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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第115号

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ISASメールマガジン   第115号       【 発行日− 06.11.21 】
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★こんにちは、山本です。

 去年は、暮になってヨウヤク紅葉したISASの木々も、今年は、週末の冷え込みで秋のうちに葉っぱも色づき、また雨で落葉も増え、すっかり晩秋の風情です。

 正門から管理棟までの道路の落ち葉掃きをしている守衛さんの大変な時季になってきました。濡れた落ち葉は道路にぴったりとへばりつき、また、 掃いても掃いても後から後から紅葉した葉が落ちてきます。

 私は、落ち葉掃きをするわけではないので、毎朝「おはようございます。お掃除ご苦労様です。」と挨拶して仕事に向かいます。

 今週末(11/25)は秋田で『宇宙学校・あきた』が開催されます。
加えて、今週号のお知らせは『宇宙学校・おきなわ』(12/9開催)です。
宇宙学校の先生たちも、北へ南へ大忙しです。

 さて今週は本当に若手の登場です。システム開発部の長江朋子(ながえ・ ともこ)さんです。
文章の中で「M-V-7/SOLAR-B」と書かれているのは、M-V-7号ロケットにより打ち上げられた「ひので」衛星のことです。

── INDEX──────────────────────────────
★01:内之浦衛星地上班
☆02:宇宙学校・おきなわ  <宇宙のなぞにせまりたい!>
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★01:内之浦衛星地上班

 はじめまして。M-V-7/SOLAR-B衛星地上班の長江です。今まで内之浦でのロケット・衛星打上げには3回参加しました。ここでは、前回9月23日に打ち上がったM-V-7/SOLAR-Bの衛星地上班の仕事を準備から本番にかけて紹介したいと思います。

 内之浦フライトオペレーションでの衛星地上班の役割は衛星と地上を結ぶ地上側の通信設備を整えること、衛星運用の体制を整えることです。その為、衛星が内之浦に到着してから衛星と地上設備を有線や高周波回線、RF回線で結び、衛星動作チェックという試験を通して、何度も衛星状態や地上通信設備の健全性の確認をします。高周波回線とは、内之浦建屋に取り付けられた中継アンテナを使用した回線のことで、衛星が建屋内にあり、内之浦φ34mアンテナやφ20mアンテナで衛星と直接リンクが取れない場合に使用し、実際の運用のRFリンクを模擬しています。もちろん、実際の運用に使用するφ34mアンテナやφ20mアンテナを直接使うリンク試験も、衛星がロケットに組み付けられ、建屋の外に出た時に行います。

 地上側通信設備のリンク試験では、テレメトリ・コマンド信号が正常に伝送されるかの確認を行い、内之浦運用室からコマンド信号を送り衛星の受信 確認をしたり、擬似テレメトリ信号を地上受信装置で受信したりします。

 衛星運用体制の試験では、衛星が打ち上がった後の運用模擬を行います。
SOLAR-Bでは内之浦局に加え、新GN局や海外局も使用するので、それら各局と内之浦、相模原間のデータ伝送や、各局間の音声指示をリハーサルします。正常な伝送試験に加え、トラブルが起きた場合の伝送試験も行います。このように、データや人の動きを事前に確認しておくことで、本番の作業を慌てることなく進められるよう人や設備の準備をしていきます。

 今回M-V-7/SOLAR-Bのフライトオペレーションでは悪天候による雷被害があり、準備には多くの困難もありましたが、皆の努力によって打上げ本番には全ての準備が整えられました。後は打上げを待つばかりです。そして、メーカー、現地スタッフ、JAXA皆の想いも一つになり、2006年9月23日、M-V-7/SOLAR-Bは予定時刻通り見事打ち上がりました。

 衛星班の皆はロケット打上げ成功に拍手をしつつ、これからが本番と気を引き締め、まもなく始まる衛星運用に備えました。初めはパース局での運用でした。予定通り、衛星信号の受信に成功し、データも筑波・相模原・内之浦と正常に伝送されました。その後続々と海外局での運用を終え、約半日後、内之浦上空に衛星が戻って来ました。内之浦ではφ34mアンテナで捕捉に成功、無事予定通りの運用が出来ました。衛星運用には世界各地に配置された衛星追跡局を使用しているので、衛星班は休む暇が無かったのですが、ここでほっと一息つきました。しかしこれから始まる観測など衛星の運用は 始まったばかりです。

 以上のように衛星地上班は、ロケット・衛星の打上げに参加し、打ち上げ前の地上通信装置の準備、打上げ後の内之浦での運用支援を担当しました。現場では技術的な考察はもちろん、皆の心が一つであることの偉大さを肌で感じました。今後益々衛星は打ち上がっていくと思いますが、この心を忘れず、日々の業務を楽しみながら、衛星の仕事に携わっていきたいと思います。

(長江朋子、ながえ・ともこ)

新しいウィンドウが開きます http://www.isas.jaxa.jp/j/countdown/index.shtml

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※