? ご講演下さる先生方には、小学生も聞きに来るかも知れないと説明して依頼してあるのでしょうか?」

これに対して、次のようにものすごい回答がしてあった;
 「宇宙最前線」は、誰にでも分かるように、易しく、分かりやすく話していただきますので、問題ありません。もちろん、大人の方でも物足らない状態にはなりません。また、質問時間も多くありますので、ご安心ください」

 こんなことを書きよって!と苦笑しながら、「どうやって答えればよいのだろう?」と、はたと考え込む。私はてっきり中学生以上の方を対象にすればよいと思っていたので、顔面蒼白になって準備をやりなおした。うー、ここは難しすぎるかも。あっこの漢字はまずい。お母さんも見えるなら、これを足してみるかぁ。

 さて、東海中、高校の門をくぐると、スタッフの腕章をつけた生徒さんが、皆、元気よくあいさつをしてくれた。私が授業を依頼された企画は「宇宙最前線」という一日通しで企画されたもので私の他5名の講師が招かれた。
担当の生徒さん曰く、今回のサタプロの「目玉企画」の一つとのことである(ほんまかなぁ)。題名と講師は以下の通り(敬称略);

第1部:ブラックホールと太陽系 國枝(名古屋大学)、田中(JAXA)
第2部:宇宙で生きる      黒谷(JAXA)、村井(JAXA)
第3部:ロケット〜宇宙工学   橋本(元JAXA)、的川(JAXA)

 各セッションは1時間半で、講演+質問コーナーという構成で進行されJAXAが通常企画している宇宙学校に似たものであった。

 いざ、第一部が始まってみると、定員100名を越すかと思われる教室に一杯の参加者で埋め尽くされた。大変ありがたい!私は月の科学や月探査の話題を中心に20分程度話をさせていただいた。スライドの中には私の家族のメンバーなんかももお見せしたりして工夫してみたが聞いてくださる皆さんは月や惑星を調べることがいかに面白いかという私のメッセージを少しはお届けできたろうか。

 このような企画では実は我々自身が面白がってしまう。通常には他本部や異なる専門分野のお話を伺うチャンスがなかなかないし、学会とかだとやたら難しい。私としては、村井先生が「宇宙医療」という話題でお話くださったものはこれまでに全く知識もなかったこともありとても新鮮で印象的であった。また、私の前に講演なさった國枝先生のお話も為になった。最近よんどころない理由でホーキングの本を読んでいるのだが、なんかよくわからないなぁと思ってたところのいくつかが大変明快になった。

 今回のサタプロでは思ったよりも質問が出てこないねぇ、と我々スタッフ内で話あっていたが、すごく熱心に聞いてくださったことはしみじみ感じた。それで十分ではないか。

 担当してくださった3名の中学生の方、大変ご苦労様でした。それから掲示板の小学校3年生のお母さん、わざわざ言いに来てくださって恐縮でした(なによりも本当に来て下さって嬉しい)。これからも宇宙の事に興味をもっていただければ嬉しいです。「宇宙」の謎を解き明かす事は人生をのめりこんで打ち込んでもおつりがありすぎるくらい面白いですよ。

(田中 智、たなか・さとし)

参考までに
http://www.isas.jaxa.jp/j/mailmaga/backnumber/2007/back127.shtml

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※