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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第106号

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ISASメールマガジン   第106号       【 発行日− 06.09.19 】
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★こんにちは、山本です。

 台風13号が通過した関東地方は真夏日の予報が出ています。
M-V-7号機/SOLAR-Bの打上げまであと1週間を切りました。
打上げスタッフも、相模原のスタッフも、皆で成功を念じています。

 今週は、3月まで宇宙教育センターへ出向していた鹿児島県庁の堀口俊尚 (ほりぐち・としひさ)さんです。

── INDEX──────────────────────────────
★01:子どもたちの心に火をつけろ!
☆02:M-V-7号機、姿現す
☆03:内之浦宇宙空間観測所一般公開
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★01:子どもたちの心に火をつけろ! 〜宇宙教育センターの挑戦〜

 はじめまして。私は鹿児島県庁に勤める堀口と申します。今年の3月までJAXAに出向していたこともあり、今回ご縁があってこのメルマガに寄稿させていただくことになりました。栄えあるISASメルマガに掲載されると思うと冷や汗が出てきますが、薩摩隼人の「泣こよか、ひっとべ」の精神で行ってみようと思います。

 JAXAでは、広報部と宇宙教育センターとの掛け持ちでしたが、今日は、私も設立のお手伝いをさせていただいた宇宙教育センターの活動について、ご紹介していきたいと思います。

 宇宙科学研究本部と同じく相模原キャンパスに居を構える宇宙教育センター。研究・管理棟の正面玄関には立派な看板までかかっているものの、その実態については、まだまだ十分には知られていないかもしれません。
(中には、「ナゾの組織」と怪しむ向きもあるとかないとか。)

 教育センターの活動の中心は、教育支援活動と呼ばれる仕事です。これは学校の先生方と一緒に、総合学習などの授業の内容や進め方などを考え、その実施を支援するというものです。あくまでも授業の主体は学校の先生であり、教育センターは先生方への助言や資料提供、講師派遣などの支援を行います。「宇宙」という科目を教えることが目的ではなく、通常の科目の中に宇宙の持つ様々な素材や人材を取り込んでもらうことに主眼を置いています。たとえて言うなら「宇宙」という食材を使った料理(授業)を作る、といった感じでしょうか。(某TV番組でいうなら「巨匠!」が学校の先生、アシスタントと食材提供が教育センターのスタッフですね。

 私の住む鹿児島でも、すでに楽しいレシピが誕生しています。ロケット基地の島・種子島の小学校では人工衛星の撮影した画像や太陽系の惑星との比較から考える環境学習が行われていますし、鹿児島市内の小学校では、ふるさと鹿児島の食材を使ったオリジナルの宇宙食メニュー考案にチャレンジする、という総合学習に取り組んでいます。どちらも「宇宙」という切り口で、子どもたちが新しい視点から故郷の鹿児島を見つめ直す機会にもなっており、今後、どのような成果が生まれるのか、また子どもたちがどんな成長した姿を見せてくれるのか、非常に楽しみです。

 このほかにも「コズミックカレッジ」をはじめとしたJAXA独自の宇宙教育プログラムを全国各地で行う教育実践活動、大学等の学生が自主的に行っている様々な宇宙活動の支援を行う学生支援活動、また世界の宇宙機関等との連携による国際活動など、幅広く展開しています。

 最後に、こうした活動を通して、教育センターが実現したいことは何かということですが……

 今、私の手許に一枚の写真があります。H-IIAロケットの打上げ成功を伝える地方紙の記事ですが、まだ幼稚園くらいの年頃の子どもたちが大きく口をあけたまま、驚きの表情でロケットを見上げています。

 とても愛らしい光景ですが、同時に打上げという出来事が子どもたちをいかに魅了するかを物語ってもいます。子どもたちはその迫力に驚き、また強い好奇心を抱いたに違いありません。大切なことは、こうして子どもたちの心に灯った「火」を絶やさず、育てていくことです。

 宇宙の魅力的な素材を活用して、冒険心とものづくりの精神に満ち、生命を大切にする心を持った子どもたちを一人でも多く育てたい……それが教育センターの最大の目標です。

 昨年5月に宇宙教育センターが設立されてから1年あまり。さまざまな障害を乗り越え、ようやく設立にこぎつけた教育センターでしたが、設立後も次々に出てくる課題に追われ、なかなか順風満帆とはいきません。しかし、試行錯誤しながら積み重ねてきた経験が糧となり、自分たちの活動が少しずつ軌道に乗りつつある、そんな手応えも相模原で頑張る仲間たちは感じ始めているようです。

 現在は、県庁の人間に戻ってはいますが、教育センターの理念や活動に限りない賛意を寄せる気持ちに変わりはありません。今後も教育センターの熱烈なサポーターとして、その活動を応援していきたいと思っています。

 これからもがんばれ、教育センター!!

(堀口俊尚、ほりぐち・としひさ)

宇宙教育センターは
新しいウィンドウが開きます http://edu.jaxa.jp/

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※