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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第107号

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ISASメールマガジン   第107号       【 発行日− 06.09.26 】
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★こんにちは、山本です。

 内之浦出張組は、M-V-7号機の打上げ後、楽しいお酒を過ごしたようです。NHKの密着取材も受けたりしていたNさんですが、自分で片づけたのをすっかり忘れて、サイフを落したと勘違い。交番に届けたり、カードの失効手続きをしたりと大騒ぎ……

その後無事にサイフは出てきたのですが、この騒ぎに巻き込まれたRさんは、女将さんにもらった【缶ビールを大事そうに抱えていた】との証言から、旅館の冷蔵庫の中まで確認したそうです。

 楽しいお酒も【ホドホドに】ということですね。

 今週は、M-V-7号機/SOLAR-B打上げ速報を的川委員長にお願いしました。

── INDEX──────────────────────────────
★01:ありがとうM-Vロケット、また会う日まで
☆02:SOLAR-B軌道投入に成功!「ひので」と命名
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★01:ありがとうM-Vロケット、また会う日まで

 1990年代に人類の太陽像を塗り替えたと言っても過言ではない「ようこう」衛星の後継機が誕生した。2006年9月23日6時36分に、M-Vロケット7号機に搭載されて内之浦宇宙空間観測所を後にした太陽観測衛星SOLAR-Bは、かつてない多数の人々の見送る中を、轟音を残しながら軌道に投入され、「ひので」と命名された。プロジェクト・マネジャーの小杉健郎の「シンプルで外国人にも説明しやすく、これから新しい日本を築いていく」という意味を込めたいということで名前が選ばれた。

 「世界で最も素晴らしい固体燃料ロケット」の名に恥じない有終の美を飾ったM-Vに、見学者からも報道関係者からも惜しみない拍手が送られたことを、まずはご報告しておきたい。
「なぜこんなに優秀なM-Vロケットを廃止するの?」
という、たびたび浴びせられる質問に対しては、
「コストが高いそうです。でも、コストダウンのシナリオはあるんですがね……」
としか答えられない。

 今回のフライト・オペレーション中、来年の3月に定年を迎える3人のエンジニアの送別会が内之浦の町で開催された。宇宙科学研究本部のメンバーを中心にJAXAから打上げに参加した技術者たち、そしてもちろんかけがえのない同志であるメーカーの面々も交えて、会場の国民宿舎「コスモピア」の会場を溢れ出る数の人が出席し、爆発的な雰囲気に終始した。
「宇宙開発に30年以上にわたって従事していますが、こんなに一体感のある宇宙関係のパーティは初めてです」
……内之浦のパーティに始めて参加した何人ものエンジニアが語った言葉である。3人の退職予定者のスピーチには、すべて「素晴らしい仲間と過ごせた幸せ」という言葉があらわれ、会場の涙を誘った。

 さまざまな複雑な事情を経て、M-Vの廃止がJAXAから宇宙開発委員会に提案され、すでに後継のより小型の固体燃料ロケットの開発が、若いエンジニアたちによって検討され始めている現在、事の是非はともかく、私のような立場と年齢の者が、ノスタルジックに過去にしがみつくことは許されないだろう。

 その後継機の開発をリードする森田泰弘教授は、「世界に冠たる固体燃料ロケットを、これまで世界一のMロケットを作り上げてきた先輩たちの成果を確実に踏まえて作り上げる」決意を、悲壮にも表明した。歴史の歯車は逆転しない。「一歩後退、二歩前進」の精神を掲げて頑張ってほしい。私たちは、前を向いて歩こうとする若者たちの姿勢に大きなエールを送ろう。

(的川泰宣、まとがわ・やすのり)

M-V-7/SOLAR-Bカウントダウンページ
新しいウィンドウが開きます http://www.isas.ac.jp/j/countdown/index.shtml
  打上げ映像
  ひので(SOLAR-B)記者会見
 をお楽しみください。

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※